撃退
ようやく実力テストが終わりました。ということで新しいものを上げます。
遅れてすいませんでした。
「で・・・でかい・・・」
その迫力に誰もが息を飲む。そして同時に勝てるのかと思う。
「だけど・・・・」
ここでやられてしまったら今までやってきた全ての事が無駄になる。国東はそう思う。
「伊達に国の盾の輸送艦はしてないさ !」
自信を言葉で奮い立たせる。そして状況を確認する。ここでこそ周囲をよく見る事が大切だ。ここで目先に捕われてどうなったかは歴史が証明している。
艦全体を大きな揺れが襲う。あの海龍がおそらく艦に激突したのだ。総トン数ではこちらが上でもいつまで持つかは分からない。
「CIWS、照準!」
CICにあるカメラに能力で接続しでようやく姿を発見する。その瞬間に砲塔を素早く向けて発射した。
「くそっ!」
結果はハズレ。20mmの弾は海面を叩いただけだった。
ドオォン
再び、衝撃が艦を揺らす。その分、国東は焦る。カメラとレーダーを巧みに使い、敵の姿を見つけたら撃つ。見つけたら撃つを繰り返していた。しかし結果はことごとくハズレ。
ドオォン
(このままではじり貧だ。何とかして奴の足を止めて、そこに20mmか何かをぶち込んでその隙にこの海域を離れるしかない)
今、この状況を戦闘艦でもない輸送艦「くにさき」が切り抜ける最善の手段だった。
その時に無線が鳴った。ミルシアからだ。
「すいません、遅れましたが何とか配置が完了しました」
どうにか間に合ったようだ。中々、無線に連絡が無いのでどうしたものかと思ったところだった。
「丁度よかった。少し援護を頼む。どうも当たりづらい。それと何人か人を武器庫に送って84mmを取らせてきてくれ。出来るだけ急いでな」
無線で急いでのところを強調させながら言う。
「分かりました。取ってこさせます。なるべく急いで」
負けずにミルシアも強調させる。いや、君は強調させなくていいんだよ?
ドオォン
「やれやれ雑談もゆっくりさせてくれないか・・・・」
それを呟く国東の目の前のカメラは猛烈な勢いで弾を吐き出す62式機関銃を持ったメリアを映し出していた。
ダダダダダダダ
肩で反動を殺しながら撃つ。どうにか短い間だが少しだけ慣れた。
「しかし何であの海龍が相手なのよ。あの助け出した乗客が何かしたんじゃない?」
海龍は本来、深い深い奥地の海域にいるはずなのだ。凶暴だが自分のテリトリーは律儀に守っていて、滅多にテリトリーの中から出て来ることは無い。しかし今の状況を見れば、そのくらいの考えに行きついてしまうのは仕方のない事だった。
「お、お嬢様。抑えてください。あっ、来ましたよ」
隣で弾込めをしていたメイドがメリアに落ち着くように言う。しかしどこを撃っても中々、当たらない(当たったとしても弾かれるため)イライラが溜まっていた。
「しかし私にとって海龍と戦う事になるなんて思いもしませんでした」
メイドはリロードが終わった64式を構えた。ミルシアのとは違って倍率スコープがついている狙撃タイプの64式小銃だった。
「そうね。この経験で新しい道具・・・あっ!思い出した!」
「ど、どうしたんですか?いきなり大声をお上げになって」
いきなりを大声を上げたメリアにメイドは困惑した顔で見つめる。
「後、頼むわね!」
「えっ、ちょっとどこに行くんですか!?」
「もしかしたら追っ払えるかも!」
「ええ?」
62式を置いてどこかへと行ってしまうメリアの後ろ姿を眺めることにしかできなかった。
「82mm持ってきたわ!あれ?、お嬢様は?」
「あっ・・・えっと・・・行っちゃいました・・・・はは・・ははははは」
その姿にメイド達も苦笑いをするしかなかった。
ギヤアアアア
声が聞こえる。一斉に振り向くと同時に目を見開く。
「ぜ、全員退避!」
全員が走り、艦内に全員が入ったところで海龍が放った。水流が「くにさき」に激突する。
「こんな手もあったか!」
海龍が放った水流が艦を直撃する。モニターにいくともエラーが出る。
「20mmは何とか無事か・・・・」
不幸中の幸いだったのは20mm機関砲を操作するための配線は生きていた。しかし艦のダメージは大きくもはや無視はできない。
『クニサキ!!』
「その声・・・メリアか!?何をしているんだ?」
『その話は後にして、今から合図をしたらあの大筒を海龍に向けて撃って、そして全速で逃げるのよ』
「一体、どうやって」
『いいから!!』
どうやらタネは教えてもらえないらしい。しかし何か彼女には策があるのだろう。今、出来ることが何もないという事は信じるしかないということか。
「分かった。信じよう」
『ありがとう』
無線を切ると隣のメイドに声をかける。
「84mmを持ってきてくれ、俺が撃つ」
「は、はいっ!」
メイドは海龍が暴れるせいで海水を浴びながらも持ってきた。
「どうぞ!」
「ありがとう」
礼を言いながら構える。無線を全員に繋げた。
「いいか、メリアに何か策があるらしい。メリアが合図したら一斉に撃って足を止めろ」
『『『了解』』」
それを言い終えると辺りが静まり返る。海龍が暴れる音、海の波、そして奴の鳴き声だけが辺りに響いているだけだった。
息を潜めていると諦めたのか、あたまた顔を出しただけなのかは分からないが海龍がこちらに向けて泳いできた。海龍がギリギリまで艦に近づくとメリアが艦から飛び出して何かを投げた。
キィィィィン
けたたましい音が鳴る。全員が耳を抑える。耳が痛いのだ、本当に。
ギアアアアアアアア!!?
どうやらそれは奴も同じらしい。
『今よ!』
メリアからの合図が来た。
「総員、撃てぇ!!」
命令すると凄まじい音共に銃撃が開始される。俺も84mmと20mmを浴びせかける。
ギアアアアアアアア!!!?
あまりの激痛に耐えきれなかったのか、水中に潜る。
そして二度と姿を現さなかった。
「逃げたか・・・」
海龍を撃退した。それだけ分かると皆、へたり込んだ。どうやら緊張の糸が切れたようだ。
「疲れたぁ~~」
「生きた心地がしなかったです」
皆が思い思いの感想を言いながら、近くに帰ってきたメリアに尋ねた。
「そういえばメリア、さっき投げていたモノは何だったんだい?」
するとメリアは胸を張り、自身満々に説明した。
「あれは私が開発した音響兵器よ。大音量の音を魔法で閉じ込めて蓋をして、ピンが外れたら飛び出すって仕組みなの」
「へぇ、閃光手りゅう弾みたいなもんか」
やはりメリアは凄いと思う。そう感心していると今度はメリアから質問してきた。
「クニサキはこれからどうするの?もうあの航路は使えないと思うんだけど」
「さすがにあそこに行くほど馬鹿じゃないよ。せめて島があればいいんだけど・・・・」
そう思いながら地図を見る。あの職人、おそらくこの航路に海龍がいるということを知ってこの地図を渡したに違いない。この地図自体が間違っている可能性もある。どっちにしろ生きてこの海を抜け出したらあの職人に一発、本気の拳をお見舞いしなくてはならなった。
「う~ん、この地図通りならもうすぐ島が見えてくるはずなんだけど・・・・」
そうした時にメイドさんが駆けてきた。
「す、すいません。少しご報告したいことが」
「どうしたんだい?まさかまた海龍が?」
今は体に負担がかかるためにレーダーはカットしている。だからどうしても人の目に頼る他なかった。
「いえ、違います。し、島があります!」
「「えっ」」
俺達は顔を見合わせた後に地図を見た。そして再び、顔を見合わせて笑った。
「まさか本当にあるなんて!」
「本当だよ。あの職人に少しだけ感謝しないと」
とにかく島に上陸できるのなら少し海龍に関しての対策を立てたいのだ。そう意味でも少しだけあの職人に感謝した。
こうして俺達はその地図の島に上陸することにした。
殴る事は変わりないけどな。
次回は島に上陸し、ロックドラゴンの鱗の加工と海龍撃破の策を練ります。




