怖い(?)雑学 前編
「……その出来事の後、彼女の姿を見た者はいないという……」
眼鏡をかけなおした白髪の男は目前で暗闇に朱色の光を出すろうそくに息を吹きかけた。そして、静寂の余韻を楽しむように数秒。
「……はぁ結構怖かったね」
「そうかしら? 恐い話も作り話だと分かってれば何も感じないわね」
「くっ……ま、まぁいい、霧崎には後で夜も眠れなくなるほどの話を聞かせてやろう」
「こいつ恐怖とか植え付ける方だから怖い話とか平気だと思うぞ」
「誉め言葉と受け取っておくわ」
雑学部+哲司 真也は、怪談話をしていた。季節は夏ということもあり一ノ瀬が怖い話をしようと言ったのがきっかけだった。ちょうど、先日の雪代の手伝い(結局大半は津樂がやった)により、簡単な事なら頼みを聞いてやろうといううことで、時間は十一時で学校は閉まっているにも関わらず、学校で集まっている。この場に哲司がいる理由は――偶然だ。
「さぁ~て、じゃ後は達也くんだけだね。身の毛がよだつような話を期待してるよ」
「そんな目を輝かされても……」
「せいぜい楽しませてくれよ津樂達也」
「私もこの年になると怖い話なんてたかが知れてるからな。期待してるぞ津樂」
「先生もか」
「まぁあなたの場合存在そのものが恐怖だから怖い話も信憑性がありそうね」
「悪かったな恐ろしい顔で。まぁ何となくどんなことを話せばいいか分かって来た。要は想像したらゾッとするような話をすればいいんだろ」
津樂はろうそくに火をつけた。
小さく揺れる火を瞳に映しながら、津樂は暗さを強調するように低く小さい感じで、
「太陽ってあるだろ? 人に寿命があるみたいに、太陽も寿命があるんだよ。それが五十億年以内に自分のエネルギーを全部使って膨張していくんだよ。それが何百倍にもなると、地球の気温は100度以上まで上昇して、微生物から俺たち人間まで地球上すべての生物が絶滅するって言われてるんだ……フゥ」
津樂はろうそくの火を消した。
…………
「え、終わり?」
「え、終わったけど?」
「いやいや待て待て、津樂達也。今のは怖い話なのか?」
「いやだって今こうして普通に暮らしてるけどいつかは滅ぶんだぜ? そう思うと恐いだろ?」
「この場では恐いじゃなくて怖い話をしてほしいのだけれど」
「はいはい分かったよもう一回やればいいんだろ?」
全員の意見を聞き、津樂はろうそくに火をつけた。
「ギロチンってあるだろ? 首を切り落とすやつ。あれは首を切られても一分くらいは意識があるんだよ。せれはとある博士が実験して自らの首を切った時、その博士の瞼は瞬きを何回かしたそうだ……フゥ」
「いややり切った感じでフゥじゃなくて! 私がしてほしい話はそんな話じゃないから! もっとこう心霊体験的なやつ」
「あぁそういう感じの奴ねオーケーオーケー」
そう言って津樂は再びろうそくに火をつけた。
え、続くの!?




