神様との会話
今回は少しやらかした感ありますが温かい眼で見てもらえると幸いです。
国東は神様の姿を見つけられてはいない。以前は姿まで見せてくれたのだが今回は声だけらしい。
「今回は姿を見せないんだな?」
「はぁ、あなたのその態度は相変わらずですね。依然と同じで神の前でも一向に恐れをしない。ある意味では尊敬しますが」
神様は声だけだがその言葉だけでどんな姿をしているかは想像に難くなかった。
「それで?どうしてこんな所で今更、姿を現すんだ?声だけだけど(ボソリ)」
その質問に神様は呆れた声で答えた。
「あなたは何も知らないでこの遺跡に入ったのですか?だからさっきみたいにトラップに引っかかってしまうんですよ」
「冤罪だ!アレに引っかかったのは俺じゃなくてアリシアだ!」
「そんな事は置いておいて」
見事にスルーしやがった。そう思うも話に置いてきぼりにされたくは無いので言わなかった。
「ここは私を信仰していた人たちが作った遺跡ですよ。だから私も地上に干渉することが出来るのです。普段はこんなことできません」
「へぇ~~神様でも出来ないことがあるんだ」
「いえ、出来るのですが皆に怒られるのが嫌で」
予想外の言葉に俺は思わず態勢を崩しかけた。何て言う理由だ。
「それでその遺跡にまんまと入ってしまったということか」
「えぇ、ですが私がそれまでは誘導しましたが」
またさりげなく爆弾を投下した神様。もうここまで来たら驚くのを通り越して呆れてしまう。
「どういうことだよ?」
「ロックドラゴンの鱗を加工してくれるという職人を探してこの島まで来たんですよね?その途中で海龍に襲われたと」
「どうしてそれを・・・・そうか、分かったぞ」
その言葉にクスクスと笑い声がしてきた。やはりあの神様の性格も以前と何ら変わりないらしい。国東はそのことに無性に腹が立ち、同時に今まで必死にやってきたことがアホらしく思えてきた。
「あんたも変わらないな。今までの事も全部仕組んでいたということか。何の目的で?」
「深く考えすぎはよくないですよ。ただあなたともう一度会って話がしたかっただけですよ」
「その話の為にこっちがどれだけ苦労したか分かってんだろうな?」
その道のりで死ぬと思ったことが何度あったかこの神様は分かっていないらしい。だがさすがに国東の言葉に罪悪感を感じたのか、少しだけ申し訳なさそうな声で謝ってきた。
「それについては申し訳ないと思っています。そのお詫びとしてロックドラゴンの素材はこちらで加工しましょう。そうして持って帰ったらあの女王様も喜んであなたも幸せになるはずです」
「まぁ、そうだな」
その言葉に反論は出来なかった。正論だからだ。
「分かりました。少し待ってください」
「いやいや、少しじゃ終わらないだろ、どう考え___」
「出来ました」
「早っ!?」
自分が喋り終えてもいないのに出来たと聞いて、かなり驚いた。かなりの大きさの皮袋が宙を浮いている。おそらく神様が手で持っているのだろう。その光景に本当に大丈夫なのかとなぜかそこが不安になった。もっとこう、必要な手順とか何かでしっかりとやらないといけないんじゃないのか。
「ご心配には及びません。神様ですから」
「なら俺の姿を直してください、お願いします」
「だめです」
即答だった。だが俺は諦める訳にはいかない。ならばこの一年間、この神様がまた現れた時の為に考えていた作戦を試すしかなかった。
「いやいや、出来るでしょ、神様は全能でしょ?」
「そんな全能だなんて・・・・私は皆に比べたら劣っていますよ」
どうやら謙遜しているようだが声からしてまんざらでもないようだ。よし、このまま。
「そんなことないですよ。あなたは一流です。さっきの力や俺を女性にしたんだからそのぐらいの能力はあると思っていていいですよ」
「いや~~それほどでも」
良しよし、いい感じだ。もう少し褒めてみるか。
「よっ!全知全能、超一流の神様!」
「えへへへへ」
そろそろ頃合いか。いくぞ!神様、勝負だ。
「で?その全知全能の神様にお願いしたいことがあるんですけど・・・・・」
「何ですか?私に出来る事なら・・・・」
「私を男に戻してください」
「だめです。絶対に」
ダダダダダダダダダ!!
「うわぁ!?危ない!」
国東は姿は見えないが大体の位置に向けて、銃を拾って放った。
「何をするんですか!?」
「何で戻してくれないんですか!?」
癇癪極まって思わず、口調が移ってしまう。くそ、良い作戦だと思ったのに何で通用しないんだ!
「くっ、危ない所でした。何てずるい事をするんですか、それでも人間ですか!この形容しがたい何か!」
「そこは鬼、悪魔、変態とかだろうが!!何で”形容しがたい何か”とか言われないといけないんだ、人間でもない神様に!」
それから俺は何もない空間を睨み続けたがやがて神様の方からため息が零れた。
「はぁ、もういいです。あなたに期待した私が馬鹿でした」
「戻してくれたら良い仕事をするんだけどな~~~」
「しつこい!ごほん、それよりもあなたに伝えたいことがあります」
その言葉に俺は黙ってしまう。神様の言葉にビビったわけでは無い、だが明らかにその場の雰囲気が変わったことだけは分かったからだった。
「それは俺を喜ばすことか?それとも・・・・」
「あなたには大きな災いが降りかかる事になります」
人の話を聞かずに神様は言葉を続けた。国東は神様が喋った言葉に眉を顰めた。
「災い?一体、何の話だ」
「実は貴方を読んだのもこの為です。ですのでちゃんと聞いてくださいね?あなたをこの世界に呼んだ理由ともつながります」
そういう事を言われると絶対、聞きたくなるじゃないか。それにあの時、教えてもらえなかった理由を聞けるのはこちらとしてもありがたい。俺は今までこの世界で目標を手にすることも出来るからだ。
「あなたを呼んだ理由。それは・・・今から起こる災いを食い止めてもらう為です」
いきなり爆弾が投下された。いや、あの装備類を見るなら納得は出来るがその災いと言うのが何なのかが分からん。
「この世界にはあなたの他にも似たような異世界人が居ます」
「!?」
俺はその発言に再び、目を見開いた。この世界に異世界人は自分ともう一人だけだと思っていた。だが言い方的には他にもいるということになる。それと知ると驚かずにはいられなかった。
「良い反応ですね。それに意外にあなたの近くにいるかもしれませんよ?」
「何?」
「思い当る節はありませんか?ほら、大きな戦いがあったはずです」
「大きな戦い・・・・あっ!」
思い当った。一つだけ、俺も巻き込まれた大きな戦いが。
「王国と帝国の戦いか?」
「正解です。拍手を送ってあげましょう」
パチパチとどこからか拍手が聞こえてくる。見渡すが姿どころか叩いている手も無かった。
「用件をさっさと言えよ。あまり暇では無いんでね」
「そうですね。では手短に。あなたはその災いに絶対に立ち向かわなければいけない時が来るでしょう」
「それを俺が拒否したとしてもか?」
「はい、絶対にです。そして他の異世界人とも戦わなければならないでしょう」
それは困ると俺は思う。この世界でなおかつ異世界人と戦うなんて、この装備品だけで考えたらどう見ても無謀だ。確実に俺みたいな能力か小説みたいに超能力や魔術みたいなチートを絶対に身に着けているはずだ。そんな奴ら相手にたかが輸送艦で勝てるのか?
「ご心配には及びませんよ。必ずあなたにも勝機があるはずです」
「何を根拠に。こっちとしてはいい迷惑だ」
俺は自衛官として日本の国防を守る為に自衛隊に入ったのに神様が勝手にこの世界に連れてきて、女にされてあまつさえ災いとやらと戦えと言う。これを迷惑と思わない奴がどこの世界に居るのか。
「それではご検討を祈ります」
「えっ、ちょっと!」
何か神様が退場しようとしているんですけど。伝えたい事だけ言ってそれで終わりですか?
「いえ、言い終わったんでもう帰ろうかと」
「なんつぅ、神様だ!」
「時間ですしね。この遺跡ではあまり長い時間はいられないんです。あなたが遊ばなかったらもう少し有用があったのに」
しかも人のせいにまでしてくる有様だ。もう何なんだろうね、この神様は。
「最後に警告しますよ」
頭を抱えていると神様は静かに言った。今までの雰囲気とは何かが違う。悲しいようなそうでないような、曖昧な感じだ。今まであった中で一番曖昧な感じだ。
「あなたは辛い経験をすることになるかもしれない。勝手に送っておいて何ですが・・・・覚悟はしておくように。そしてそれはすぐそこまで迫っている。この加工した素材が取れた国に戻りなさい。そうすれば分かると思いますよ」
それだけ言うと神様の気配が無くなった。遺跡内部もさっきと比べて暗くなったようにも見える。
「まったく・・・人使いが荒すぎるぜ」
ポツリと今は誰もいない空間に言い放つ。だがその後ろで扉が開く音が聞こえてきた。
「クニサキさん!そこにいるんですか!」
それはミルシヤとアリシヤだった。どうやら二人は隣の部屋にいたらしい。
「あぁ、無事だよ」
「そこで何をしていたんですか?」
そうミルシヤに聞かれて、国東は。
「いや、ただの調査だよ。さぁ、行こう」
そうはぐらかした。遺跡を見て感嘆しているアリシアを引きずりながら部屋を後にした。
「期待してますよ。この世界のためにもね。フフフ」
国東達が去った部屋で神様が不敵に笑った。
次の章はついに間章で出てきた人物の正体が分かります。




