天使な婚約者と生徒会勧誘
地獄のリターンは求めていなかったと心の中で明後日の方向を見つめながら現実逃避をする美琴の前には、回転式の椅子に座りゲ○ドウポーズを男を囲う様に嶺麗しい少女3人がおり、美琴の隣には気まずそうなかと言って焦った表情をしている同居人兼婚約者である桜木優姫が居た。
当の本人が椅子に縛り付けられて居なかったらまだこの状況を楽しめた事だろう。
身動きが取れて居たならば。
(何で、こうなったんだっけ)
遠い目をしながら、この状況に陥る前の事を鮮明に思い出そうとしているらしいが、現実逃避をしているだけだ。
昼休み、竜胆、蓮華、紫苑とお弁当を食べて居た際、突如珍しい昼休みの校内放送が流れたのだ。それだけであったら教師が呼び出しをしているのだろう、とか安易な考えが誰だって想像出来た。
だが、いざ放送で聞こえて来た声に教室に居た生徒達からどよめきの声が絶えなかった。
「生徒会副会長、谷宮純恋です。お呼び出しの放送です」
「え?!谷宮先輩!?」
「【菫の天使】の声を聞けるなんて、幸せ」
「お呼び出しって誰なんだろ?羨ましい!」
と、クラス中がざわめきたつ。
四大天使の声を聞けただけで幸せになるとは単純な頭なのか、本当に盲信しているかのどちらかしかないだろう。
まだこの時の美琴はそんな様子をただただ他人事の様に捉えてお弁当を食べて居た。が、ポケットに入れて居たスマホに通知が来て見れば、優姫からのLI○Eに気付き、内容を見るとそこに書かれて居た事に強い強い脱走感を覚えた。
(、、、、〔ごめんなさい、バレました。生徒会の皆さんにバレました〕、、、、ふっ、逃げたい)
彼女からのLIN○で全てを察した美琴は食べ終わったお弁当を片付ける。
逃げても無駄だと悟った様な表情をし、放送の続きに耳を傾けると言う諦めモードへと突入して居た。
「1年2組の井原美琴君、井原美琴君、放課後生徒会室までお越し下さい」
ふっ、と吐息が溢れそうになったが、バッとクラス中からクラスメイトや他クラスの生徒達からの視線を向けられそれは叶わなかった。
それよりも美琴と言う存在を認識して居たと言う事事態に何故か本人は感動を覚えて居た。
そして何組かと言う新情報が此処で出るとは、と今更の事を思う人は何処かに居るだろう。
当然のこと、竜胆、蓮華、紫苑の3人も驚きの表情をしながら視線を向けている。
それがとてつもなく心の中にある面倒くささを駆り立てて居た。数秒の間を空けて3人から追い詰められるのを察知してお弁当入れをリュックに片付ける。
はい、それではみなさん一斉に。
「どう言う事!!?!?」
「どう言う事なの!!?」
「どう言う事よ!!!!!!」
「うるさい、3人とも」
「いや、うるさくもなるだろ!お前生徒会に何したんだよ!呼び出される様な事したのか!!?」
「すると思うか?わざわざ俺が」
「、、、、しないな」
「しないね、美琴は」
「確かに美琴がバレない様な馬鹿な事するから、違うか」
「おい、最後」
最初から何かした前提で言われるのは普通に不服で遺憾だが、すぐに納得する素直さとアホさ加減で許してしまう美琴はやはり単純思考を少なからずは持っているのだろう。
だが、変わらずクラスメイトからの視線はチラチラとあり、気まずさと面倒くささが同時にリンクする。
気になっているのだろうが話しかけれる程の関係性もなければ話す理由すらないと言う利点が此処で働く。
数分も経てば昼休みが終わるチャイムが鳴り、優姫が教室に入ればクラスの雰囲気が柔らかくなる。天使が居るだけでこの作用はどう言う仕組みなのだろうか。
一瞬、優姫は美琴の方にほんの一瞬向けて強く目を瞑って席に座る。
謝罪の意味での行為だと言うのは美琴だけが分かった。頭を下げれば目立つのは当然のこと、これ以上迷惑をかけたくないと言う彼女の心理から働いた行動だと言う事に。
そして今に至る。
彼女からの○INEにあった、バレたと言うのは関係がバレたと言う事なのは分かるが何故こんな事になっているのかと言う点だけは理解出来なかった。
逃げれるとは思えず素直に生徒会室にノックをした瞬間、ドアが勢い良く開いたかと思えば体を拘束され椅子に座らされた。ある意味恐怖体験だろう。
頭の中で、美琴はどうすれば良いかと何通りもの考えを巡らせている。
するとやっと○ンドウポーズを取っていたメガネをかけた黒髪の生徒会生徒会長・土草藤高校3年生が重い口を開いた。
「君が優姫君と婚約関係で同棲もしている井原美琴君だね?」
「そう、ですけど。あの、これは何なんですか?いきなり縛るとか」
「そうしないと井原君逃げそうだったから。ごめんね」
「すみません!すみません!止められなくて!」
「アンタが私達の可愛い可愛い優姫を誑かしてるのは知ってるんだからね!」
「明里ちゃん、私は誑かされてないですし、責めないでください!」
質問の答えが一向に返ってこないがやはり生徒会全員キャラが濃い。
美琴自身は生徒会など興味はなかったが、優姫が居る点から気にし始めたがやはり全員キャラが濃い。
同輩である明里の言葉に注意する様にプンプンしている彼女を見ると少し心が休まる。
だが、生徒会長の存在は初めて目視した。
藤は真面目そうな雰囲気を放っており、無表情の顔をしているが美琴は分かる。この生徒会は内面が面白い事が好きなタイプだと言う事を。
身内にそのタイプが居ると言う事もあるが。
「君、委員会には所属していないね?」
「え、まぁ、はい」
「それで部活動にも所属していない、、となると」
「、、、、、、、、まさか」
嫌な予感が全身を駆け巡ったのだろう、一瞬で顔を強張らせる。
次に来る言葉が予想出来た訳ではないが、これまでの経験上ただ1つの答えにしか導かなかった。
生徒会長は美琴の反応を見て、ゲンド○ポーズを辞め、口を開く。
「君に生徒会員になって貰いたい」
「お断りさせて頂きます」
「即答!!?」
「 」
「って、大きな声出してすみません」
「良いのよ、咲希ちゃん気持ちは分かるわ、私も、ビックリ」
「ふんっ、藤先輩のお誘いを断るなんて良い度胸ね!」
「、、、、本当にごめんなさい、美琴君」
「いや、桜木は悪くない、から」
何回彼女からの謝罪を聞かなければならないか、と思いながらも慰める。
彼女が悪い訳ではない、がこの状況下を作ったのは一様として彼女が居るから、強くは辞めろとは言えなかった。
苗字呼びをするのは仲が良いと見せないため。仲が良いと露天すれば断りきれなくなる可能性が十分あった。
即答して断った理由は簡単だ。
面倒ごとには巻き込まれたくはない、と言う事。
生徒会員になれば確実にクラスメイト達は勿論他クラスからの文句は絶えないだろう。
この学園では天使以外の生徒会員は当代の生徒会長の指名で選ばれている。
今現在土草藤以外の男子の生徒会員は居ない。
そして、美琴が選ばれた理由は本人も何となくは分かっていた。
「断る理由は何となくは分かるが、本当にダメか?」
「必ず文句は出ますし、それに丹波の恋人である園崎蘭先輩を誘えば良いじゃないですか」
「ッ、、蘭先輩には断られたのよ。そう言うのは肌に合わないって」
「にしても変な条件よね、男子の生徒会員は天使の恋人や身内が最優先、なんて」
「純恋ちゃん、わたしもそれは思うけど学園長が決めた事だから」
「とにかく俺は無理です。婚約関係にはありますが恋人でもないですし、それに、、、、桜木には迷惑はかけられないので」
「美琴君、、、、」
「、、、、苗字呼びを徹底しているな。だがこの映像だと名前呼びだな?」
藤がそう言って見せて来たスマホの映像には屋上の踊り場で一緒にお弁当を食べ名前を呼び合いながら会話をして居る2人の姿が映し出されていた。
それを見れば誰だって目を見開く。当然美琴も目を見開いて優姫を見てから他の生徒会のメンバーにも目を向けた。
最初から名前呼びな事もバレていたのか。
そう理解した瞬間、誤魔化す理由すらなくなってしまった。だが、1つの疑問点は浮かび上がる。
その動画を誰が取ったのか、そして誰がそれを生徒会長である藤に見せたのか。
一生徒ではないのはすぐに分かった。そんな映像が撮れたら一瞬で学校全体に広まって居るのが目に見える。
生徒会のメンバーが撮ったのは分かるが、誰が、と言う点。
藤が持って居るスマホのカバーの色は淡い赤色、ストラップには椿の花、それが見えた瞬間、美琴は1学年上の先輩である椿原咲希の方に視線を向ける。
そうすればビクッと体を震わせる。




