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天使な婚約者は俺にだけ愛が重過ぎる (旧案:天使な婚約者は俺にだけデレデレです)  作者: 橋本衣兎
第1章

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天使な婚約者にバレてはいけない


 冬らしい寒さを感じさせる風と痩せ細り葉のない木々が並ぶ窓の外を眺めながら、授業を受けるが、その内容が殆ど頭の中に入ってこない。


 冬休みが明け、新学期を迎え2月に突入してからも、ある悩みが頭の中にこびりつく。授業にも集中出来ず、あの日京都の優姫(ゆき)の祖父母の家から電車で帰宅していた電車内の出来事。


 優姫、桜木優姫(さくらぎゆき)にキスをされたと言う事案だ。


 あの日から井原美琴(いばらみこと)はキスをされたと言う事実を知っているという事を優姫に知られてはいけないと瞬時に理解し、約1ヶ月隠し通すような生活を送っていた。


(キスされた事はまだ理解出来ないが)


 キスされその感触を今でも思い出すたびに顔が沸騰するぐらい照れ、それを優姫に勘付かれないようにする生活は意外と大変だった。


 そもそも、知っているのを言えば良いのだろうが、優姫の性格上罪悪感と自己嫌悪嫌悪で、謝罪をし離れる決断を取りそうと頭の中で想像してしまった結果、キスしたいと言う気持ちを恋愛小説、漫画である程度理解しているので言わないと言う決断をした。


 その結果1人で悩む時間が増えた。


 ファーストキスだったから悩んでいる訳ではないが、優姫がもしかしたら勘付くかもしれない、そう思うとお互いに良くないし、今の関係の時点でバレれば良くない結果になるのは明白だ。


(曖昧な人間ほど、後悔する事が増えるんだな)


 ちゃんと優姫の気持ちに向き合っているからこそ、起きた事かもしれない。


 美琴は曖昧なまま終わらせてきた人生を送って来た。だがこの関係を曖昧なまま終わらせる気を最近は思わなくなった。

 優姫と過ごすウチに、今の関係が良くない事も、今の関係を変えなければならない事も理解している。

 だが、その関係がどう変化するのか、そしてどうやって変化させるのかは今の美琴には分からない。


 美琴は思う、世界で1人だけだろう、優姫の事でこんなにも悩んで悩んでそして考える人間は。















「え?悩み?」


「そう、お前ら悩みとかある?」


「唐突な質問だねぇ、美琴は」


「蓮(れん)ちゃん、しょうがないよ、美琴はいつも唐突だから」


 昼休みになり、竜胆(りんどう)達に悩みがあるのか聞いてみた。竜胆と紫苑(しおん)に聞いても生半可な答えしか返ってこないだろうが、蓮華(れんか)であれば多少なりとも期待の出来る答えが返って来るだろうと予想している。


 そもそも馬鹿と阿呆に悩みがあるのかと言う点もある。

 あったらあったでそれはそれで面白いが、解決策が言える可能性は少ない。


「うーん、悩みかぁ、、、、ないな」


「断言が早いな、竜胆」


「そりゃあ、勉強がヤバいとかはあるけど、そう言う系の悩み以外はない!」


 断言する竜胆の顔を見ると笑顔で言い放ってて、この馬鹿のこう言うところに救われた人間も惹かれた人間も居ると考えるとある意味世界のバグの1つだとたまに思う。

 まぁ自分もこう言う馬鹿な所を見て気を許している部分があるのを少なからずは自覚していた。


「良かったな、簡単な頭で。2人は?」


「うーん、そうだなぁ。欲しい物を買う為にどうしようかな、とかゲームの攻略どうしようとかはあるけど深刻な悩みはないかな」


「私は基本的にないけど、メイク買うか買わないかとか、ダイエットするかしないかとあるなぁ。ぁ、今はバレンタインに何を作るか、だね!」


「!ぁ、そうじゃん!バレンタインじゃん!明日!何作るんだ?」


「竜ちゃん気が早い」


「、、、、ぁ」


 紫苑の言葉と竜胆の反応で思い出した。

 明日バレンタインということを。


 自分には関わりのないイベントだからとあまり良い思い出はないが、悪い思い出は結構ある。

 だが今年はそんな心配をする必要はないと思っていたが、数日前に優姫から「どう言う系のチョコレートが好きですか?」と言う質問をされた事を思い出す。


 確実に渡すよなぁ、と内心美琴は思いながらも断る選択肢ははなから内容で寧ろ楽しみにしているまである。

 すっかり優姫に胃袋を握られ優姫の料理の虜になっている。


 だが、もう1つ思い出す。

 生徒会役員と関わりを持ってしまったと言う事に。


 渡される可能性は少なからずはある。明日は生徒会役員とお昼ご飯を食べる日、そう考えると男子生徒達からの恨み嫉みの視線を考えると非常にめんどくさく感じる。


 スープジャーに口を付け、スープの温かさで落ち着きを取り戻す。


「んで、美琴は何か悩みとかあんの?」


「え?、ぁ〜、まぁ」


 変なところで鋭いんだよな、竜胆はと内心思いながらも、素直にいうか悩むところだが、此処でも悩んでいたら何も先には進まないので素直に言う事にする。


「悩みを隠す方法とか分かる?」


「何それ?謎かけ?」


「んな訳ねーだろ、紫苑」


「うーん、、、、いつも通りにするって意識しても人はそう簡単には出来ないから、悩んでる事を考える暇がないぐらい他に夢中になってたら気付かれにくいかな」


「、、、、良い、なそれ」


「ほんと?良かった」


 やはり、蓮華は頼りになる。

 他2人は頼りになる以前に明確な答えを出せる程の経験と言い方を持っていない点がある。


 人としては良いやつだし信用に足る人物だと思うが、相談などに関すると、信用以前に理解している可能性がないと言うのもある。


 だが、他の物に夢中になると言われても何に夢中になれば良いのか。漫画を読む事などは日常的にしているが他に夢中になる物は特に思い浮かばない。

 今気になっている事と言えばバレンタインデーだが、貰った際のホワイトデーのお返しでも考えるか。




























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