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ギルド職員ユンカーの平凡な毎日  作者: アルデンテ
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「ギルドマスター、マジで落ちたら死にますから。」  ユンカーが笑いながら言う、って笑うところかい!

なぜか平凡な(はずの)木っ端役人が飛翔体!になったらしい。なんでだろう?

 ユンカーが”磯”の建設?に着工して3年が過ぎる。


 ”磯”はホリデーギルドの常設クエストとして”チーム”を組めない冒険者、タイミング的にダンジョンに行けないチーム(メンバーがケガしてたりな)、ヘッポコ魔術師の修練の場、兼、日当稼ぎの場としてオーダーされている。

 

 アルフレッド牧場の端からホリデー川の川岸にかけて、上方より削って転がり落とした岩が常時、大量に積まれている。(暇な魔術師は上方で岩盤破壊,良い練習の場)

 それをせっせとハシケに乗せて河口に下ろせばいい。

 人数に応じて、実力に応じてその時その時で運べる大きさの岩を運搬すればいい。

 さらに安全な仕事として(報酬は最も安いが)河口まで下って仕事を終えたハシケを縄をかけて上流まで数人がかりで引き戻す、という仕事もある。

 

 安全な常設の仕事はそれに”特化”した冒険者を産む。

 ”運搬”、岩を産するための崖の”破壊”などに特化したスキルを持つ魔術師。

 また、”肉体強化”などのスキルを取得、向上させる冒険者なども現れる。

 

 安定した収入の場を、と考えていたギルドにとって、二次的効果として冒険者自身が鍛錬される、という想定外のラッキーもあり、結果として幅1キロメートル、沖合200メートルまでに及ぶ”磯”が出来上がる。


 そして、想定外とも言える効果を授受した一人が意外にもこの人。

 

 


 「おかしいな、ユンカー君が約束の時間を過ぎて現れないとは。」

 ホリデー伯爵が待ちあわせのアルフレッド牧場休憩所の横で、傍らに立つ4女のエスカイヤにつぶやく。


 「ユンカーなら2時間も前にギルドを出たわ、おかしいわね。」

 ギルドマスターでもあるエスカイヤの長い金髪が草原の風になびく。


 「おーい、おーい、」

 耳を澄ますとどこからか小さな声でユンカーの声が?


 「お父様、ユンカーの声しません?」

 と、エスカイヤ。


 「わたしもそんな気がして、キミに聞こうとおもったところだが。」

 

 伯爵とエスカイヤが話している間にも

 「オーイ,オーイ」

 と呼ぶユンカーの声が大きくなってくる。


 ふと2人が見上げると空の高い所に馬車が見える。

 窓から、小さく見えるユンカーらしき人が叫びながら手を振っている。

 

 ゆっくりと青空から降下してくる馬車。

 ゆっくりと大きくなってくるその影はやがて伯爵たちの横に着地。


 それは遊園地的に観光化されてきたアルフレッド牧場の人気乗り物。

 牛の引く馬車(笑)、の4人乗りの馬車部分。

 観客が乗る部分は対座式に2人掛けのベンチが2つ。

 その箱の前に御者用の1人掛けの御者台がある。

 頑丈だがそれなりの重量はある。


 中からとびらを開けて降りてきたユンカー。


 「今、その馬車は空を飛んでいたよな?(よね?)」

 伯爵親子がハモッて疑問文。


 「はい、実は3年のあいだ、石運びを手伝っているうちに、僕の乗っている物体を持ち上げる能力が身についてしまったようなんです。」

 ユンカーが平然と答える。


 「伯爵さまもギルドマスターもすごい魔力をお持ちだから、馬車を1000メートルや2000メートルくらい飛ばすことなんか、わけない『無くネェヨ!』『無いワヨ!』。」《ですよね?》

 伯爵親子が言い終わらないうちに被せてきた。


 「私がその空馬車を飛ばせて見せよう!」

 伯爵が言う。


 伯爵は短く『飛翔』と唱える。

 伯爵のからだが一瞬白く光り、馬車がフワッと浮き上がると10メートルほどの高さで500メートルほどをユックリと飛んでいく。

 そして、力なくユックリと降下し着地静止する。


 「これで魔力がほぼ空だ。」


 「私もムスメも魔力ではかなりのものと国内では認められ、実際そうなのだが魔力のみで物を浮上させ飛行させ、といった複合的な物理現象はこの程度だ。」


 疲れた顔の伯爵は顔に汗を浮かべながらユンカーに語る。


 「では、こういうのはどうでしょ?」

 ユンカーはそう言って伯爵が飛ばした空馬車に走ってゆくと、500メートル向こうからその馬車を走って押してきた。


 「いやー、疲れました。

 走るのはいい運動です。」

 

 伯爵親子の元に戻るとユンカーは息を切らせながら笑ってそう言った。


 「ボクは接触している物を浮上、あるいは降下させることしかできないのです。

 物体を横に移動することができないのです。」


 「ですので、浮上した物は上がったまま、風が吹けば風下に流されるまま。」


 「そこで、こうしました。」


 ユンカーは空馬車にそっと触れてそれを50センチほど地面から浮き上がらせると、それを軽やかに歩きながら押し始めた。


 「こうすれば、馬一頭が5キロ程しか歩けない重さの荷馬車を、ボクは楽々走って5キロ以上を移動できます。

 軽いですよ、伯爵様も押してみてください。」


 ユンカーに言われるまま、伯爵親子はユンカーがふれている空馬車を手で押してみる。


 「軽い、、優秀な馬車馬になった気分だ。」

 伯爵様が言う。


 ユンカーの掌がその馬車から離れた瞬間、馬車は重力に縛られて、ドスンと地面に落ち元の重量物となり、どんなに押しても動かない。


 「父さま、私の風魔法でユンカーが浮上させた馬車を御すことができれば、・・!」

 エスカイヤが、ハッとした面持ちで叫ぶ。


 「そうか、浮遊した馬車を制御するか!」

 「風を操るならキミのお得意!

エスカイヤ、すぐにやってみてくれ!」

 伯爵様も即座に頷く。


 馬車にユンカーとエスカイヤが乗り込む。

 馬車の入り口の引き戸の錠をユンカーがしっかりとかける。

 「ギルドマスター、マジで落ちたら死にますから。」

 ユンカーが笑いながら言う、って笑うところかい!





 



 

 

 

 



 

 



 





 









 


 


 

う~ん、(自分的に)楽しい。

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