紅玉大学の魅了
真白ちゃんがこの埼玉のFラン大学である紅玉大学に通うなんて、なんて無駄な事を! 人類の損失だよ! 真白ちゃんのような天才はもっと良い大学に行くべきだ。 四年間を無駄にする気か。
「おお! 真白ちゃんが紅玉に来てくれるなら大歓迎だよ。出来れば我が美術サークルに入って欲しいな」
「真白のBL絵が毎日生で見れる……うちも歓迎するよ!」
「待ってよ雪菜、陽花。真白ちゃんはこの大学には相応しくないよ。私達よりずっと頭良いもん。東大とか行けるような子だよ?」
「朝にも言ったよねお姉ちゃん。僕は退屈なんだよ。きっとどの大学に行っても今と変わらない日々が待っているんだ」
真白ちゃんは退屈から解放されたがってる。紅玉に入ればその願いが叶うと思ってるんだ。……うちの大学の講義内容は真白ちゃんからすればレベルが低すぎて退屈でしかないと思う。
「でもお姉ちゃん達と居ると楽しそう! 雪菜先輩も陽花先輩も師匠も姉御も居て毎日退屈する事がなさそうだもん!」
まぁ確かに退屈はしていない。いつも誰かがトラブルを起こすから。特に雪菜と新月。
「僕もお姉ちゃん達と一緒に大学生活を送りたい!」
「真白ちゃんもこう言ってるし良いんじゃない? 妹の決意を認めてあげなきゃ!」
「まぁ……真白ちゃんがそう言うなら……」
「折角だから大学案内してよ!」
「真白ちゃんが言うなら……妹の進路の為だもんね」
「紅玉には個性的な人達が沢山いるからね! 真白ちゃんも退屈しないと思うよ!」
雪菜がそれを言うか。なんなら一番個性的なのに。それを言ったら毒を吐かれるからやめとこう。
真白ちゃんの師である新月はずっと部室の隅で気配を消していた。やっぱり何か知ってるじゃ……ていうかみなもはいつまで覗いてるんだろ……
「お前等! もったりしてるかー!」
「きゃー! 夢弦様ー!」
「響様、照れる所も素敵!」
もったりメロディーズはいつも人気だ。そしてもったりしている。
「バンドサークル……うちの高校の軽音楽部とは違う雰囲気だ」
「百合とバンドは切っても切り離せないからね。バンド作品の『くらしっく!』や『ロックザリア充』がヒットするのも当然だよ」
そして百合園の最終兵器『君と奏でるメロディーに愛を乗せて』も控えている。時代はバンド百合だ!
「BLとバンドだって相性良いよ。僕がイラストを担当した『あいつの琴線に触れて』は大ヒットしたからね」
私も読んだ。放課後の教室で孤独にギターを演奏する主人公。それを聞いて心を動かされた男子高校生が二人でバンドを組むBLバンド。男の子同士の友情を越えた恋心というものも尊い。百合厨の私でも心を動かされる。真白ちゃんの絵の効果もあるのかな。
「ちなみになんだけど……その軽音楽部ってどんな感じ?」
私としては女子高の軽音楽部に興味津々だ。
「別に……普通だよ。文化祭の時に演奏したりしてた。仲も良いみたい」
「ああ……きっと普段から部室でお茶したりお菓子食べたり緩くてふわふわしてるんだろうなぁ。それでキスとかしたりして……」
「アニメの見過ぎだよ。バンドを始める理由なんて大半がモテたいからとかいう邪な理由だもん。この人達だって多分そんな理由だと思う」
こんなにもったりしてるんだしきっと純粋な理由だと信じたい。どちらにしろ私は尊ければ良い。
「おお! 今日の観客には新顔さんが居るね! そこの真っ白髪の君だよ!」
真白ちゃんの事だ。というかこの人達は観客の顔を全て把握しているのか……
「せっかくだから歌ってみる? ボーカルが逃げてからずっと響が歌ってるんだよね。でも響って歌下手だからイマイチもったりしないんだよね」
だからって観客に歌わせるのか。この前の事と言いこういう無茶振りするからボーカルの人に逃げられたんじゃ……
「次はあの子か……私達では響様の変わりは務める事は出来なかったし……」
「どうせあの子も適合者にはなれないよ」
「もったりしてないし」
このサークルではこれが普通らしい。ボーカルを観客の中から探しているという事か。
「え? 僕がこの人達に混ざって歌うの?」
「そうだよ! 君の歌声を聴かせて欲しいな! それで私達が気に入ればもったりメロディーズに入れてあげる!」
「あの……真白ちゃんは人見知りでこう言うのは苦手で……」
「ちょっと! 夢弦様が頼んでるのに断るっていうの?」
「歌いなさいよ!」
気が付くと観客達に囲まれていた。もう逃げられそうにない。こんなの無茶苦茶だ……数の暴力だ……こうなったら真白ちゃんが美声を披露してこの人達を黙らせるしかないな。
「えっと……僕は何を歌えば……」
「好きな歌を歌えば良いよ。私達はただ聴いてるからさ。ていうか演奏出来ないし」
真白ちゃんが壇上に連れていかれた。そういえばこの人達は一曲しか演奏出来ないんだっけ。レパートリーが少なすぎる……それでよくプロを目指すなんて言えたものだ。
「ええっと……ええっと……」
真白ちゃんがパニックになってる。助けに行きたいけど観客達に囲まれて身動きが取れない。
「大丈夫だよ! 好きな歌を歌えば良いんだから! いつもカラオケとかで歌ってるやつで良いから!」
「……カラオケとか言った事ないです……行く友達もいないので」
「あぁ……そうなんだ、なんかごめんね。でも好きな歌とかないの?」
「……特になしって感じですね」
真白ちゃんは昔に比べたら人見知りしなくなったとはいえやっぱり内気な女の子だ。だからみなもや新月と気が合うのかも知れない。こんな人前で歌えなんて言われたら緊張するに決まってる! ちなみに私だったら『時グル』のエンディングテーマである『お吸い物とピーナッツ』を熱唱していただろう。あの曲は作品とマッチし過ぎていて何度聴いても飽きない。ふがしちゃん達がノリノリで熱唱しているのが尊い。
「ふーん……君って陰キャぼっちちゃんなんだ。つまんねー女」
「もう鐘ったら! 真白ちゃんだっけ? 気にしなくていいからね」
その心ない一言に真白ちゃんの何かが外れたようだ。
「いいんだいいんだ、どうせ僕なんか友達いないぼっちだし、陰キャだし、人見知りだし、根暗だし、はみ出しものだし、性格も内気だし、煙たがれてるし、誰も寄って来ないし、僕が居ると皆離れ出すし、普段は無口だし、独り言多いし、知り合いの前だけお喋りだしそういうとこがいかにも陰キャだし、頭良いの自覚しててそれが鼻持ちならないと思われてクラスメートから好かれてないし、クラスでも浮いてるし、クラスの嫌われ者だし、授業態度悪いし、教師からも好かれてないし、人の話聞かないし、授業も殆ど聞いてないしでも天才だから勉強しなくてもテストは毎回満点だから余計に皆から嫌われるし、あんな簡単なテスト勉強が何で皆出来ないのとか思ったけど口に出したらほんとそういうとこだぞとか思われそうだからやめたし、人の言った事すぐ忘れるし、教師に頼まれた事忘れて寮で絵を描いてたし、もう頼まないって呆れられたら心の中でなら最初から頼むなよと舌打ちしてたし、性格悪いの自覚してるし、いつも一人で居るし、妄想ばかりしてるし、エッチな事ばかり妄想してるし、男の子同士があんな事やこんな事しているのを妄想してニヤニヤ笑みを浮かべてるし、筋金入りの腐女子だし、エッチな妄想しながら自慰行為にふけっているし、街ゆく男性をエッチなBL絵のネタにしてるし、その度にニヤニヤ笑みを浮かべてるし、休みの日は昼まで寝てるし、起きたらずっと絵を描いてるし、寮でも勉強なんて殆どしないし、でも毎回満点取れちゃうし、絵を書く事しかしてないし、他の事はしようともしないし、ていうかしないし、自分からは何もしないし、人に物事を押し付けるし、自分で解決しないししようともしないし、クラスメートに助けて貰ってもお礼なんてしないし逆に恩を仇で返すし、教師に注意されても改善しないしするつもりもないし、同じ失敗を何度も繰り返すしそれでも何とかなるしして来たし、何故なら僕は天才だから、それを言うとそういうとこだぞと言われるから心のなかで留めておくし、クラスメートに迷惑かけるし、書道の授業の時に隣の子の靴下を墨汁で汚したけど意固地になって謝らないし、その子は気にしないと言ってくれたのにこんな態度を取る本当に僕って最低の屑だし、だから嫌われ者なんだろうし、クラスで孤立してるんだろうし、忘れ物多いし、教科書とかの授業道具を寮に忘れて隣の席のクラスメートに見せて貰ったのに別に必要ないしとか言って無駄に格好付けて見ようともしないし、滅茶苦茶失礼な態度取って折角優してくれたのに最低な事したし、そのお返しにその子が授業道具を忘れた時見せたり貸したりもしなかったし、陰キャ特有の無駄にテンション高い時あるし、そういうのがうざいんだろうし、疎まれているんだろうし、避けられているんだろうし、嫌われているんだろうし、友達が出来ない理由なんだろうし、つまりは自己中なんだろうし、周りが見えていないんだろうし、気配りとか全く出来ないしするつもりもないし、結局変われないんだろうし、好き嫌い多いし、奇行が多いし、花を植えたタイヤを跨いで遊んでたら怒られたし、変態だし、むっつりだし、スケベだし、性欲強いし、性教育の授業とかいつもニヤニヤしていたし、水着になるのが嫌で水泳の授業はいつもサボっているし、本当は泳げるけど泳げないと嘘付くし、生理中だからと見学しているけれどいつまで生理続いてるんだと言われてもおかしくないし、でも皆心配してくれるし人の優しさに付け込んでいるし、やっぱり最低だし、授業聞かずに自分の世界に入って妄想ばかりしてるし、ぶつぶつ独り言ばかり言ってるし、机やノートに絵を描いているし、授業中にいきなり一人で笑ってたしその度に周りから変な目で見られてたし、黒板に描かれた事をノートに書き取らないし、教科書も授業内容とは関係のないページを開いてるし、その内容も簡単過ぎてこの先も退屈だなと感じていたし、結局満点取るし、嫌いな生徒が前の席だったから消しゴムをちぎって投げちぎって投げを繰り返してたら教師とその生徒に滅茶苦茶怒られたし、陰口を言っていた生徒達の所へわざわざ行って反撃のつもりで暴言を吐いたら怒って取っ組み合いの喧嘩になったし、結局その時もお姉ちゃんに慰めて貰ったし、文化祭の準備も全然手伝わないしそれを逆に格好良いと勘違いしていたし、学校行事に参加せず孤高を貫く自分に酔っていたし、結局文化祭にも体育祭にも参加してないし、この頃から学校をサボるようになっていたし、思えば幼い頃からこんな子供だったと記憶しているし、寒いのに強いから真冬なのに一人だけ半袖短パンだったし、教師から長袖を着なさいと注意されてもシカトしてたし、小学生の時からクラスメートに嫌われてたし、体育の授業で僕がチームに入ると泣き出す奴居るし、そんな態度取られたらやる気が削がれて結局試合の役に立たないしお荷物だし本当何なんだし、体育は得意だけど唯一逆上がりだけは出来なくて他の出来ない生徒達は教師に補助とか手助けして貰いながら成功させていって皆出来るようになってめでたしめでたしなのに僕だけ出来ないままだしずっと一人で鉄棒とにらめっこしてたし、協調性ないし、過去にお姉ちゃんが逆上がりを見せてくれたけどぐるんぐるん回ってたし百回転くらいしていたと記憶してるからドン引きしてしまった、そしてまたお姉ちゃんに劣等感を抱いてしまった訳だし本当に出来の悪い妹だし、お姉ちゃんの事が好きでお姉ちゃんみたいになりたいと思ってお姉ちゃんの真似してたし、自分を変えようと中学生で美術部に入ったけど部員達と上手くいかず結局1年足らずで退部する事になったし、それなら一人で絵を描いていた方が楽しいし、人と上手くやれるなんて幻想だったし、最初の内は美術部内で僕の絵の実力を披露して皆を驚かせて人気者になれるのかと妄想していたけれど現実は皆僕の絵を見て上手過ぎるとドン引きしてたしエンジョイ勢の集まりだからガチ勢はお呼びではないみたいな空気だったし、結局変われないままだし、実はクラスで人気者でモテモテなんじゃないかと妄想していたけど無口で変な子だと陰口叩かれてただけだし勘違いも甚だしいし、寧ろ疎まれてるし、心底嫌われていたし、テスト前なのに勉強しなかったけど中学時代のテストはずっと満点だったし、教師やクラスメート達からは頭良いけど変な子という扱いだったし、お姉ちゃんみたいにはなれないままだし、お姉ちゃんの事が大好きで血縁関係にあるけど恋心を抱いていたし、結婚を夢見ていたし、ずっとお姉ちゃんの事を付け回して観察していたし、お姉ちゃんの言動は全て把握してるし記憶してるし再現出来るし、それは全てお姉ちゃんへの愛だと自覚してるし、それくらいお姉ちゃんの事が好きなのにお姉ちゃんは僕を選んではくれないし、悔しいからそのうちお姉ちゃんを困らせてやろうと思ってたら師匠がお姉ちゃんと姉御のエッチを見る為に張り付いてやれば良いと教えてくれたのでエッチを見る為に帰って来てお姉ちゃんのストーカーをしているだけだし、そうしていたらこの大学に興味を持ち始めたのでお姉ちゃんに大学案内をしてもらっていたら歌う事になっただけだし、そもそも学校で何か嫌な事がある度にお姉ちゃんに慰めて貰っていたのにこんな嫌がらせしてるなんて僕って本当に最低な奴だな、でもいいんだいいんだ」
……色々言いたい事はあるけど、暗すぎだよ! ネガティブ過ぎだよ! 真白ちゃんってそんな自虐するような子だったっけ!? あとやっぱり新月の入れ知恵か!
「真白ちゃん! ツッコミどこは多いけどあえて言うなら逆上がりで百回転もしてないから!」
「そこかよ、もっと指摘するとこあったでしょ」
「今の……もしかして君の歌かい?」
ベースの鳴音さんが真白ちゃんに興味を持ち始めたようだ。さっきはつまんねー女呼ばわりしていたのに……
「いえ……駄目な僕の人生を語っただけですよ……」
「素晴らしい歌詞だ! これこそがもったりメロディーズが求めていたものだ! 君の存在が必要だ!」
「え……」
真白ちゃんがもったりメロディーズに勧誘されている!
「くくく……君はおもしれー女だったようだな」
「確かにさっきのを歌詞にすればいい歌が出来そうだよ! 入ってくれる?」
「ちょ……ちょっと待って! 真白ちゃんは入るなんて一言も言ってないですよ!」
「……僕の駄目な所をこんなにも肯定してくれる人達は初めて……こんな僕を必要としてくれてる……協力しますよ」
「真白ちゃん!?」
「僕は今日からもったりメロディーズのボーカル担当ですから!」
色真白。晴れてもったりメロディーズ入り決定。
「良かったね響! 新しいボーカルが入ってくれたよ! これで賛歌ちゃんが戻ってくるのを待たなくても……響?」
「いいんだいいんだ、どうせ私なんて友達いないぼっちだし、陰キャだし、根暗だし、人見知りだし、頭悪い馬鹿だし、落ちこぼれだし、勉強出来ないし、宿題とかやらなかったし、テストの学年順位も下から数えた方が早いし、毎日居残りしてたし、大学でも単位足りないし、全ての教科が苦手だし、てか得意な教科なんて無いし、零点を取った事もあるし、勉強しないし、学習しないし、復習しないし、点数が上がる見込み無ないし、人から好かれてないし、こんな性格だから後輩の賛歌ちゃんに逃げられるし……」
「真白ちゃんのネガティブが伝染してる!」
「響! 私と鐘だけは友達だからね!」
「歌詞のタイトルは『人間失格』で決まりだ!」
ちなみに真白ちゃんはまだ高校生なのでサークル入りはお預けとなった。
「必ずこの大学に入ってもったりメロディーズの一員として貢献してみせます!」
折角なので他のサークルも見て回る事になった。
「おや? 久し振りだね色君。我がキャンプサークルに入る気になったのかな?」
グラウンドの隅っこで岡野部長がテントを張ってキャンプしていた。ていうかこんな所でキャンプしてて良いのかな。
「安心してくれ、学長には許可を取っているよ。無断でこんな事してたら説教されるからね」
「もう部室キャンプはやらないんですか?」
「部員の皆が飽きてしまってね……やはりキャンプというものは外でやるものだよ。キャンプ場に行くお金がないのでこうして大学のグラウンドでやっているんだけどね」
確かにここなら他のサークルの迷惑にもならないと思う。お金もかからないしキャンプにはうってつけだ。今度からはグラウンドキャンプ。略してグラキャンが流行る……訳無いか。
「私としては君が友達と仲直り出来て良かったよ。これでも心配していたからね」
「すいません、心配させて……でももう大丈夫ですよ! 新月は私の大切な親友ですから!」
「あの……この人は……」
「おや、見ない顔だね。私は岡野涼。キャンプサークルの部長をさせてもらっている」
そして百合ハーレムを築いている。私もうっかり挟まってしまった。
「真白ちゃんは私の……」
「いや言わなくても分かるよ。彼女は色君のお姉さんだね!」
いや違いますけど……何でそんなに自信満々なんだろう。
「真白ちゃんは私の妹です! 見た目も私の方が大人びてるでしょ! もー!」
「いや、そんなに違いなく見えるよ」
「今日だけ真白お姉ちゃんって呼んでもいいよ? 彩果ちゃん!」
真白ちゃんまで何を言い出すんだか……でも私が妹になるのも悪くないかも……今度やってみようかなそのシチュエーション。
「まぁ気持ちを落ち着かせたまえ。荒ぶる心ではキャンプを楽しめないよ。何より自然に対して失礼だ」
そう言うと岡野部長はカップ麺を取り出した。食べ物で私の機嫌を取ろうとしたってそうはいかない……
ずぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ。
「君の食べっぷりはいつ見ても気持ちいいね」
私は無我夢中で麺を啜る。こういう所で食べるカップ麺は何故だか美味しく感じるからね。
「何の道具もないのにお湯を沸かすなんて……」
「岡野部長の魔法だよ。触っただけで水を沸かしてお湯に出来るんだって! 凄いよね」
「……お姉ちゃんの魔法だって凄いじゃん……」
「何か言った? 真白ちゃん」
「何も……それよりありがとうございます岡野先輩。カップ麺美味しかったです」
「我がサークルに入るかも知れない後輩だからね。これくらいのもてなしは当然だよ」
つまり物で釣ろうと言う訳か。それは自然に対する冒涜では……いや関係ないか。
「折角だから焚き火をしようか」
「こんな所でやって大丈夫なんですか? 第一に薪がないんですけど」
岡野部長は何処からか丸太を取り出した。というかなぜ丸太を?
「どっから持って来たんですか! そんな都合よく丸太があるものなんですか?」
「細かい事はいいのさ。これで焚き火をするんだよ」
良く見ると丸太に切れ目が入っている。その中央の窪みに火をつけ始めた。
「うわ凄い! 丸太が燃えてるよ!」
「丸太の切れ目から見える炎が綺麗……キャンドルみたい……」
「スウェーデントーチっていうんだよ。これなら場所を取らないし安全だ」
さすがキャンプサークルだ。ちゃんとこういう知識もあるみたい。きっとこういうのを部員達に披露してチヤホヤされてハーレムを築いているんだろう。
「これを部室でもやれば良かったのに」
「色君は相変わらず突拍子もない事を言うね……」
「綺麗……ずっと見ていられる……」
真白ちゃんはノルウェー……あれ? デンマークだっけ? とにかくこのトーチに魅了されていた。
「色真白君。君はこの大学に来たがっているようだね……」
「何で分かるんですか?」
「いつも自然を相手にしているからね……それに比べたら人の考えてる事なんてずっと簡単に理解出来るよ」
やっぱりこの人は只者ではない。ていうか真白ちゃんが私の妹だってちゃんと見抜いてたんだ。
「僕は……今の日常が退屈で……でもこの大学には楽しい人達が沢山いて……ここに来たら変わる事が出来るんじゃないかって……でもそんな理由で来たら駄目ですか?」
「いや……退屈から逃れたいのは立派な理由だよ。人生は一度きりだからね。楽しい事を一つでも多く体験したいからね」
真白ちゃんの気持ちに真正面から向き合っている……この人は凄いな。私なんかとは違って……
「勿論自分の人生だ。決めるのは自分次第……君が後悔のない選択をしたまえ」
「ありがとうございます。お陰で勇気付けられました。でも僕はバンドサークルに入るって決めてるのでキャンプサークルには入るつもりはなくて……ごめんなさい」
「ありゃ、それは残念だ……でもそれも君の選んだ道だからね。私も応援しているよ。でも時々顔をだしてくれよ。その時はスウェーデントーチを見せてあげるからさ」
「ありがとうございます!」
真白ちゃんのこんな嬉しそうな表情は久し振りに見る。悔しいなぁ……本来なら姉である私が言う台詞だったのに。お姉ちゃんしなきゃってママと約束したのに。私はまだまだ未熟者だ。
「ちなみにカップ麺の値段なんだけど……」
「お金取るんですか!?」
「冗談だよ……いつでも食べに来てくれたまえ」
私と真白ちゃんは料理サークルにやって来た。
「みなもー!」
「彩果!」
「二人共またイチャついてる……」
抱き合う私達を見つめる真白ちゃんと料理サークルの部員さん達。私達はいつでも何処でもイチャイチャしたくなるんだ。周りの目なんて気にしてない。
「あのーそれでみなも顧問。私達の魔法に頼らない料理はどうでしょうか……」
「あぁ……及第点だ。これで料理サークルを名乗ってもいいぜ」
「よかったぁー」
部長さんと副部長さんが抱き合っていた。みなもの熱血指導の甲斐あってあの魔法を使わなくても料理を作れるようになったらしい。ていうかみなも、このサークルの顧問になってたんだ。大星教授からその地位を奪ったのかな。あの人放任主義だし……
「で……何作ったの?」
「彩果の好物のアップルパイだよ。その良さを伝え広める為にな。私はアップルパイの伝道師だ!」
「みなもー!」
「よしよし」
「アップルパイって初心者が作るには難易度高くない?」
「そんな事ないぞ、誰だって作れる。それに環瑠さんに教えて貰った調理法なら尚更だ」
「なるほど……お母さんのやり方なら簡単に作れるね……納得したよ」
真白ちゃんの表情が和らいでいる。真白ちゃんはママの作る料理が本当に好きだったからね。懐かしんでいるんだろう。
「よーし、早速皆でたべよ! アップルパイはアツアツの内が美味しいからね」
「いただきまーす!」
あぁ……やっぱり美味しいなぁ。私の三大好物はアップルパイ。焼きそば。そしてカレーライスだ。全てママの得意とする料理。それをみなもがママから教わって私の為に作ってくれているんだ。嬉しい。
「姉御の料理の技術も凄いけど僕だって負けてないよ?」
「なんだ真白。私より上手に教えられるってか?」
「勿論! 僕がこのサークルの顧問になればもっと凄い料理が食べられるようになるよ。勿論魔法には頼らずにね」
真白ちゃんの料理か……確かに気になる。
「僕がこの大学に入ったらこの人達に料理技術を教えてあげるよ!」
「出来ればみなも顧問よりお手柔らかにお願いします!」
「もう扱かれるのは御免なので!」
みなも、この人に何したの……どんな教え方したの……
「いいぜ。お前が来るのを楽しみに待ってるよ」
「姉御こそもっと腕を磨いた方が良いですよ。勿論漫画を描く事も大事ですけどね」
なんかライバル関係になってる。とにかく真白ちゃんがこの大学に来る理由がまた増えたみたい。
「ちなみに味付けは魔法に頼りました」
「まだ私達の技術じゃ難しくて」
「全く仕方ないな。今回だけだぞ」
ズコー何だそりゃ。
私と真白ちゃんは再びグラウンドに来ていた。食後の運動も兼ねて少し体を動かしていた。
「真白ちゃんは逆上がり以外なら得意なんだよね。体育の評価もトップだったし」
「お姉ちゃん程じゃないよ。ていうかお姉ちゃんの身体能力は凄すぎるよ」
「大した事はないよ」
絵を描くのは好きだけど体を動かす事も好きだから子供の頃から色んなスポーツをやっていた。高校時代は色んな部活にスカウトされたものだ。
「サッカーでは試合開始十秒でハットトリックを達成したり、バスケではセンターラインからスリーポイントシュートを連発したり……お姉ちゃんは超人だよ」
「いやぁー照れる照れる。三秒あれば一点くらい取れるからね。それにスリーポイントの方が普通のシュートより点を多く取れるから当然狙うよね」
「簡単に言うね……別にスリーポイントはそこから狙う必要ないのに」
正直ルールは良く分かってないけどとりあえず点を取れば良いスポーツなら何でも出来る。この前の野球の試合だって二刀流の活躍で勝利に貢献する事が出来た。だけど久し振りだから体も鈍っていたし筋肉痛に襲われてしまった……昔はもっと動けたんだけどな。
「そうだ真白ちゃん。バスケで勝負しようよ。スリーポイントシュートを十本打って何本入るかを競うんだ」
丁度今はバスケサークルの休憩時間らしい。私はバスケットボールを持って真白ちゃんに勝負を持ちかけた。
「良いけど……もし僕が勝ったら姉御とエッチしてるのを見せて欲しい」
「そう来たか……絶対負けられない!」
「更にハンデとしてお姉ちゃんはセンターラインから打ってね」
「ずるい! そんなの私に勝ち目ないじゃん!」
「勝ってしまった……」
「ハァ……ハァ……凄すぎるよお姉ちゃん。あんな遠くから打って全弾決めるなんて……」
「私も自分に驚いてるよ。もう暫くボールに触ってなかったからブランクで何本かは失敗すると思ってたからね……でも体が覚えてたみたい」
それにもし負けたらエッチを見せなきゃいけなかったからね。そりゃもう是が非でも負けられないよ。
「約束は約束だよ。お姉ちゃんの言う事は何でも聞くよ」
「別に私はそんな約束してないんだけど……じゃあエッチを見るのを諦めてくれる?」
「それは無理」
「えー何で! 何でも聞くって言ったじゃん!」
「師匠への恩返しの為だもん。絶対に引けないよ。世界一尊い百合カップルのエッチを見て描きたいんだ」
嬉しいけどやっぱり複雑……やっぱり諦めさせるのは無理なのかな……こうなったらあの人達に相談する事にしよう。
「真白ちゃん。屋上へ行こうか」
「何で? 僕とタイマンするつもり? 喧嘩で勝って僕を黙らせようとしてる?」
「いや……可愛い妹にそんな事しないよ。ただ合わせたい人達が居るんだ。真白ちゃんの期待する面白い人達だよ」
屋上へ行こうとする私をバスケサークルの人達が勧誘して来たので断るのが大変だった。私にとっては女の子達がバスケで百合百合している光景を描く方が大事だからね。
紅玉大学の校舎の屋上で活動している天文サークル。そこには宇宙人のリンさんと地底人のフウさんが活動している。届かぬ星に手を伸ばす為……
「いやいや……そんなロマンチックな目的じゃないよ、ぷらむ先生。それに私は星にはとっくに届いているからね」
やっぱりリンさんは思考が読めるんだ。私の考えてる事が筒抜けだ。
「地球に来る前に太陽系旅行をしていたんだよね。土星の輪に乗ったり、その衛生エンケラドスの海では水着で泳いだり……そういえば水のある星は太陽系では珍しいんだっけ? エンケラドスには生命が存在していたよ。中々気さくな人達でね、もう地球にも来て生活しているよ。」
今更地球人生命体くらいで驚く事は何一つない。でも太陽系にも生命が居た事には感動した。私も話してみたいな。そして百合談義がしてみたい。
「海王星に雨として降るダイヤモンドを持ち帰ろうとしたら宇宙法でしょっぴかれてしまったよ。罰金で済んで良かった良かった。火星の山であるオリンポス山にも登頂して来たよ。その山頂の石を持って来たからぷらむ先生にお土産としてあげるよ」
「ありがとうございます! でもこれプラネタリウムの売店でも売ってたし全然珍しくないらしいですね!」
「最近の地球人はエベレストじゃ満足しないからって他の惑星に登山に行ってるみたいだからね。」
「地球の山は低いですからね。エベレストなんて子供でも登れる時代ですし」
火星のオリンポス山は標高二万五千メートルくらいあって山頂は酸素がないらしい。でも五合目までは整備されてるし、科学や魔法を駆使すれば誰でも登れる時代だ。何でこんなに詳しいかと言うと私は宇宙についての知識は豊富なんです! えっへん! 宇宙人と地球人の百合をテーマにした百合漫画『綺羅星テレキネシス』で得た知識なんだけどね……
「もう……その話は何回も聞いたよリン」
「フウに話しても反応が薄いからね。ぷらむ先生に話して驚いて欲しかったのさ」
「あの! 出来れば宇宙人の百合恋愛事情についてもお聞きしたいんですけど!」
宇宙ツアーよりもそっちの方に興味がある。宇宙にも百合カップルはいるみたいだし宇宙の恋愛事情をじっくり聞かさて欲しい。創作も捗るし。
「いくらでも話してあげるよ。ぷらむ先生の百合絵を見たいからね。でも今日ぷらむ先生がここに来たのは他に聞きたい事があるからじゃない?」
「やっぱり気付いてます?」
「私はテレパシーが使えて思考が読めるからね。その子がぷらむ先生の妹さんだと言う事も理解してるよ」
いやはや、さすが宇宙人。いちいち説明する手間が省けるよ。
「お姉ちゃん、僕に会わせたいのってこの人?」
「勿論、リンさんは本物の宇宙人さんなんだよ!」
「始めまして、ほわいと先生。あなたの男性同士の恋愛を描いた絵は宇宙でも尊いと好評だよ」
ほわいとというのは真白ちゃんのペンネームだ。
「僕の絵が地球外でも人気……?」
「凄いよ真白ちゃん! 宇宙に名を轟かす天才絵師を名乗っても良いんだよ!」
「そんな……お姉ちゃんに比べたら大した事ないよ」
「謙遜する事はないよ。ほわいと先生の絵は地球を代表してBLの尊さを全宇宙に伝えているんだから」
きっと真白ちゃんの絵で宇宙の腐女子達が悶えている事だろう。いや、腐男子もか。
「私達としてはほわいと先生が紅玉に来てくれるなら大歓迎だよ。こうやって一緒に夜空の星を見たいからね」
「ありがとうございます。丁度この大学に入ろうとしてたので……ってそんな事よく知ってますね。それがテレパシーなんですか?」
「私は他人の心を覗けるんだ。何を考えているのかも全てがお見通しだよ」
そのせいで恋人のフウさんのプライベートがなくなってるらしい。私だったらみなもに思考を読まれても何の問題もない。寧ろもっと私のアプローチに気付いて欲しい。鈍感過ぎる。
「ふむ……ほわいと先生は姉夫婦に付きまとって営みを見ようとしてるんだね」
「説明しなくても理解してくれて助かります。私は他人にみなもとのエッチを見せたくないんで」
「あはは! 確かに他人には見られたくない行為だ! 私もフウとのあれこれは秘密にしておきたいから」
やっぱり二人はカップルだしそういつ事するんだ……ああ! 百合妄想が膨らむ!
「だからと言って私達に出来る事はないんだけどね」
「そんな……宇宙人パワーでなんとか諦めさせてくれるかと思ったのに……」
「いやいや! そんな力はないよ!」
「そこをなんとか! 宇宙人様!」
「では私がぷらむ先生のエッチを見ると言うのはどうだろう」
「なるほど……って違う!」
私達のやり取りを真白ちゃんが羨ましそうに見つめていた。
「凄いなお姉ちゃんは……色んな人達とすぐに友達になれて」
「真白ちゃん……」
「ふむ、ほわいと先生の悩みが私に伝わってくるよ。でも安心して欲しいな。本当に大切な友達は数人で良いからね。無理して沢山作ろうとしなくても良いんだ」
リンさんの言う通りだ。私は人と話すのが好きで気づいたらすぐに仲良くなってるけど心からの親友と呼べるのは雪菜、陽花、新月の三人だけだ。みなもには大星教授がいる。真白ちゃんにもいつか見つかる筈だ。
「いつか出来ますかね……僕にも友達が……」
「きっと出来るよ、だってこの宇宙はこんなにも広いんだもの!」
それにしても凄い時代になったものだ。宇宙人達が普通に地球に来て交流して共生してるんだもん。
「あの! 僕宇宙人さんと会うの初めてで! 色々聞きたい事があるんです!」
真白ちゃんが矢鱈とテンション高くなってる。やっぱり宇宙の話は面白いもんね。
「何でも聞いて欲しいな」
「あの……宇宙人さんは……」
「リンで良いよ、本名はリンアルフェルグだよ」
「リンさんは何処から来たのでしょうか!」
そういえば聞いた事ない。太陽系より外側なのは知ってるけど、同じ天の川銀河だよね流石に。
「……アンドロメダ銀河だよ」
「へ? あんどろ……?」
「アンドロメダ銀河って、あのアンドロメダ銀河ですか?」
「そうだよ、夜の秋空に見えるあの銀河だ。地球のある天の川銀河のお隣さんだね」
お隣さんって、随分遠い隣人だ。
「地球からは二百五十万光年離れてるのに……リンさんは二百五十万歳?」
「鋭いね、だけどそんなに長く生きてないよ。私の故郷の星の平均寿命は百歳だから、地球人と殆ど変わらない。人生百年時代だ」
????? どう言う事?
「さて、そろそろ博識なお二人なら気付いていることだろう。何故何百光年も離れた場所に住んでる我々が同じ時間を共有しているのかを」
リンさんは指をパチンと鳴らすと、夜空に巨大な銀河が現れた。
「うわ! 凄い! 銀河があんなに大きく見れる!」
「これもリンさんの力……星を見やすくするなんて」
綺麗でしょ? 私の故郷のある銀河。今のアンドロメダ銀河だよ」
「いやいや! 地球とアンドロメダ銀河には二百五十万光年離れてるんですよ! つまり地球に光が届くのにはそれくらいかかる……過去の景色の筈!」
「今のだよ……本来ならオルバースのパラドックスで夜空は白くなるけど……帳を張って地球を保護しているんだね。地球人にも理解してる人がいて良かった良かった」
なんか難しい言葉出てきた! まずい理解不能。真白ちゃんは理解出来てるのかな。
「そんなの光の速さが無限でなければ起こり得ない……絶対時間……いやそんな筈……」
「気付いているようだね……ほわいと先生。その通りだよ。君の予想通りだよ」
「アイザック・ニュートンの絶対時間と絶対空間!」
ニュートン? アイザック? ハンター協会の会長かな?
「この空間の宇宙はいかなる場所であっても同じ時間が流れている。同じ一秒を刻んでいる。地球と宇宙の果てが全く同じ今を共有している……タイムラグが存在しない……簡潔に言うとこんな感じかな」
いやどんな感じなんだ……全然分かんないよーこんなの『綺羅星テレキネシス』では出てこないよ!
「でもそれはアインシュタインの相対性理論で完全に否定された筈」
「それが間違っていたら? ニュートンは万有引力の法則を提唱したけど他にも色々な功績を残している。その中の一つが絶対時間空間だよ」
万有引力は知っている。授業は良く聞いてなかったけどそれくらいなら私でも。
「それが……本当だったって言うんですか……もしそうだとすれば……様々な事が覆る」
「その宇宙はニュートン力学によって出来ている。それが事実なんだからカルチャーショックを受けるもの無理はない。その分野で地球人は少し遅れてるからね」
「リンさんは……どうやって……どうやってここに来たんですか……アンドロメダ銀河から二百五十万光年離れたこの地球に……」
いやどうやってて宇宙船で来たんだよって真白ちゃんに教えてあげようかな。
「宇宙船でワームホールをくぐってきたんだよ。あれをつかえば一瞬で宇宙中を往来出来るからね」
「そんなものが存在したら大変な事になりますよ! 因果律が崩れて……パラドックスが生じて……」
もしかして真白ちゃんの疑問は私の想定してる疑問と違う?
「その心配は無用だよ、ほわいと先生。だって君の心配は相対性理論の中で起こりうるものだからね。君が恐れているのはワームホールがタイムマシンとなってしまう事だろう」
「勿論……時空の異なる二点をつなぐワームホールをくぐれば時間のズレにより過去への道をつないでしまう……それはとても恐ろしい事」
「だからその心配は必要ないのさ。相対性理論が嘘なんだからね」
「あのーどゆこと? 相対性理論でタイムトラベルって?」
私は手を挙げて質問をする。もっと噛み砕いて説明して欲しい。
「相対性理論には動くものは時間の進みが遅くなるという。または重力の強い場所ほど止まっている場所と比べてもだよ。何故なら光の速度は常に一定であるから、光の速度に近づくと追い越さないように時間や空間が伸び縮みして移動する側は時間の進みが遅くなるってもうお姉ちゃん! 学校で教わらなかったの?」
「えへへ……聞いてなかったのかも……」
ごめん真白ちゃん……説明されても良くわかってないや。やっぱり真白ちゃんは頭良いんだ。
「光速度不変の原理というやつだね。光の速度は最速で秒速約三十万キロメートル。質量を持つものは何であろうとこの速度を越えられない……と言われているね相対性理論では」
「ええ、そして光の速度に近づけば未来へ行けると言われています……もっとも質量を持った物体がそんな速度で動けるのは不可避。質量を動かすにはエネルギーが必要なのにそれを無限に必要とします。速度を上げればあげるほど質量が増えていく……重くなる……その質量を動かすほどの無限のエネルギーは宇宙全体から全て集めても全然足りない。質量とエネルギーの等価性がある限り」
この二人は何を話しているんだろう? もう付いて行けなくなってしまった。
「そしてその問題を解決して光速で動けたとして新たな問題が発生する。その人が光速で動き続けていれば周りと比べて経過する時間が遅くなる。体感スピードは同じなのに止まっている人達より年を取らなくなる。その人にとっての五年が周りの人の五十年になる」
「ウラシマ効果ってやつだね。竜宮城での数日が地上では数百年だったというおとぎ話。あれが現実で起こりうるというやつだ。君もよく知っている筈。浦島太郎は地球のお話だからね」
浦島太郎か……幼い頃ママが読み聞かせてくれたな。全然関係ないけど真白ちゃんへの呼び方があなたから君になってる。いやリンさんの方が年上なんだから当然だけど。
「だから問題なんですよ。ウラシマ効果……時間の遅れを利用出来るから。例えばワームホールに二つの口を用意、片方を宇宙船の中でもなんでも良いので光速に近い場所に設置する。相対性理論により光速移動させた口の時間の進み方は止まっている口よりも遅くなる。止まっている口が2100年だとして光速移動している口は2000年にする事が出来る。過去へのタイムマシンが完成する。そして2100年の口から入る事により2000年の口から出ることが出来る……過去へのタイムトラベルが出来た」
おお! 真白ちゃんが凄い難しい事言ってる! 流石はエリート高校に通う秀才だ。私も姉として鼻が高い。
「過去に戻る事……それは禁忌と言っていい。だって様々な問題が発生するから。自分が生まれる前の時代で両親の出会いを邪魔したり、両親を手をかけたりして結ばれないようにしたら……その人はどうなるの? 生まれてこれなくなって消えてしまうかも……親を殺した犯人がいなくなってしまう……だとしたら親を殺したのは誰? 生まれてこれなかった自分の子供に殺されたの? 殺されたという事実が嘘になる。殺されてない生きてる。そして生まれてきた子供がタイムループしてきてまた殺されて子供が消えて生きている事になって……また子供が生まれて殺しに来て……原因と結果が永遠とループしてる。親殺しのパラドックスと呼ばれている。これは過去の自分を殺しても起こる。誰が自分を殺したのかということになる」
無限ループって怖い。それだけは伝わってくる。
「そしてもう一つがブートストラップパラドックス。起源の消失。例えばお姉ちゃんが過去にタイムトラベルして『四季巡る百合の花』の原案を発表前の……例えば小学生時代の過去のお姉ちゃんに渡すとする。お姉ちゃんはそれをそのまま発表して大ヒット! 天才小学生絵師としてチヤホヤ。 そして成長した未来のお姉ちゃんはそれを過去のお姉ちゃんに渡しにいく……ここで起源が消える。過去のお姉ちゃんは未来の自分から貰ったと言い、未来のお姉ちゃんは過去の自分が発表して評価された記憶を頼りに過去へ戻る。そしてループする。『四季巡る百合の花』は一体誰がいつ描いたものになるんだろうね。お姉ちゃんが創作したという記憶や事実は消失する」
あれは中学生の私が編集の紡岐からアイデアを貰っ て一枚一枚魂をこめて描いたものだ。未来の私から貰った訳じゃない! そんな事あってたまるか。だけど真白ちゃんの言い方だとそれも無かった事になってしまう。何より自分で考えたものではないから小学生の私はどうやって描いたかも分からない。実力が追いついてない。編集と二人三脚で描きましたって言えない。他にも描いて見てと言われたら描けずゴーストライターを疑われる。その世界では紡岐も発案しなくなるだろうしそもそも出会わないかもしれない。小学生時代の私はまだ百合に興味ないから百合絵を描く事に違和感しかないし、百合に興味を持たないままの可能性もある。そしたらみなもにも再会出来ない! そんなの嫌だ!
「こういった因果律が崩れてしまうから過去へのタイムトラベルはやってはいけない……出来なくても、いや出来ないままの方がいい。なのにワームホールが存在してるなら出来てしまう」
「なるほど……良く知っているね。さすが県内一の名門校に通うだけはある。だけどその心配は無用だよ。だってそれはニュートン力学の世界ではそれは起こらないんだから」
なんかまた難しい事を言い始めたぞ。もう私の頭は混乱してるよ。折角ついて行けてたのに。
「だって時間の流れは一律だから。全ての場所で同じ一秒が流れている。時間のズレと言うものが生じない。相対性理論によるタイムトラベルはそれを利用しているけれどそれが起こらない。全ての物質絶対的な今というものを生きているんだかね。時間は一方向に流れる川だと思って欲しい」
「ニュートンが正しかったという事ですか?」
「地球人は信じていないようだけど、宇宙ではニュートン力学こそ常識だよ」
駄目だもう付いて行けなくなった。もはや聞き流すしか出来ない。みなもなら理解出来たのかな……頭良いし。
「ワームホールでタイムトラベルは起こらないんですか?」
「勿論! 物理的に移動する距離は変わらないけど。ワームホールは空間をショートカットするだけのトンネルだ。……ふふふ、お陰でパラドックスは存在しないし因果律は守られている。あれは便利などこでもドアだよ。タイムラグもない老いたりもしない」
「ウラシマ現象を回避するには光速で動かなければ良い。それでいて寿命より距離のかかる場所にも移動するには確かにワームホールしかない……」
もしかしてだけど私って場違い? 全然話の内容を理解出来てないし。百合以外だと疎いんだよね。
「あと光年という言葉も宇宙では使ってないよ。その必要もないからね。」
「そんな……僕が今まで信じていた事が全て否定されてたなんて……絶対時間が本当だったなんて……」
「だからこうやって私達が同じ時間で会う事が出来て会話出来ているんだよ。宇宙人達が交流出来ているのにはちゃんと理由があるんだ」
真白ちゃんは何に困惑してるんだろう。私には理解出来ないよ。駄目だもう何を言ってるのか理解出来ない。この二人の会話のレベルについていけない。
「ニュートンは正しかったんだ……この宇宙は同じ時計の針が全く同じ……アインシュタインが否定された……」
どこでもドアは実在した……? それだけは伝わって来た。何を言ってるのか理解出来てないけど。
「だから相対性理論は嘘。つまりそれは過去にも未来にもいけないタイムトラベルが絶対に不可能という事になる。どんなに速く動いても未来へ行く事はないんだ。無論過去にも戻れない。過ぎ去った過去とまだ訪れてない未来には絶対干渉出来ない」
「つまりローレンツのエーテル理論も本当になる……」
「ローレンツといえばアインシュタインのライバルだね。彼も絶対時間を提唱していたようだね」
「ポアンカレもバレンティニもリフシッツも! 間違ってなかったんだ! 凄い!」
もう何を言ってるかちんぷんかんぷんなので適当に聞き流していた。今日の晩御飯なにかなー
「これが全銀河共通の時計だよ。ユニバーサルタイムと呼んでいる」
「おお! パルサー同期システムって事ですね!」
「ほわいと先生は博識だね。宇宙中にある基準パルサーの点滅を受信してるんだ。全宇宙は同じ1秒を刻んでいるからね。そしてこっちが地球ローカルの時計だよ。今の地球は夜だけど私の母星は昼なんだよね」
「待ち合わせとかに使えますね!」
時々思うのだけど真白ちゃんは本当に私の妹なのだろうか……頭の出来が違いすぎる。だけど真白ちゃんのひんぬーを見てやっぱり血の繋がりを感じる。私達はママの子なんだ。
「質量とエネルギーの等価性も嘘。有名なE=mc²の式は存在しない。太陽も実は強大な魔力で燃えている。人間の力ではなく神様がそう設計したのかもね。核融合が起きないから魔法で融合させているんだよ」
「原子爆弾も……?」
「そうさ、魔法は人を傷付ける。人の命を奪う。だからこそ平和の為に使わないとね。私も戦争は嫌い、大嫌いだよ。平和が一番、皆仲良くだよ!」
平和じゃなきゃ百合もボーイズラブも楽しめない。それだけは私にも理解出来る。
「宇宙も魔力で満ちているからね、質量のあるもの同士は見えない糸で引っ張りあっている。どんなに離れていても魔力によってね……万有引力を提唱したニュートンは頭いいな……地球の偉人には驚かされるよ」
「ブラックホールもないんですか?」
「ないよ、変わりに物凄く重力の強い暗黒星がある。それを提唱したミッチェルやラプラスは見ていたのかもね。勿論魔法を使えば降り立つ事も出来る。私は行ったことないけどね」
「恒星が超新星爆発したらすぐに影響が出るのでは」
「逆二乗の法則により、エネルギーが減衰して影響はそれほどでないよ。それでも防ぎきれる訳ではないからちゃんと結界を張ってあるよ。宇宙法でバリアを展開する事を定めている」
なんか分かるような分からないような……聞いた事ある用語はあるんだけど噛み砕いて説明してくれないから分からないままだ。
「時間がズレない……つまりGPSやカーナビが使い物にならなくなる……」
「それを作った人達は相対性理論が嘘だと知っているからね……絶対時間空間に対応したものを開発しているから問題ないよ」
「水星のあの近日点移動は、四十三秒のズレは……」
「魔法です! 水星には強大な魔法陣があって公転を狂わせているだけなんだ」
何だか知らないけど水星が舞台のロボット百合アニメがあるので良かった。
「地球と宇宙の果てが全く同じ今を共有してるんだよ。神秘的だよね。そのお陰で私は地球に来てフウと出会う事が出来た……宇宙を生み出した神様に感謝しなきゃ」
「そ……そうだよねリン……」
フウさんがちんぷんかんぷんな表情を浮かべている。理解してないのは私だけじゃなかった!
「つまりアインシュタインは嘘つきだったと?」
「彼の名誉の為に言っておくとそんな事はない。相対性理論が違うだけで他の理論は正しい。例えば光電効果の解明によりノーベル物理学賞を受賞してるし、ブラウン効果やボース・アインシュタイン凝縮も彼の功績だ。相対性理論がなくても証明出来る」
「確かに……相対性理論ではノーベル賞を取ってない……それには理由があったんだ」
「アインシュタインは量子力学の父として宇宙でもその名を知られているよ、地球には本当に凄い偉人がいるんだね」
「良かった……アインシュタインが嘘つきじゃなくて……彼の遺族が悲しむとこだった……」
アインシュタインってあのベロ出してるおじさんだよね? それしか知らない。
「しかし光速無限だと色々と弊害が出るのでは。例えばレンズ全般に……人間の目もレンズなのに」
「確かに、光が物質によって屈折しなくなる。眼鏡や望遠鏡も使えない。そこで魔法の出番って訳だよ」
また始まった。何言ってるかちんぷんかんぷんなので私は聞き流す事にした。
「光速が無限になると目に入ってくる宇宙からの光子の量が無限大になる。全ての光が網膜に焼き付いて失明してしまう……でも大丈夫。人間は生まれた時眼球に魔法の膜を張る。無意識の内にね……だから光が屈折するようになりちゃんと見えるんだよ。そのフィルターは死ぬまで消える事はない」
「なるほど……その原理でレンズを保護しているんですね……眼鏡も望遠鏡もそれと同じ……鏡も!」
そういえばママから聞いた事がある。魔法によって色んなものを見ることが出来ていると……何の事か理解出来なかったけどこの事なのか。流石の私でもこれくらいは分かる。
「それと光の質量はゼロだよ。ニュートン力学の運動量において速度が無限大の場合、光に質量が存在すればエネルギーと運動量は無限大になる。その無限の衝撃波で物体を破壊するし地球も破壊される。というか宇宙が消滅してしまうよ」
「あはは、確かにそうですね! 懐中電灯すら凶器になりますね!」
「更に情報過多により脳は疲弊しちゃうからね、それをセーブする為でもあるんだ」
「ただでさえ情報過多の時代ですもんね!」
でたよ。頭良い人同士の笑い話。私には何の事やら。
「では夕日は? 光速無限だとレイリー散乱が起こらなくなる」
「最初に言った通りだよ。地球の大気に光速度を減速させる魔法の帳を張っているんだよ。大体秒速三十万キロまで減速させてる。だから夜空も白くならない。虹も見れる。光……色の波長は有限な光速と振動数によって決まる。光速無限だとその波長も無限大になり全ての光がエネルギーの塊となり一瞬で届くため景色は色彩を失う……反射や影も消えるよ。だから光速を有限化させる事で色を失わせずにすむ」
色彩のない世界。その言葉に私は反応した。それはあの奇病とよく似ている……もしそんな世界だったら私の出番となるだろう。……私の魔法は……
「夕日……あの景色を見れるのは魔法のお陰」
「アインシュタインの相対性理論は本当によく考えられてるよ。ニュートン力学の世界だと色々限界があってね……それを魔法で補うのに参考にしているんだ。他にも電磁気学……マクスウェル方程式においても光速無限になると色々正常に機能しなくなる。だから電波にも魔法を組み合わせているよ。私宇宙人のテレパシー能力も使われているんだ。魔法電波としてね」
何だそりゃ。魔法に依存しっぱなしじゃん。科学なんかよりよっぽど魔法技術が発達した世界じゃないか。
「隕石は……多少減速するとしても観測出来た時にはもう手遅れでは」
「魔法のバリアで隕石の軌道をずらすんだ。恐竜を滅ぼした隕石の百万倍あろうと防げるよ」
「なるほど……もっとリンさんとお話したいです! 僕、絶対この大学に入りますから!」
「私も理解者が出来て嬉しいよ。どうもフウはこういう話が苦手なようでね」
「正直リンが何を言ってるのかよく理解出来ないけどほわいと先生は歓迎するよ、今度は私が地底の話をしてあげる。宇宙ほど難しくないよ」
「ありがとうございます!」
何はともあれ真白ちゃんはこの大学に入る事を決めたんだ。リンさん達となら退屈しなさそう。それにしてもさっきまでのリンさんは凄く知的に見えた。なんかこう……近寄りがたいオーラを纏っていた。彼女が宇宙人だから神秘性を感じる。
「よーし! ロケットを打ち上げよう!」
「え……? 唐突に何を」
「リンさんの故郷ではロケットに願いを書いた紙を乗せて打ち上げると願いが叶うって言われてるんだよ」
この前はお義母さんに許可取らずに打ち上げちゃって説教されたんだよね……流石に今回は許可取ってる筈だよね。
「そんなロマンチックな文化があるんですね! 僕もやってみたい!」
「ロケットは沢山あるからほわいと先生もやるといい」
「どうせ真白ちゃんはみなもと私のエッチがみたいって描くんでしょ?」
「えへへ、内緒ー!」
うう……今の言い方可愛かった……妹だけど意識してしまう……やっぱりママの魔性さは真白ちゃんにも受け継がれてるんだ。
「お姉ちゃんはなんて描いたの? 姉御とエッチ?」
「わざわざ描かないよそんな事……漫画『オーバーキル』のヒットを祈ってだよ」
「よーし! それじゃ一緒に打ち上げよう!」
「ちなみに私とフウの願いはこの地球の埼玉の小江戸で一生一緒に暮らす事だよ!」
「惚気かよ……百合最高!」
そしてロケットは無音で空高く上がっていき見えなくなった。宇宙は光の速さが無限らしいけどどうなっているんだろ。どの道宇宙に行くつもりないからいいかな。私は地球でみなもとの時間の方が大切だもん。それに……いつか子供も欲しい。
「ふふ……ぷらむ先生、話に入って来なかったね。聡明なあなたにはわざわざ聞くまでもなかったって事かな?」
「え? えーと……まあそんな事感じです」
宇宙の話なんて全然理解出来なかったですなんて言えない……真白ちゃんの姉だから私も頭良いと思われるみたいで変な意地を張ってしまった。
「お前ら……本当に学習しないのな……何回も何回も無断で屋上でロケット打ち上げやがって……」
「ヒィィィ! 学長!」
「お義母さん! あれもしかしてリンさん許可取らずに打ち上げたの?」
「バレなきゃいいの精神が故郷にあって……」
碌でもない故郷だなアンドロメダ。我が紅玉大学の学長である荒川はもんが腕を組みこちらを睨見つけてる。また怒られる……
「おお、姉御の母上! お久しぶりです!」
「ん? 真白か……久しいな。何でこんなとこのいるんだ?」
「大学見学ですよ! この大学に入りたくて」
「おいおい、真白みたいな秀才が来る所じゃないぞ! もっといいとこいけよ……」
それを学長のあなたが言うのか。
「お義母さん! ここは真白ちゃんに免じて許してください! 真白ちゃんはこの大学に入りたくてロケットを打ち上げたんです!」
私はカクカクシカジカ説明をした。前みたいに長時間正座は嫌だ!
「なるほどな……熱意は伝わったよ……」
「お義母さん……」
「それとこれとは別だけどな!」
「あれ? 母上もしかして怒ってる?」
「お義母さんは怒ると怖いから……」
「お前ら四人そこに正座しろ! 説教だ! あと真白! 学校サボって大学来てんじゃねぇ!」
「おお! 母上に怒られるのは始めてかも!」
「何で嬉しそうなの……」
リンさん達はと言うと隙を突いて逃げようとしていたけど爆速でお義母さんに捕まったみたい。流石元スプリンターだ、宇宙人だろうと逃がしはしない。あと走ってる時におっぱいが揺れる揺れる。みなももあんな感じなのかな……普段引きこもりなので見た事ない。
「次からは許可取ってからにしろ!」
「ヒィィィすいません!」
結局小一時間正座させられ説教された。でもこんなに何度も怒ってるのに廃部にしないのは優しさなのかな。見捨てない優しさはみなもに似てる。
「母上……結構怒ると怖いんだね。でもそれは優しさの裏返しだし、この大学は皆良い人ばかり」
「ね? 紅玉大学いいとこでしょ? 校舎もポストモダン建築でオシャレだし、綺麗だし、学食美味しいし……生徒や教授達も良い人ばかりだよ! Fランである事に目を瞑れば」
「通いたい! 絶対ここに!」
良かった。真白ちゃんが紅玉大学に来てくれる。これからが楽しみだよ……私が退学とかにならなければだけど! それか進級出来ず真白ちゃんと同じ学年になるかも……勉強しよ。ニュートン力学とかは流石に無理だけど。




