天使な婚約者は生徒会書記
気付いたら教室の席に座り昼休みを告げるチャイムが鳴った事に気付いた美琴は丸1時間意識が何処かへと行って放心状態だったらしい。
意識が戻って最初に目に入ったのは教室の外を見ながら騒いでいるクラスメイト達の姿だった。
教室内をキョロキョロと見るが優姫の姿がなく、外に居るのか?と思いながら立ち上がりかけた時、誰かの声が耳に入った。
「おい、生徒会の天使様達だぞ!」
その言葉を聞き、美琴の動きが硬くなった。
つい1時間ほど前天使みたいな彼女の姿を見た弊害だろう。
だが、生徒会と天使と言う単語を聞いて、ある事を思い出す。
天使の称号を持つ生徒は全員生徒会に入っている、と言う事に。学園創立からその生徒があったとかなかったとか、色々積み重なりそうなったらしい。
(優姫も生徒会に入ってるって事か)
此処に来ての新たな新情報に驚きと、成績優秀と言うスペックを思い出し納得をする。
廊下の方の覗き込む様に、体を動かすと数メートル離れた所に立つ優姫の姿と3人の少女が居た。
「アレが生徒会、ね」
小さく呟きながら美琴はネクタイの色を確認する。優姫の1番近くに立ち160半ばはありそうな身長を持ち優姫とは違う穏やかそうな表情をした穏やか系美少女とその少女の隣に立ちメガネをかけハーフアップをした真面目だが、意外と天然ビビり系美少女のネクタイの色は2学年の水色だった。
1年生は赤色の為すぐに違いが分かる。
その逆で最後の1人は同じ赤色のネクタイをつけツインテールに少し明るめの髪色、そして明らかにツンデレの雰囲気を放つ猫系美少女。
そしてその中でも霞まず、寧ろ更に美少女度が跳ね上がっている優姫と言う構図を惚れ惚れしながら見ている生徒達を見て呆れてしまう。
「おっ、美琴〜、とうとう生徒会に興味が出たのか〜?」
「竜胆、いや、別に」
「ふっふっふっ、そんなお前に優しい俺が教えてやろう!我らが天花学園の生徒会メンバーであり天使達を!」
「頼んでない、蓮華」
「ごめん、言っても聞かなくて。止めても無駄だと思うし」
唐突に後ろから声をかけたと思えば頼んでもない生徒会メンバーの紹介に移行する竜胆にも呆れてしまうが、弟である蓮華が止められないのであれば、無理だと悟った。
正直、他3名の事も優姫と関わる事で知る機会が増えると思い教えられるのは少し好都合とも感じていたがそれは口にはしない。
それから、竜胆は自慢げに紹介をし始めた。
「まず1番身長の高い人が【菫の天使】こと2年生副会長・谷宮純恋先輩!包容力・妻力を兼ね備え、微笑む姿でいくつもの男どもを倒したと言う逸話があるらしい。因みに生徒会長と交際中」
「その隣のメガネをかけた人が【椿の天使】こと生徒会会計・椿原咲希先輩!真面目だがたまに見せる天然さと純粋さであまたの男どもが気を失ったと言う伝説があるらしい。因みに恋人は居ないらしい」
「そして同じ学年のツインテールをした人が【牡丹の天使】こと生徒会広報・丹波明里!ツンデレそうな雰囲気とたまに出る猫っぽさで無数の男どもが心を奪われたと言う伝承があるらしい。因みに俺と蓮華の兄貴と交際中」
「へぇー」
「聞いてるか?」
「聞いてる聞いてる」
適当に返事をしてはいるが、熱量たっぷりに説明されれば威圧感はあるし聞き逃そうとも出来る訳がなかった。
と言うか、あるらしいって信用性の低い事を良く言えるな、と美琴はそう思いながら微笑みながら生徒会メンバーと会話をしている優姫を見つめる。
適当に返事をしてはいるが、熱量たっぷりに説明されれば威圧感はあるし聞き逃そうとも出来る訳がなかった。
と言うか、あるらしいって信用性の低い事を良く言えるな、と美琴はそう思いながら微笑みながら生徒会メンバーと会話をしている優姫を見つめる。
「んで最後が我らが【桜の天使】こと生徒会書記・桜木優姫!穏やかな笑顔と小柄で可愛らしい姿が目を惹き、ニコッと微笑めばそこらの男どもを滅殺すると言う伝記があるらしい。恋人は居ないのは同じクラスでも分かる事!」
「へー」
知ってるけど、言いそうになったが滅殺するとはどれだけチョロいんだと思った美琴は、多くからでも分かるほど作り笑顔をしてる彼女の姿を見て少し可哀想だと思えた。
数分経つと生徒会のメンバー達が離れ、優姫も教室でお弁当を取ってからまた教室を出た。
美琴と竜胆、蓮華は教室に戻り弁当を食べようと椅子を運んで集まる2人を見ながら椅子に座る。
「ほんと、天使様達は可愛いよなぁ」
「可愛いってお前彼女居るだろ。紫苑って言う」
「そんなの分かってるっての!紫苑が1番可愛いのなんて当たり前の話だろ!」
「はいはい、そんなの分かってるよ、、、、って美琴今日はお弁当なんだ」
「ん、ぁー、そんな感じ」
「珍し!いつも売店で買ってんのに、とうとうシェフに頼んだ?」
「シェフって言うな」
竜胆と蓮華には美琴の家柄の事は知っていた。たまたまバレたと言う訳だが、それが億劫と感じた事がないのはこの2人の性格故だろう。
シェフと言われたら、確かに実家にはシェフが居るがお弁当は毎回豪華になるからと言う理由で実家に暮らして居た時は作らせなかった。
弁当袋を開けようとした瞬間、ポケットに入れていたスマホが震えたのを感じとり、スマホを取り出し確認すると優姫からLI○Eが来た。
(何かあったか?)
少しの驚きと何かがあったかもしれないと言う不安を感じながら美琴は通知を押すと来て居たメッセージには[今すぐお弁当を持って屋上の階段に来てください]と書かれて居た。
詳しい要件を書いて居ない事に明らかに彼女が焦っていると察したのか、2人に別で食べると言い、お弁当を持ち急いで屋上に行ける方の階段を駆け上る。
「ぁ、いば、じゃなくて美琴君」
呼吸を荒くしながら最後の段差を踏んだ瞬間に見えた彼女の表情は焦った表情から美琴の顔を見てホッとした表情に変わった。
「優姫、どうした?なんかあったのか?」
「いえ、その、お弁当を開けて貰ったら、分かると言いますか」
「?」
照れている訳ではないのに顔を赤らめる彼女を見て不思議に思いながらも弁当の封を開けると、弁当の中身がまさかの両方白米に梅干しと言うダブル日の丸弁当になっていたのだ。
思わず目が丸くなるもので、「え」っと声が小さく溢れてそれが聞こえたのだろう優姫は更に恥ずかしそうにして謝ってくる。
「ごめんなさい、初めて2つお弁当作ったから、嬉しさで間違えちゃって。生徒会室で私のお弁当見ておかずだけって気付いて」
「いや、謝らなくて良いっての。つか、こう言うミスするんだな、何でも完璧に出来そうだと思ってた」
「う、、、、悪かったですね」
更に顔を赤くする優姫の顔を見ると揶揄いたくなる加虐心がくすぐるが、泣かせたい訳でもないのでここまでにしておく。
だが、わざわざ呼び出されて今から教室に戻る、とまでの行動力はないので、壁に背を向けてその場に座る。
それを見て驚く表情をする彼女を見上げながら彼女のお弁当も開ける。
「お互い1人で食べるより一緒に食べた方が良いだろ。此処は誰も来ないしな」
「、、、、そうですね。感想も直で聞けれますし、寧ろ好都合ですし」
ピタッと隣に座り箸入れを開ける所作はただ綺麗に見え見上げる姿から見下ろす姿に変わっても可憐さは変わらないのはやはり彼女の魅力なのだろうと思い弁当に入っている卵焼きを口に入れる。
ふわっと甘味が口の中に広がり、噛めば噛むほど甘味が強くなり、だし巻き卵を食べ慣れていたが甘い卵焼きも美味しいと新たな発見をした。
だが昨日と今朝食べた卵焼きはだし巻き卵だったが、こちらの方が好きなのだろうかと思いながら、彼女の方に視線を向ける。
「美味い、、卵甘い派なんだな」
「いえ、だし巻き卵も好きですけど、卵のサンドイッチ食べてる事が良くあったので。売店のサンドイッチは甘いと聞いた事があって」
「確かに甘かったな、あの卵サンド。、、、、もしかしてこの弁当俺の好みの味付けにしてる?」
「、、はい。出来るだけ好きな感じの味付けにしてみたんですけど、」
期待した様な表情を向けてくるので、唐揚げを食べると衣が冷めていていてもサクッと言う食感で、醤油味かと思ったがニンニクを使っているのか本当に好きな味付けだった。
醤油の味が濃くなく、それでいてニンニクも強くは感じないがちゃんとお互いの味がして、かき消していなく、白米を食べる箸が自然と動く。
美味しそうに食べていたのか、嬉しそうな表情をしながら箸を持ったまま見つめてくる目を見てしまうと感想よりも食べた方が喜ばれるんじゃないかと思ってしまつ。
それよりも手作りのお弁当を食べていると言う事に幸福を感じている部分がある。
普段売店で買った商品で味気なさを感じていたがこれからはお弁当を食べられると思ったら幸せなんだろうな、そう思いながら優姫に食べる様にと膝で肩を突く。




