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処刑まであと7日。悪役令嬢はもう何もしません  作者: すなな


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22/34

22- 処刑まであと2日

協議は長く続いた。


やがて審問官たちが席へ戻る。

広間のざわめきが静まった。


「審議の結果を申し上げます」


セレナは顔を上げた。


「アルヴェール公爵。一連の事件の首謀者と認め、反逆罪ならびに国王陛下殺害の罪により死刑。公爵家は取り潰し、爵位を剥奪。領地および財産は王家へ接収するものとします」


「お父様……」


父は何も言わなかった。

ただ、まっすぐ前を向いている。


「続いて、セレナ・アルヴェール公爵令嬢」


セレナは姿勢を正した。


「国王陛下殺害への関与は極めて濃い。しかし、幼少期より公爵の強い影響下にあったこと、また先の毒殺未遂事件については無実であったことを考慮し――」

「お待ちください」


アルベルトの声が響いた。

審問官が言葉を止める。

上座からアルベルトが立ち上がった。


「セレナについて、一つお願いがあります」

「殿下?」

「彼女まで罪人として人生を終える必要はないと思います」


広間がざわつく。

セレナはアルベルトを見た。


「父上を失ったことは、僕にとってもつらいことです」


アルベルトの声は落ち着いていた。


「ですが、セレナ自身が望んで公爵の計画に加わったとは思えません」

「殿下……」


誰かが小さく呟いた。


「公爵の影響から離し、王家の監督下に置くべきです」


審問官が尋ねる。


「どのような形をお考えでしょうか」

「僕が責任を負います」


アルベルトは迷わなかった。


「セレナと結婚します」


大広間がどよめいた。

セレナは言葉を失う。


「殿下、しかし……」

「彼女は長い間、公爵のもとで生きてきた。ならば、そこから離せばいい」


アルベルトがセレナを見る。


「僕の妻として王家に迎えます。その場合、彼女の罪は問わないでいただきたい」


周囲から声が上がる。

父を殺されたばかりの王太子が、その事件に関わったとされる女を妻に迎えようとしている。


「なんという……」

「そこまでなさるとは」


セレナは唇を噛んだ。


「お断りいたします」


声が止んだ。

アルベルトが瞬く。


「セレナ?」

「あなたと婚姻するつもりはございません」

「……」

「罪を免れるためであっても、お受けいたしません」


アルベルトはセレナを見た。

怒るでもなく、説得するでもない。


「……残念だな」


寂しそうに笑う。

けれど、その声は妙にあっさりしていた。

アルベルトはそれ以上何も言わず、席へ戻った。

セレナはアルベルトを睨みつける。

アルベルトは満足そうに微笑み返した。





審問官たちが再び言葉を交わす。


やがて一人が立ち上がった。


「では、改めて審判を申し渡します」


広間が静まり返る。


「アルヴェール公爵。反逆罪ならびに国王陛下殺害の罪により、死刑」


父は静かに前を向いていた。


「アルヴェール公爵家は取り潰し。爵位を剥奪し、領地および財産は王家へ接収する」

「……」

「続いて、セレナ・アルヴェール公爵令嬢」


セレナも顔を上げた。

アルベルトだけが、穏やかにこちらを見ている。

審問官が書面へ目を落とした。


「国王陛下殺害への関与、ならびに一連の反逆行為への関与について――」


一拍置く。


「終身――」

大広間の扉が開いた。



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