陽光②
とある日のお昼頃、昼食を胡乃葉とともに食べた後眠くなった俺は、胡乃葉のいない自室で昼寝をしていた。
意識が朦朧とし、遂には眠りに落ちようとしたそのとき。俺の心にふとした感情が湧き上がってきて、それまで抱えていた眠気が全てどこかへ吹き飛んでいってしまった。俺はベッドから身を起こした。
「そろそろこの列車内からも抜け出したいな」
それはふとした何気ない言葉だった。
別にこの列車内での生活が悪いわけじゃない。胡乃葉との共同生活においても何か居心地の悪さみたいなものを感じたことはない。胡乃葉とは、互いの事足りている部分と事足りていない部分を擦り合わせた仲だ。それに限っては、今でもたまに日常のふとした瞬間に思い出すし、ペニスだって若干硬くなる。胡乃葉との間に、悪い思い出なんてものはどこにもないのだ。
それでも、俺はこの列車内から出たいと、ふっと湧き上がったような自然な感情ではあるが、強く思った。この列車内での生活は心地良い、だがそれが怖くもあった。
列車内にいると時間の流れなんてものはあまり感じられないが、やっぱり時間は無限じゃない、有限だ。だからこそ、ずっとこうしているわけにもいかないと俺は感じた。別に何か根拠があるわけじゃない、ただの肌感覚だ。
俺はおもむろにノートパソコンを取り出した。そして同時に、バケモノに追われながらなんとかTwilight in the Roomから持って帰ってきた、小瓶も取り出した。
この小瓶の中身が果たしてベラトリックスの過去についてのものなのか、それを考えるだけで俺は胸が躍った。
開いたノートパソコンに、俺はその小瓶の中身を振りかけた。
すると次の瞬間、ノートパソコンの内部に新しいファイルが現れた。ファイルの中に入ることはもう何度目になるか分からないが、何度やっても緊張する。俺は呼吸を整え覚悟を決めると、目の前のファイルをクリックした。眩い光りに包まれると、俺はファイルの中の世界に入った。




