天使な婚約者の寝ぼけ甘え
「?」
美琴の姿を寝ぼけながらも探している姿を見て、可愛いと正直に思ってしまった。
思わず、彼女の近くに寄ろうと一歩足を踏み込むと、その足音が聞こえたのか、ゆっくりと体を起き上がらせて、寝起き全開の幼さ満載、とろんとした瞳を持った美しい顔が美琴の方へと向けられた。
寝起きでも完成された顔に何処となく眩しさを感じた。
美琴の顔を寝ぼけながらも確認すると、途端に嬉しそうな顔をし手を伸ばす。普段から無警戒、無防備さを美琴に向けている優姫は近寄ってくる美琴の手を伸ばした手で触る。
「んふふっ」
余程、美琴に触れれたのが嬉しいのか小さく笑みが甘えた声で溢れ、美琴の手のひらに頬をくっつけてスリスリと甘える様に擦り付け、くすぐったいと少しでも腕を動かすと嫌だとでも言うかの様に手を引っ張り頬擦りを続ける優姫。
普段から甘えてくる様にはなったが此処まで大胆なのは珍しい。
いや、寝ぼけているから甘えたい美琴が目の前にいるのを夢と思っているのかそれとも無意識に甘えているのか、どっちなのかが分からない。
親猫に甘える子猫の様な仕草をされ、寝起きのパジャマはズレにズレ、肩が見える始末。白くだが薄っすらと赤く染まっているのがなんとも官能的な。
新年早々朝早くから美琴の理性は試されていた。
手を勢い良く離す事は出来る。だが意識がはっきりした瞬間、優姫が悲しむ可能性は大いになった。それは正直言って避けたい事。
それに甘えている彼女の好きにさせるのも良いかもしれない。
そう思っていると手を掴んでいた優姫の手が美琴の腕を掴み寝起きとは思えないほどの力で美琴を引っ張った。
「わっ」
引っ張られた反動で体が傾き、その場に座る形になったが上半身は優姫体に当たっているのが分かり、頭はと言うとポフンッと言う効果音が聞こえそうな程に柔らかい2つの何かに挟まっていた。
顔をなんとか上げると至近距離に美琴の頭に手を置く優姫の顔が見え、自分の顔が何処にあるのかを理解した瞬間、いつになく無を意識した。
だが、依然として寝ぼけを続行中の優姫はそんな事知ったこっちゃないのか、美琴の頭を撫でくり回している。
その顔は愛おしい人を愛する様な表情だった。
(、、、、こんな顔されると何も言えないな)
ただし、この状況下は流石に理性の鬼と言われてもジリジリと線香花火の様に焼き切れていく。
美琴を逃さないと言うかの様に空いている手で美琴の体を抱き締め、美琴を堪能する優姫は普段の甘え方とは少し違った。
暫く、優姫の好きな様にさせ体感10分ほどが経った頃、ようやく目覚めたのか優姫はパチっと目を瞑り瞼を開けた。
「、、、、?、美琴、君?」
パチリと目があった。と言っても下と言うか胸部分に何かあれば見るのは当然で、胸に挟まった美琴を見て寝ぼけていた自分が何をしでかしたのか薄々理解した瞬間、ポンッとポップコーンが出来上がる様な音が聞こえてくる様に顔を真っ赤にさせた。
それから、揚げ物の油が跳ねる様な躍動感で美琴の体から離れ壁まで下がった。
「おはよう」
「、、ぉ、おは、おはよう、ご、ございます」
「動揺し過ぎだ」
余程目を覚ました時の瞬間の衝撃が強かったのか動揺がいつになく隠せていない彼女の頬は更に赤くなっている。
自身がしていた事を思い出しているのか、布団を掴んで鼻や口元を隠し目をこちら向けている。
その仕草は無意識だろうが美琴にとっては可愛らしい他なかった。
「ゎ、私なんて破廉恥な事を」
「いや、言うてそこまでではなかった、それに、俺も俺で色々やったし」
「?、色々?」
「色々」
「色々とはなんなのですか?」
「それは言えない」
「な、何ですかそれ」
恥ずかしそうにしていたが、美琴が慰めながら言った言葉が気になりそちらに意識が向き、いつも通りの雰囲気に戻った優姫を見てホッとする。
だが、やっていた事が恥ずかしいと言う自覚はあったんだな、と同時に寝ぼけてあそこまでするのは今後色々考えた上で男の前で無防備に寝るのは非常に辞めて欲しいと美琴は思った。
そもそも男の前で無防備な真似をしないで欲しい気持ちもある。
今回、まだ友情方面の意識が強かったが、次の時美琴の意識が変わっている可能性は大いにある。だから、アレ以上の事をする可能性さえある。
「と言うか、優姫って寝ぼけるとかあるんだな」
「ゎ、私だって人ですもの!、、、、まさか美琴君より遅くに起きてしまうとは不覚です」
「いつも遅く起きて悪かったな」
空気が良い感じになったと時間出来る程穏やかな雰囲気を優姫が放っていた。
気まずい雰囲気を纏っていたらそれはそれで美琴も気まずくなっていたからだ。
スマホを手に取り時間を確認しようとした瞬間、ピンポーンとチャイムの鳴る音がし、体が硬直した。それは優姫も同じ様でビクッと体を震わせた後数秒体が固まった。
そして思い出した。
両家両親兄弟姉妹が朝から来ると言う事を。
美琴と優姫は顔を見合わせ、頷きあったかと思えば優姫美琴の部屋から出て自身の部屋に入り着替えを始め、美琴も美琴でパジャマを脱いで急いで着替え始める。
チャイムから既に1分は経っている、遅れれば美琴は両親から何を言われるかたまったもんではなかった。
この時限りはいつも以上に、動きが早かった。




