無菌室⑥
――その日の夜、自分はいつも通りに胡乃葉が隣で寝息をたてている音を耳に入れながら、淡い光りを放つノートパソコンの画面を眺めていた。
Twilight in the Roomの鍵のかかった部屋の中で見つけた、とてもつもない引力を感じる一つの小瓶。その中身が何かしらの情報の詰まった雫であるということは分かっていたが、そのとてつもない引力を体感して、自分はそれが己の記憶が詰まった雫であるということを察した。
期待を裏切らないでくれよ――自分は手に持っている小瓶に向かって小さく呟いた。
高揚感が堪らなかった。これほどまでに高揚感を感じた事は、ベラトリックスに殺されそうになりTwilight in the Roomに辿り着いた時以来だろうか。自分は早速、小瓶の中の雫をノートパソコンに向かって振り落とした。
深呼吸をし、ノートパソコンの反応を待つ。少し待つと、予想した通りにノートパソコンに新しいファイルが現れた。
そのファイル名を目に入れた瞬間、自分はそのファイルの中身が自分自身の記憶に関するファイルであるという確信の予兆を感じた。自分は早速、ファイルにカーソルを合わせて開いてみることにした。止まらない高揚感に身を任せて、自分は目の前のファイルをクリックした。
ファイルの名前は、こう記されてあった『悲しみの湖畔』と。




