天使な婚約者との帰り道
カーカー、とカラスの鳴き声が聞こえそうな綺麗な夕焼け空の放課後、殆どの生徒が帰った校舎の昇降口に佇む美琴は下を俯きながら、ある人物を待つ。
人影が視界に入り顔を上げて視線を向けると、生徒会終わりの優姫が立っていた。
あの日一緒に帰った日から生徒会のある日だけは一緒に帰る事にしていた。生徒からの人目がないと言う理由からそうしているが、生徒会のない日は一緒に帰れったりでもすれば、生徒からの恨み嫉みの視線が送られるのは決定事項だ。
そう思いながら、嬉しそうなニコニコとした表情をしてる優姫を見つめる。
「んじゃ、帰るか」
「はい。帰りましょう、、、、少し寒くなって来ましたね」
「ぁ〜、だな。この前まで秋が来たって言ってたのに、本格的に寒くなって来たな」
「コタツ、美琴君のお家から頂いたの仕舞ってましたけど、出しましょうか」
「そうだな。週末にでも出すか」
校門を出て帰路に着きながら淡々と気まずさを感じない会話をしながらまるで夫婦の様な会話を無意識でする美琴と優姫。
側から見ればただのカップルだろうがまだ付き合っても居ないのが不思議なまでである。いずれは夫婦関係にはなるが、そこに片方が恋愛感情が芽生えるかが謎であるが。
隣で寒そうにして両手を擦り合わせている彼女を見て、小さく白い息を吐きながら、ポケットに手を突っ込むと昼休みに紫苑から貰った数個の飴玉があり、同時にアドバイスと思い付きも思い出した。
丁度横断歩道の信号が赤になり立ち止まったので、その中から2個取り出して、彼女の前に差し出す。
「?」
「友人から貰ってな。沢山貰ったから居るか?苺味と、、葡萄味なんだが」
「!頂きます!苺と葡萄好きなので」
「、、、、なら良いけど」
苺と葡萄が好き、と美琴は頭の中で何回も復唱する。
パァッと嬉しそうな表情をして手から飴玉を取るその小さい手が少し赤いのを見て、寒いのが更に伝わる。
好き嫌いを知る前に寒くされるのは耐えられないし、自身も寒いので信号を渡った先にあるスーパーに視線を向ける。
「カイロ、買って帰るか。明日から使えれる様にな」
「、、、、そうですね。ぁ、お買い物行っても良いですか?今日、鶏肉と大根とキャベツ、それとトイレットペーパーとお米が安いので」
「りょーかい。重いもんは俺が持つから」
「ありがとうございます」
そう会話をし、横断歩道を渡りスーパーに入る。
一緒に帰る日や休日には出来るだけ食料品や日用品などの買い物を一緒にする様にしている。
テキパキとカゴを手に取りカートに置き押す。これがいつものだ。
家に必要な食料品や日用品からお菓子類、飲み物類などをスマホを見ながら優姫がカゴに入れる。重いお米などは美琴がカゴに入れる。
買い物が楽しそうにしている後ろ姿を見るのは心なしか心が躍る。
「優姫は、買い物が好きなのか?」
「好きです。周りが買ってくれる事が多かったけど、こうやって自分の手で買うのって新鮮って言いますか」
「俺は買い物ってめんどくさいなぁ〜、とかわざわざ時間使って買うって言うよりかは寄り道ぐらいならめんどくさくないけど」
「そう言うタイプですか。私も買うはずだった物を忘れた時は嫌だなぁ、めんどくさいなぁって思いますよ」
「それは俺も思うわ」
少しずつだが自然と好き嫌いの情報が溢れて、それを知れているのが少しずつだが嬉しさが溢れ出る。
美琴が同意をすればニコニコしながらアイスをカゴに入れているのを見て笑顔になってしまうが、箱のアイスを5箱も買っていてそれはそれで引いてしまう。
それから買い物を終えて、お米とトイレットペーパーを軽々と持ちスーパーを出るとビューッと強い冷たい風が吹く。
「うぅ、寒いな。こりゃカイロ買って正解だな」
「そうですね、、、、、、、、アレは」
「?、どうした?優姫」
帰路へと着いていると急に立ち止まる優姫に数歩先に歩いていた美琴も立ち止まり振り返る。
彼女の視線の先に向かっている方に視線を向けてると、ホテルの広告だった。そこに書かれていたのを目を凝らす様に目を細めて見てみると、季節のフルーツのスイーツフェアと書かれており横には食べ放題とも書かれていた。
優姫の隣に戻り彼女の顔を良く見直すと、キラキラと目を輝かせており、口を強く閉じており、それが興味のある気になるの時彼女がする仕草だと美琴は記憶しており気になるって言う事がすぐに分かった。
「行きたいのか?」
「!、、、、ぁ、いえ、その、えっと」
「動揺し過ぎ、落ち着け」
声をかけるとアワアワしながら動揺を隠せず誤魔化そうとしている彼女を見て心の中でキュンとしながらも、落ち着かせようとする。
此処まで動揺されるのは新鮮だが、好きかもしれないと言う新情報に少しながらもワクワクしているがそれを隠しながら、何とか情報を出そうとする。
その間にスマホを取り出して誰かに連絡を取るのを気付かれずにする。
「、、、、、、、、昔、あのホテルの他の市のホテルのスイーツフェアに良く祖父母に連れて行って貰ったんです。毎年。それで、好きなんです。子供の頃も思い出せて」
「、、、、なら、行くか。ほら、スイーツフェアの初日予約取れたし」
「そうですか、、、、、、、、え?」
スマホを徐に取り出した美琴が行って送られた予約のチケットを優姫に見せると、いつも通りの落ち着いた声のトーンで返事したが、言われた事を理解した瞬間驚きの表情が露わになった。
珍しい驚きの表情から困惑の表情に変わるのが分かって少し面白いな、と笑いそうになるのを我慢しながら反応を見る。
「嘘ですよね?予約取れた??祖父母でもギリギリ取れたのですが」
「ぁ〜、言ってなかったと言うか知らないか?あそこのホテルの名前は?」
「ホテルの名前はローズホテ、、ぁ」
「そう、あそこ俺の家と言うか叔父さんが社長してるホテル。誕生日祝いって事でお願いしたら簡単にくれた」
「失念してました。美琴君のお家が経営してある企業は覚えてたのですが」
「いや、俺でも知らない会社あるから、大丈夫だっての」
寧ろ会社まで覚えようとか普通は考えないからな、と思いながらも悔しそうな顔をしてる優姫を見れたのでよしとしようと思う美琴であった。
それに美琴としては初めての事をした。誰かの為に家の力を使ったのは。
昔は周りからお願いされる事が多かったし、嫌々ながら断っていた。だが、彼女の前にするとそんな気持ちは最初からなかったかの様に自然と身内にお願いをした。
やはり、彼女が尊の根本を少しずつ変化を与えていっている存在なのは間違いなかった。それからまた歩き出していると少し優姫の動きが遅くなる。
「、、、、良いのですか?」
「ん?、何が?」
「その、スイーツフェアの予約」
「良いのって、、俺も甘いの好きだし、お前の好きなもん食べさせたいのはお前もやってた事じゃん?」
「!」
誕生日に美琴の好きなケーキを食べさせてくれたからそのお返しだと言う様に言えば優姫は思い出してたのであろう顔が赤くなっていた。
美琴の言葉で照れたのだろうそれを一切本人だけが理解していなかった。




