welcome to underground④
俺はパーティーを開いていてベラトリックスとも繋がりがあるだろうミルキー・ベインなる男の情報を深掘りする為に、アミリーの部屋を訪ねた。
扉をノックすると、すぐにアミリーが現れて俺を部屋の中に入れてくれた。アミリーの部屋には同居人はおらず、居たのはアミリーただ一人だった。アミリーに対して、俺は単刀直入に話を始めた。
「ミルキー・ベインっていう男を知っていたりする?」
言うと、アミリーは何回か首を傾げながらも、何か思い当たるものがあるのか、真っ直ぐとした目つきで言ってきた。
「知っている事は知ってるよ。でも、知っている情報のほとんどが悪事についてかな~。キビトはさ、その男が、この列車内のどこかでパーティーを開いていてその主催者だという噂は聞いたことがある? ……それは実はね、本当なんだよ。実際にミルキー・ベインはこの列車内のどこかで、パーティーを開いている」
「ああそれは実は知ってるんだ。そのどこかってどこなのかな? それが一番知りたいことなんだ」
「なんでそんなにミルキー・ベインと、そのパーティーのことについて知りたがるようになったの? 正直に言うと、アミリーとしてはあまりあのパーティーに関わるのはおすすめしないな~。はっきり言って危険だもの」
「それでも行かなくちゃならないんだ」
「なんで~?」
「記憶を全て取り戻したから」
俺は、自分自身がどんな記憶を取り戻したのか、全て洗いざらいアミリーに話した。
アミリーは大きく目を見開いた。そして、俺の両肩を前のめりになりながら掴んできた。
「本当に!? 良かったね~。でもさ、アミリーとしては、記憶を全部取り戻したことと、パーティーやミルキー・ベインの事を知ろうとするのにはあまり接点がないように思えるんだけど」
「まぁ、端的に言うとさ、ベラトリックスという男のことを何回も話したと思うんだけど、そのベラトリックスが、ミルキー・ベインのパーティーを開く会場を提供している疑いが出てきたんだ。これは記憶を取り戻して分かったことなんだけど、俺はベラトリックスに大きな借りというか約束みたいなものがあるかもしれないんだ。まぁ、正確には俺というか俺の彼女の要件だけど。まぁだから、少なくとも、俺には絶対にそいつに会って話をしなきゃいけない用事ができたということだよ。だから……教えてほしい、パーティー会場の場所を」
アミリーは軽い溜息を吐いた後、何か思い悩むような表情をしながら言ってきた。
「ごめんね、会場の場所自体はアミリーも分からない。でも、アミリーが知っているパーティーについての情報は、全て危ないと言えるような情報ばかりなの。行くことに関しては本当に止めた方がいいと思うよ。でも、その顔を見る限り、止められそうにないや。……不本意だけど、こういうときは一度ノイジーさんに訊くのが一番かもね。ノイジーさんなら知っていても可笑しくない話題だし」
結局、またあのマスターに繋がるのか。
俺は内心そう思いながら、アミリーに感謝を告げて部屋から出ようとした。そのときだった。アミリーは出て行こうとする俺を引き留めて、ひとつの事を訊いてきた。
「キビトはさ……その、ベラトリックスという男と、最終的にどうなりたいわけ? 記憶を全部取り戻した今、そんな危ないところに関わっていく必要もないと思うんだ。それでも、キビトは凄く凄くその男に執着しているようにアミリーには見える。キビトは、ベラトリックスと最終的にはどんな関係になっていきたいの?」
俺は突然の言葉に、虚を突かれたような気分になった。だが俺としてはもう、アミリーに訊かれる遙か以前から、ベラトリックスに対する気持ちは定まっていた。
「俺の最愛の女性がお世話になったかもしれないんだ。ペンダントも返しに行かなくちゃならないしね。でもそっから先は……向こうがその気なら俺もそうするだけさ。ベラトリックスのアズサに対する気持ち次第で、俺は……どうとでもなる」
俺はそれだけを吐き捨てるように呟いて、部屋を立ち去った。




