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処刑まであと7日。悪役令嬢はもう何もしません  作者: すなな


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27/30

27- 処刑まであと1日

侍従は広間の中央に立った。


アルベルトが口を開く。


「父上から私の侍従を通して命が下ることは珍しくありません」


最高司法官が召喚状を示した。


「これを使者へ渡しましたね?」

「はい」

「誰から受け取りましたか」

「国王陛下付きの文官です」


名を告げる。

その文官も、すぐに呼ばれた。


だが召喚状を見るなり、首を振った。


「私が作成したものではありません」


侍従が顔を上げる。


「あなたから受け取ったはずです」

「渡しておりません」

「では、あなたは誰からこれを?」


最高司法官が再び侍従へ尋ねる。


「私は命じられただけです」

「誰に?」


侍従は黙った。


「答えなさい」


それでも口を開かない。


アルベルトは何も言わず、その様子を見ていた。


セレナは召喚状へ目を落とす。


何度も目にした王宮の書式だった。

だからこそ、一箇所だけ気になった。


「その召喚状を見せていただけますか」


受け取って、文面を読み返す。


「……やはり」

「何か?」

「この表現です」


一文を指す。


「陛下は、臣下を直接お呼びになる際、この言い回しはなさいません」


最高司法官が文面を見る。


「偽造者が分かるのですか?」

「いいえ。ただ……」


セレナはアルベルトを見た。


「アルベルト殿下の書簡では、よく拝見しましたわね」


アルベルトの笑みが、わずかに止まった。


「長く父上のそばにいるんだ。似ることもあるよ」

「そうかもしれませんわね」


セレナはそれ以上追及せず、召喚状を返した。

レオンが口を開く。


「死亡時刻の記録を」


侍医の記録が最高司法官へ渡された。

国王の推定死亡時刻が読み上げられる。

続いて、使者が召喚状を受け取った時刻。

最高司法官が顔を上げた。


「……国王陛下が亡くなられた後です」


空気が変わった。


「間違いありませんか?」


侍医が答える。


「死亡時刻には多少の幅があります。しかし、遅く見積もっても召喚状が渡される前には亡くなられていたと考えます」


最高司法官は召喚状を見た。


「では、これは国王陛下の意思で出されたものではない」


誰も答えなかった。

死後に、国王の名でセレナは呼び出された。


しかも、遺体のある部屋へ。

最高司法官が次の資料を手に取る。

王宮の警備記録だった。


「セレナ嬢を拘束した衛兵についても、配置記録に不審な点があります」


衛兵の一人が呼ばれた。


「あなたは侍女の悲鳴を聞き、偶然近くを巡回していたため駆けつけた。昨日はそう証言しましたね?」

「はい」

「しかし、この日の巡回経路に国王陛下の居室前は含まれていません」


衛兵が黙る。


「なぜ、そこにいたのです?」

「……待機を命じられておりました」

「いつから?」


答えた時刻は、セレナが王宮へ到着する前だった。


「誰の命令です?」


衛兵の喉が動いた。


「……王太子府より」


今度は、誰も声を上げなかった。


視線だけが、一斉に上座へ向いた。


アルベルトの笑みが消えていた。

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