音の雑学
放課後の雑学部に響くのは、管楽器の音。
吹奏楽部の練習が今日は近くの教室で行われていた。
「今日はだいぶ賑やかだねぇ」
「あ? なんか言ったか?」
「え、聞こえないよー」
この通り普段の会話もまともに出来ない様である。吹奏楽部の練習が終わるまで、部室にいる津樂、一ノ瀬は一度も会話が成立しなかった。そして、霧崎が部室に入室した頃、ちょうど吹奏楽部の練習が終わったのか、静寂の時間が数十秒。
「はぁ~終わったら終わったで寂しい感じするね」
「そうか? 俺は気まずい雰囲気が苦手だから、外にいるときは騒音ある方が落ち着く。今とか」
「私騒音扱いなの!? 私そんなに煩い!? ねぇ霧崎さん」
「ここで私に振るのかしら。私は…………別に」
「なんか間があった!?」
一ノ瀬は軽くため息をついた。
「私は大きすぎる音とか苦手だなー。家の近くで工事があると少しイライラするし」
「お前にもそんな感情あるんだな。まぁ気持ちは分からなくともないが」
「そうね、耳障りな音がすると私も不機嫌になるわ。特に放課後によく聞く気怠そうな男の声とかね」
「はいはいすいませんねー。感情が表情に出てないから気付かなかったわぁー」
「私もこれからは嫌悪感というのを剥き出しにするよう心掛けるわ」
霧崎が嫌悪感剥き出しの表情を作ると、一ノ瀬は二人の間に挟まれてるからか苦笑い。
「でもさ、苦手な音ってあるよねぇ。例えば黒板を引っ掻いた音とかさ、聞くと全身に鳥肌立つよね。でもなんで、みんなこの音が苦手なんだろ?」
「まぁいろいろ説はあるけど、ある専門家は俺らの祖先は猿だろ? その頃に身の危険を感じた際、仲間にメッセージを声で送って危険を知らせてたらしい。そん時の声が黒板の引っ掻き音と似てるからって言われてる」
津樂が一ノ瀬の疑問を解消すると、霧崎が「それでかしら」と呟き、二人は彼女を見た。
それに対し霧崎は左、主に津樂を見つめて、
「すぐに動物保護団体に報告しなきゃね」
「おい、俺は猿じゃねぇぞ!?」
ほんとに携帯を取り出すのだから、冗談なのか本気なのか分からない津楽であった。




