メリア奪還
今回は年末なので長めです。
「ハハハ、どけろ、どけろ!!」
屋敷よりかなり離れた駅で騒動が起きていた。言わずもだが騒ぎの中心はガゼル達であった。
「こんなことをして、内地軍がするくるわよ」
その中心の中で必死に抵抗を続ける者がいた。メリアである。ここまで来るのに何度か抵抗したが全て封じ込められていた。
その言葉を言ったメリアはガゼルに腹を殴られる。
「口を慎めよ。ただでさえお前のせいで到着に時間がかかったんだ。ここばかりはおとなしくしといたほうがいいぜ?」
メリアに見えるようにガゼルは大きく火を手に宿す。
「・・・・・・」
「いい子だ。だがその眼はいただけないな」
「・・・・・」
口には出さない。彼女の眼には無言の抵抗があった。しかしガゼルはそれを気にも留めなかった。
「まさかあの美人のメイドが来てくれると思うのか?そいつは残念だったな。奇跡でも起こらないとあの距離は来れないぞ」
「クニサキは必ず来てくれるわ。そしてあんたなんかすぐに倒すわ」
「そいつは楽しみだ。まぁ、倒す前にここに来れないと意味が無いんだけどな。ハハハハハ」
「「ハハハハハ」」
笑うガゼルに部下たちもつられて笑いだす。
(クニサキは必ず来てくれる。カツラギだってそうだった)
彼女は諦めない。彼女の脳裏には以前助けてくれた緑と茶色が入り混じった服を着た女性の姿が映っていた。彼女は私を命を賭けて助けてくれた。だから頼りきりなのは虫が良いのかもしれないが今はそれしかないのだ。
震える体を抑えながら祈っていると髪を引っ張られた。
「くっ・・・うっ!」
「来いよ。お前のためにわざわざ列車が来てくれたんだぜ。喜べよ。まぁ、片道だけどな」
神を引っ張られながら体を持ち上げられて、来た列車に放り込まれた。その後にガゼルと部下たちが入っていく。
「運転手、いいぞ!」
この列車もまたガゼルの支配下にあるものだった。だからこそ列車で逃げ去るという荒業が可能だったのである。
こうして去っていく嵐のような連中の乗せた列車を呆然と消え去るまで見ていた客は今度は違う事で悲鳴を上げることになった。
「うわーーーー!!!」
「逃げろ!!」
「ダメですって!帰ってくだ_____うわああああ!!?」
客や駅員が悲鳴を上げながら逃げていく、他の客は何事かと思っていると駅を壊しながら何かが来た。それを見た他の客は・・・・
「ま、魔獣だ!」
「何でこんなところに!?」
身構えるがその魔獣は寸前のところで止まった。
「おいっ!」
「えっ?」
彼らは唖然とした。彼らからしたら魔獣の腹から美人の黒髪の女性が話しかけてきたのだ。しかももう一人いる。不思議がって当然だろう。
「さっきここでいかにも悪そうな男達が乗らなかったか?」
その言葉に心当たりがあったので若干、焦り気味に頷く。
「さっきまで?」
頷いた。魔獣への恐怖心で冷や汗がにじみ出てくる。
「分かった。ありがとう!」
すると魔獣が吠えて、線路へと飛び降りた。
「・・・・・・」
皆、目的の列車が来るまで呆然としていた。彼らの目には一生、記憶に残るような出来事であった。
「すいません。さっきから聞いているんですが何ですか、こ、こ、こ、これは!」
「黙っていてください!舌噛みますよ!」
「あっ、はい。じゃなくて!」
毎度毎度、この手に引っかかってはぐらかされていた。この魔獣は何なのか、それを操るあなたは何者なのかを聞かないといけない。
「あなたが言いたいことは分かりますが何分時間が無いのと俺も何回もその質問を聞いてうんざりしているんでやめてもらっていいですか!?」
線路の上を走りがら国東は中止した。
「や、やっぱり、やめま___」
「見えた!」
不思議がるのも無理はない。屋敷から黙って連れてきてしまったのだ。ここまで黙って連いてきてくれたのもアリシアだからだろう。
それを言っていると列車が見えてきた。後ろに見張りがいるという事はやはりアレだ。
「見つけたぞ」
(必ず助け出す。それまで待っていてくれ。メリア)
「ボス!!」
見張りの部下が慌てながら客室に入ってきた。メリアとしゃべったりしながら楽しんでいたガリア達は舌打ちしながら質問した。
「そ、それが・・・」
「どうしたんだ!」
気が短いガリアは怒鳴った。
「は、はいっ!!あのメイド達が魔獣に乗ってここまで来ました!」
「な、ナニィ!?」
「う、嘘だろ?」
「冗談だろ」
部下たちが騒ぎ出すがガゼルは違った。
「えぇい、黙れ、黙れ!!」
騒ぐ部下をガゼルが黙らせる。
「臆することは無い。確かに来ることは予想外だった。だがそれだけだ。どれだけ装備を整えようとも、どれだけ魔物をそろえようかとこの”炎のガゼル”の前では何の役にも立たん!ふっ、ハハハハハ」
「そ、そうですよね!」
「負けることもないぞ!気楽に行こう」
部下たちも自身の得物を再び、持ち準備を整えた。
「抵抗は無いな。意外だ」
見つかったからにはただでは済まないはずだと思っていたがまさか抵抗が無いとは。正直予想外だった。
「どうしますか?」
「抵抗が無いという事は中で待ち伏せている可能性が高い。もしくは近寄ってきたところを撃つつもりかのどちらかだな」
「どちらにしても嫌ですね」
「どうにか出て来て来れば・・・・うぉっと!?」
様子を見ていると列車から何人か出てきた。全員がクロスボウで装備しているが動いている目標に当たりづらいのか車___ジープに当たった。
三菱ジープ、パジェロの前に陸上自衛隊に配備されていた車輌。多くのバリュエーションがある。ベストセラーの車輌であるが環境問題などが原因で全て退役した。製造、開発した国はアメリカであり、アメリカ軍でも多く使われていた有名な車輌である。
「だ、大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫だ!」
その裏付けに全て矢はジープに弾かれていた。
「今のうちに!」
ジープに集中している内にと9mm拳銃を出して、射撃をした。
「ぐわぁ!?」
一人に当たり、落ちて行った。死には・・・本人の体の丈夫さで決まるがおそらく大丈夫だろう。
一人落ちたいたことで尻込みしたのか、もう一発撃って逃げていった。
「これで乗り込めるはず___(ドォン!)!?」
いきなり列車の客室が火をあげた。
「ああああああ」
「た、助けてくれぇ!!!」
さっきクロスボウを撃っていた人間達が次々と火だるまになって出てきた。あまりの光景に絶句してしまう。だが犯人が誰か分かっていた。
「そこまで堕ちていたのか、ガゼル・・・」
何が起こったかは知らないが自分の部下を燃やすという悪行に怒りがこみ上げてきた。
「運転頼みます」
「えっ、ちょっと!!」
「こことこことここをすれば大丈夫ですから。あっ、その二つは足で教えてください」
「出来ないって!!」
その言葉を聞かずに後部座席からあるものを取り出す。
「借りますよ」
それはメリアの部屋から持ってきた62式機関銃だった。幸いにも部品は攫われる前に運がよくメリアが部品を嵌められていた為に使える様にはなっていた。
「では頼みます」
「ウソォ!!?」
アリシアに全てを任せて列車に飛び移った。後ろを見るが何とか出来ているようだ。凄いな。
「危ない!!」
メリアの声が聞こえた。後ろを振り向くと火球がこちらに迫っていた。慌てて右に回避する。油断した。
「まさかここまで来るとな。女にしてはよくやるよ」
ガゼルの声が聞こえる。相変わらずの人を見下した言動だ。
「お前に会えてよかった。今回は立場が逆だな」
「ハッ、そんな減らず口すぐに聞けなくしてやる」
火球が迫ってくる。大口叩いたが実際かなり怖い。どうすればいいのや。
「熱ぃ!!?」
壁を貫通して銃が手から離れてしまった。
「おいおい、どうしたんだぁ?もう終わりかぁ!あぁ?」
どんどん近付いてくる。
「やるしかないか・・」
俺はポーチから89式小銃に着ける銃剣を構える。これは9mm拳銃と共に持っていた為だ。
「ふぅ・・・・うわああああ」
足音が近くまで着たところで一気に飛び出した。
「うおぉ!?」
不意を突かれたガゼルは一気に姿勢を崩す。そのまま止めを指そうとした時に腹に衝撃を感じる。
「よくも・・・!」
火球が迫る。前転で回避する。そのまま脚にしがみつく。
「くそ!離せ!」
それでも離さないから足で蹴るが何とか耐える。
「うおおおおお」
そのまま脚に銃剣を指した。すると今までの力は何だったのかと一気に吹き飛ばされた。
「ぐああああああ」
激痛で悶えながらもその声に笑みがこぼれた。いい気味だ。62式機関銃を取ろうとした時にメリアから警告が飛ぶ。
「あ、危ない!」
振り向くと顎から衝撃が一気に来た。
「よくもやりやがって・・!もう容赦しねぇ。銃剣を足から抜いてこちらに歩み寄る。対して俺はさっきのダメージが抜けずいた。
「食らえぇぇ!!」
体が熱かった。一気に火傷の痛みを数倍にした痛みがする。
「ぐあああああ」
悲鳴を上げて体をぐちゃぐちゃに曲げる。熱い、体が溶けそうだ。
「まだまだこんなもんじゃないぞ、ゆっくりいたぶって殺してやる」
殺される。そう思った。何とか最初はクニサキが優勢だったが今はあいつが優勢だ。どうすればいいか私は探した。
「ぐああああああ」
クニサキが暴れる。耐えられない光景に目を背けようとした時に何かが転がってきた。それは・・・
「くっ」
私は何とかガラスの破片を使って縄を解き、それを持った。重かったが何とか持てた。
アイツはクニサキに夢中だ。私はそれを構えた。扱いはカツラギのお蔭で知っている。試すのはこれが初めてだが。
「こっちよ。この野郎!」
アイツがこちらを向いた。私は震える手で引き金を引いた。
「こっちよ。この野郎!」
ガゼルがこちらの攻撃を止めた。痛みの中で転がった銃剣を拾う。奴が一瞬、注意をそちらに向けたことで余裕が出来た。
「あばよ」
銃剣を腹に向けて投擲した。真っ直ぐに銃剣は刺さり、奴が痛みに顔をしかめている間に鉄の嵐が彼に襲いかかった。
89式より明らかに数が違う連続音が鳴り響いた。
ダダダダダダダダダダダダダ!!!
「あっ、がぁ・・・・」
ガゼルは何が起こっているか分からないようだ。だが奴は白目を剥いて倒れた。
「やっ・・・・たか・・」
俺は震える声で呟いた。元の世界ではフラグでも今はそんな事は関係なかった。
どうやらメリアを助けることが出来たようだ。そして奴を倒すことを。
「よか・・・たぁ」
俺は達成感に包まれた。薄れゆく意識の中で
「クニサキ?クニサキ!?」
守り切った者の声を聞きながら意識が完全に切れる寸前にこう思った。
(もう二度とこんな仕事を引き受けるか!!)
そんな捨て台詞を残して俺の意識は途切れた。
今年もありがとうございました。新年もよろしくお願いします。
国東「新年もよろしく!」
ミルシア「最近出ていないけど忘れないで!!」
メリア「私の活躍はどうだった?新年もよろしく!」
アリシア「私、運転役でしか出ていない。い、いや、新年もよろしくお願いします」




