天使な婚約者と冬休み前とイベント
数週間が経ち、生徒会役員に慣れた頃、2日後には冬休みへと差し掛かって居た。
生徒会で集まる日ではなく教室でお弁当を食べながら明らかに、冬休みを楽しみにしてルンルンして居る馬鹿を横目に見ながら白米を口に含む。
「2日後には冬休みだ〜!!そしてクリスマス〜!!」
「その前にイブがあるだろ、馬鹿」
「おい、美琴それなんだよ!」
「でも、冬休みって聞くとワクワクするよね。夏休みとは違った感じで」
「ぁ、蓮ちゃんの言ってる事分かる!なんか、アレ!だよね!」
「阿呆が何を言ってるんだ」
「美琴はさっきから口悪いよ!」
冬休み、クリスマスと聞けば嬉しい気持ちは分かるが、食事中と言う点の為、うるさくされるのは美琴としてはウザい分類だった。
前年のクリスマスはこの3人と過ごした事を思い出すと同時に、今年はどうなるのかと考える。
「今年のクリスマスさぁ、イブは暇なんだけどクリスマスの日はなんか家族で過ごす事になってさぁ」
「なんか兄さんがやろうって言って、僕も竜胆も断れなくて」
「私もお呼ばれしてまーす!」
「だから、ごめんな、美琴。今年はクリぼっちにさせて」
「誰が非リアだコラ。つか、1人じゃないっての」
竜胆からのごめんな?って言う同情とは違う顔での謝罪にイラッと来たのか、軽く竜胆の頭をチョップする。
そう1人ではない。家族と過ごすのだから1人ではないのだ。帰省すれば家族とクリスマスを過ごしてクリぼっちではないのだから、と心の中で美琴は言い訳をする。
一瞬、頭の中で優姫が思い浮かんだが、帰省する事になって居るから過ごす訳ではない。だけど、クリスマスプレゼントはあげたい、と思い少しプレゼントの内容を考える。
「イブは遊ぼうぜ!ぁ、クリスマスプレゼントは何円内にする?」
「竜胆、こう言う相談はもっと1週間前にするのが当然だろ?」
「グッ、、美琴いきなり正論を言うなよ」
「しょうがないよ、正論だから。僕は2000〜3000円ぐらいが良いと思うな」
「え〜、こう言う時はもっと5000円とかにしてみようよ〜」
「紫苑はもっと蓮華を見習えよ。謙虚だぞ」
「何でさ!」
プレゼントの値段の相談だけでこんなにもうるさくなるのはある意味才能を持って居ると思える程、元気で明るく馬鹿な竜胆と紫苑の対応が雑な美琴とそれを宥める蓮華と言う関係性が中学から作られて居た。
去年もこんな会話をしたな、と思い出しながら彼らとするプレゼント交換会よりも、優姫に渡すプレゼントの内容の方に少しばかり意識が偏って居る。
それは、何故かは分からなかったが、せっかくだから、よりも渡した時の嬉しい笑顔を見たい、と言う気持ちがあったからだ。
「、、、、なぁ、美琴」
「ん?、何?」
「いや、美琴はさ俺ら以外に友達が居ないのは分かるけど、クリスマスとかは恋人と過ごしたい〜、とか思わんの?恋人が居ないとか関係なくさ」
「何だよそれ、、、、恋人がどう言うもんかも分かんないのに、そう思う事だってないだろ」
「ぁ、確かに!」
「それに僕も恋人居ないから、竜胆が言う事僕にも当てはまってるよ」
「まぁ、恋人が居ないってのが美琴のステータス?じゃん!」
「紫苑は最近知った言葉を良く分かってないのに使うな」
「何それ!酷い!」
竜胆からまさか馬鹿な発言以外で真剣な話をされるとは思わなかった。
だが、心配しているとか馬鹿にしているとかじゃなくて、ただ単に疑問に思った言葉を竜胆はいつも言葉にする。
それも、ちゃんと言う言葉を考えて。
恋人と言う存在は居たら良いなんて周りが言うが、過去の経験上、女子から向けられる好意を考えれば恋人なんて関係になっても上手くいかないと美琴は思って来た。
優姫が自分自身に向けている好意が今までとは180度真逆の純粋な好きと言う好意だからこそ、簡単に気持ちの整理は出来ない。
だが段々と気持ちの変化をしているのに自覚はなかった。
『そう言う事だから、帰省は無理よ』
「え?、は?、ちょ、、、、マジか」
「?」
夕食後、皿洗いを終えて手をタオルで拭いていた美琴のスマホが鳴り手に取ると、母親である美咲の電話でゲンナリしながらも電話に出ると信じられない事を言われてもう一度聞き返してしまったぐらいだ。
電話の内容をまとめるとこうだ。
婚約関係に至る事になった共同経営となった新会社を設立に至っての親睦会を行う事になったが唯一空いて居たお店が某高級旅館らしく、一泊2日で泊まりがけの事になり家には誰も居ない状況になるから帰省は無理との連絡だった。
それを伝える連絡は優姫にもあったらしく、2階からスマホを取って戻って来た彼女のスマホのL○NEにも同様のメッセージが送信されていた。
「明日は終業式なのに今言うなよ。と言うか俺達も連れて行けば良いだろ?」
『ごめんなさいね。連れて行くって案もあったけど、此処は将来の夫婦、せっかくだからって事よ』
「、、、、元々そんな案なかっただろ。絶対」
『あら、流石美琴。察しが良いわね、お父さんがそうしろってうるさいのよ、それじゃあ伝える事は伝えたから冬休みは優姫ちゃんとイチャイチャするのよ』
「ぁ、ちょっ、、、、イチャイチャはしねーよ」
言いたい事を言って最後は余計な事まで言い電話を切る母親の所業に呆れながらも、拒否権と言う言葉は家族の前で行使する事が何故か出来ない美琴は文句の1つも言えなかった。
隣に立つ優姫は事の次第を理解したのか、パァァと目を輝かせていた。
それを見て一瞬天使の姿の彼女が見え、幻覚だと理解している美琴は何事もなかったかの様にスマホをキッチンカウンターに置いてクリスマスの事を議題に出す。
「本来だったらクリスマスの日は俺は実家で過ごして、優姫も家で過ごすはずだったよな?」
「はい、毎年そうしてました。ですが、今回は無理ですね。祖父母の家を考えても距離や準備などにも時間が必要ですし」
「、、、、じゃあ、冬休みは帰省はなし、クリスマスは一緒に過ごすk」
「!はい!過ごします!過ごしたいです!」
「食い気味に言うな、、、、でもケーキとかどうするか」
「それなら手作りケーキを作ろうと思うのでお任せ下さい!、もし帰省がなくなった時用に考えていたんです」
「用意周到だな、おい」
そこまで準備が良いと帰省がなくなって欲しいと願ってたとしか思えない。
手際が良いってレベルじゃない。
だが、美琴としては新鮮で初めてとも言える冬休みになる。
悪い意味で友人が少ない人生を送り、クリスマスは基本家族と過ごす事が多かった人生、女性、それも天使の幻覚が頻繁に起こる様な天使の様なルックスを持った優姫と過ごすクリスマスは今までのクリスマスと一味、いや、千味ぐらい違うだろう。
「因みにケーキは私は苺のケーキも食べたいので2種類のケーキを作りますね」
「良いけど、、、、ぁ、ナチュラルに我儘を突き通せてるな、レベル10だな」
「本当ですか???では、頭を撫でて下さい!」
「一気にレベルダウンだが、まぁしてやろう」
自信満々に我儘を言う姿に我儘の概念がねじ曲がりそうだな、と内心笑ってしまっている美琴は頭を突き出しては居ないが撫でやすい位置にある優姫の頭を撫でる。
そうすれば嬉しそうな声が漏れていて猫の様。
初対面には警戒心強め、他人には冷ため冷静、好きな人にはデレデレ、分かりやすい甘えん坊猫タイプと見受けられる。
そんな事を彼女に言えば起こるか喜ぶかのどちらかだと言うのは目に見えていた。
それ程彼女は美琴の前になると演技のえの字冴え忘れるからだ。




