天使な婚約者には全てお見通し
誰が起きてる間に悪夢を起こしてくれと頼んだ。
「、、、、好き嫌い、知れたか?、、、、、、、、美琴君、これは?」
「 」
お風呂上がり、タオルで髪を拭きながらアイスを食べようとリビングの扉を開けた瞬間、暖かかった空気が極寒へと化した。
彼女からの質問など頭の隅に追いやられ、言葉を失うほどだった。
スマホには竜胆からだろう、LI○Eの通知が届いたのを優姫が見たのだろう。
お風呂に入る前、リビングのテーブルにスマホを画面が見える様に置いたのが悪かったのか、こんな時間に送ってくる竜胆が悪いのか、と頭の中で巡らせていた。
(言い訳、いや、言い訳が通じる様な相手ではないしな)
今日で何度目の混乱だろう。
目を瞑り現実逃避をしたくなった。
もし、今日のデート、が好き嫌いを知る為だけに誘った(半分は彼女の気持ちもあったが)と気付かれればいくら好意を向けているからと言っても引くだろう。
何を言えば良いのか頭の中で何回も何回も考えていたら、グイッと腕を引っ張られる感覚が美琴を襲い、急いで目を見開くと優姫を怒った様な顔をして見つめており、至近距離に居た。
無駄な事を考えている間、彼女は声をかけながら距離を詰めていたが無視されていると感じて、行動で気付かせる事にしたらしい。
だが至近距離での天使の怒り顔を見たら違う意味で言葉を失ってしまうのは男性の性らしい。
「ッ」
「美琴君、私の声ちゃんと聞こえてましたか?」
「、、す、すまない、考え事をしていて」
「考え事?、、、、あのL○NEの言い訳ですか?」
「、、、、」
「図星ですか」
「察しが良いな。流石天才」
「誤魔化そうとしても無駄です。もしかして、今日のデートも私の好き嫌いを知る為に誘ったのですか?」
「 」
「何逃げようとしてるのですか、美琴君」
怒涛の言葉の攻撃と同時に思惑が気付かれた瞬間、自然と足を踏み込み自室へと逃げようとするが、そう簡単に逃すほど優姫は甘くなく腕を掴んでいた手の力を強める。
目を逸らそうとするが、圧が強いのと言い訳も誤魔化しも効かない状況下にふざけると言う事も不可能だった。
そんな状況になったら流石の美琴も本当の事しか話すしかなかった。
「、、、、俺、お前の事全然知らないだろ?お前は俺の事沢山知ってるのに」
「!」
「知らないのに知った気になるのは嫌だし、婚約関係があって他人でもないし、それなら好き嫌いだけでも知れたら、と思って」
「そうだったんですか」
つらつらと本当の事を話すがこの声のトーンは罪悪感を含んだトーンだった。誰かを騙すと言うのは日常的に家柄などやって来て慣れていたはずだが、桜木優姫と言う深く知っている人物にした、となると心が痛くなる。
「だから、騙した形でスイーツフェア連れて行って悪かった」
「美琴君は騙してないですよ。多分ですが、私が行きたいってのを聞いてそれで連れて行ってくれたんですよね?」
「それに、何となくですけど何かを知りたがってそうだな、とは思っていましたし」
「!、、、、ハァァ、何で分かるんだよ」
「美琴君の事が好きなので。それに、知りたいなら聞いてください。私は何でも答えます、私だって美琴君の事まだまだ知らない事だらけです、だから、これからもっとお互い知れる事があります」
「、、、、そう、だな」
許す許さないの話ではなく、優姫は怒るんじゃなく全てを分かっていたかの様に優しい笑顔で受け入れて新しい提案までして来た。
それに驚きながら辿々しくも返答し、彼女の優しい笑顔にドキッと一瞬なったが幻覚だろうと気付かないふりをする美琴だった。
彼女の笑顔を見ると何故か全部どうでも良いと思えてしまうのは世界の摂理なのだろうか。
やはり天使は最強なのか、と美琴は心の中でふざけながら、今回の原因にもなった竜胆を休日明けに起ころうと決意した。
「ぁ、勿論1番好きなのは美琴君ですからね」
「それを自信満々に聞かされる俺はどう答えたら良いんだ」
「嬉しそうに?」
「気まずいだけだろ」
そんな会話をすれば自然と笑顔になり、無意識に彼女の頭を撫でていた。
キョトンとしたと思えばブワッと言う効果音が出そうな程に顔を真っ赤にして嬉しそうでだけど何かを耐えている表情をしながらもっと撫でて欲しそうに撫でていた手を頭に押さえ込む。
甘えていると一瞬で察知し、心臓が時速300キロの勢いで握り潰される感覚になりながらも撫で続けている美琴は多分だが何かが限界突破しているだろう。
この光景を学校の男子生徒が見れば羨ましと嫉妬で呪うか祟るかのどちらかなのは間違いなかった。
2日後の昼休みの教室の隅、黙々と美味しそうにお弁当を食べる美琴、隣をチラッと何回も見ながら静かにサンドイッチを口に含む蓮華、そしてプルプルと震えながらタコさんウインナーを箸で掴む竜胆の姿があった。
いつも通りお弁当を一緒に食べに来た紫苑がその光景を見て驚き、自分の彼氏そっちのけにその弟である蓮華に話しかけた。
「、、、、蓮ちゃん、何で竜ちゃん空気椅子してるの?」
「紫苑、なんか美琴を怒らせちゃったみたいで、竜胆の奴」
「えぇ〜、本当?確かに怒った顔をしてるけど」
そう、竜胆は空気椅子を美琴に強いられていた。
と言うよりかはLIN○の事を怒りそれを聞いて「ぁ、やっぱり好きな人居るって事じゃん!」って言った事で空気椅子の刑を実行した。
それを反抗すればもっと強い刑をされると分かっているから静かにその刑を受け入れてご飯を食べている。
「、、、、美琴さん、もう揶揄いません。だから慈悲をください」
「お前絶対に揶揄う為に○INEして来ただろ?」
「ごめんなさい、気になっただけなんです。それをまさか他の人に見られるなんて思ってなかったんです」
実際は竜胆に非は殆どないが、バレてしまったって事への苛立ちを向けるのに1番最適なのが竜胆だったから、美琴は言わば逆ギレをしていただけだ。
理不尽と言われるだろうが、それを蓮華そして彼女である紫苑が止めないと言う事だけで竜胆のやらかしが物語っているだろう。
「美琴って変な所で怒るよね?」
「多分、一瞬地獄を味わったからじゃない、かな?」
「もう少し心が広ければ良いのにね、狭いよね」
「、、、、ほぉ、紫苑も空気椅子が所望か?」
「いえ!!美琴様は心がお広いです!」
「!、紫苑見捨てたのか!俺を!?」
「ごめん、美琴は強いから。隠れドSだよね」
ドSと言われるがただ思った事を言っているだけだ。
変に気を遣って伝える言葉を優しくしたり、嘘をつくのは出来るがこの3人の前で気を使う程を優しい人間じゃない。
パクッと彼女の作ったエビフライを食べて頬を緩ませながら涙目で食事をしている竜胆と苦笑いしながらも助けず食事をする蓮華と、怒られたくないからと変な事を言わない様にして食事をする紫苑の3人を見るとこの3人が友人、親友で良かったと思う。
だが、危機的状況に陥る状況にしたら話は変わるのが友情なのだろう。
だが、美琴はこれ以上よりも最悪な状況に数週間後陥るとは思いもしなかっただろう。




