↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
JOLENEジョリーン・Y字路の女神  作者: オブチアスマ
最終章 大団円へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

99/104

第25話 ビッグ・ランナウェイ3

謙が叫ぶ!

「くらえっ!」

アレックスが叫ぶ!

「サノバ・ビッチッ!!!」

二人の噴射口から勢いよく聖水が飛び出した。


―ザザアーーーーー

本能のみで行動する牛鬼が聖水を浴びた。

「ぐぅ・・・ぎゃーーーあーーっ」


激しい痛みに驚いた牛鬼たちは、あたふたと逃げ動き回りながらも見る見る体が溶けていく。

―あふっ・・・みゅーうーーーー・・・・・

黒衣の二人の放水は的確に牛鬼の群れに浴びせられる。

―ザァアーーー

神楽衆の演奏が激しくなってきた。

―ピイーッ!ドン!ドンドン! ドドンドドドドン!カンカンカンカン!

―おおおおおおおーーーーーーおおおおおおーーーーーーーーーっ


聖水を浴びせられた牛鬼は苦しみの声を上げる間もなく次々に溶けていくが、

まだまだ次々とアパートの下から牛鬼は這い出てくる・・・


―ざわざわざわ・・・・・


「アレックス、俺は裏に回る頼むぞっ!オーバーゼアー!」

「OK、KEN!!」

「アレックス!バック!レギオンズッ!」

アレックスの後方から新たなレギオンが襲いかかろうとしていた。


謙は背中のショットガンを正面に回し、構え、何発も弾丸を発射した。

―ドンッ!ガシャ ドンッ! ガシャ ドンッ!・・・・


アレックスも目の前の牛鬼に夢中で聖水を浴びせていた。

黒衣のスーパースター大場謙は放水をしながら水流で暴れまわるホースを抱き込みアパート裏に放水しながら走り続け、ぐるりと牛鬼を消滅させた。


静華のテレパシーが響く

「最上級の警戒、このまま魂散華(こんさんか)、開始」


―ドンドドン ドンドドン ドンドドン チン!カン!・・・

―おおーおおおおおおおーーーーーーーーーーーっ

氏子衆が魂を込め合唱する。


神座舞台の和華が周囲の安全を確認しながら地面下の亡霊たちに向かい話しかけた。


スピーカーから和華の澄んだ声が響き渡る・・・


「悪魔は・・・私たち榊原一族が引き受けます、遠慮は要りません、これが最後の機会になるでしょう・・・、

さあ、みなさん観音菩薩様と地蔵菩薩様が導いてくださいます

今すぐ、ここに集まってください・・・


何をしているっ!男も女も、馬も牛も豚も鳥も!遠慮しないっでっ!

迷(・)え(・)る(・)魂(・)た(・)ち(・)よ(・)集まりなさいっ!!」


小学生の和華姫が叫んだ。


空から鐘の音が響いた。

―カーン!

燈明の上に居る菩薩様の光が強(・)く(・)大(・)き(・)く(・)な(・)っ(・)た(・)。


小さな光が和華や燈明の周囲に大量に集まりだした・・・

公園跡の地面から三本木の地面からアパートの地面から

浮かび上がってくる光の玉たち

50・・100・・200・・・300・・・


橋の上で辞表を提出したはずの刑事が言う

「武藤さん、あれって・・・・」小辻がつぶやく。


「うん、そうらしい・・・すごいな・・・」


「和華ちゃん、すげぇー・・・」小林刑事も見とれて口を開けたままになっている。


 御燈明周辺の光の数が増して行き

神座舞台では和華の祈りが最高潮になる。

「あっきゃーのん!かむい おーぺれっ!」


アパート周辺の地面は水浸しになり、しぶきが掛かったか護摩壇の炎が少し弱くなった。

「式くん、油と護摩木を頼む」政一郎が言った。

「了解です・・・」

ヘルメットを被った式が護摩壇に追加の火をくべる。


しかし手は震え、その口からは情けない細い声で題目が唱えられていた。

「なんみょーほーれんげーきょー・・・・」

『こえーよおー・・・・』


息を切らし謙がヘッドセットで話す。

「アレックス大丈夫か?」

「ノープロブレム、イッツア、ナイスデイ!」


「はははオーライッ!」謙が右手を上げ親指を立てて突き出した。


「アリガト ゴザイマース!」手を振るアレックス。


和華が叫びスピーカーから合図が現場に響き渡る。


組んだ指を解き、両手を思い切り天に向かって突き上げた。

「魂散華(こんさんか)!かみさまぁっーーーーーー!」


その声に反応するかのように上空のお(・)く(・)ら(・)げ(・)様が

『ピカ、ピカ』と激しく明滅し燈明の上に浮かんだ二つの菩薩光が空に向かって上昇を始めると、それを追うように小さな光の玉たちが

大量に空高く天に向かって上昇していった。


遠く離れた位置にいる待機組の者たちから感嘆のざわめきが起こった。

「うわぁー、おーーーーーー・・・」


静華のテレパシーが告げる。

「四天王フォーメーション、神楽、氏子衆、青龍、白龍、頭領、頼んだわよ、お兄様、一度、おさがりください」


「あい、わかった」

政一郎は舞台に一礼をすると護摩壇から降りて神楽衆達の居るテントに向かった。


和華も柴刀を持って静々と舞台から下がり脇に待機した。


式には、なんの指示も無い。

『あれ?政一郎さん・・・行っちゃったよ・・・ちょっとぉアパートの周りに赤い目した黒い人影がいっぱい居るじゃないか…』


いろいろ見えるようになってしまった式は気持ちが小さくなっていた。


 尾形君と事件を調べまわっていた日々。


見えないからこそ強がってみたりカッコをつけたりしていたが

今は自分を睨みつける異界の者達を前に震え上がっていた。


いつ襲いかかってくるか解らない…

その上、自分には何も出来ない事がよくわかった。

怪談を集め調子を放(こ)いてきた自分自身がマヌケで笑えてきた。

「ははっ・・・はははは・・・」


 すると刀鍛冶衆の5人と青鬼たち4人が護摩壇のところに出てきた。

手には柴刀と呼ばれる神代文字が刻まれた刀を握っている。


アイドル守護霊の青鬼たち4人は、やはり神代文字の刻まれた長い棒を持っている。

霊体の4人は思いを実体化するため心の修行をした結果、武器を持てるようになった。


そして9人は鬼屋周辺の黒い影の悪魔たちと睨み合った。


次いでヘッドセットから静華の声が聞こえた。


「菅原さん山場です私の声スピーカーにつないでください何が起こるか解りません最上級の警戒願います、謙さんとアレックスさんも下がってください」


「了解」謙がアレックスに『下がろう』という手ぶりをした。

「ラジャー」


神楽衆・氏子衆は休みなく精一杯演奏し唄を歌う。

―はあーーーーーーはあーーーーーーはあーーーーーーあーーーー

―ドンドン ジャラララン シャン!ドンドン ジャラララン シャン!


テントの中に神楽衆、隣に菅原組、その後ろで西条先生と茂木副署長が話をしていた。

「先生、どうしました」

「あ、いや昔の事を思い出してしまって、どうも涙もろくて・・・」

先生はハンカチで目を抑えていた。

「民谷さんの事ですか」

「はい、きっとどこかで祭りを見ていると思います」

「そうですか、でも、とっくに生まれ変わって居るかもしれませんよ」


「なるほど・・・なんだか夢の中に居るようで…」


「それは私も同じです・・・あの静華さんや和華さんは神降ろしというより、まるで彼女たち自身が神の化身のように思えてきました」


「ふむ、そうですな」先生が頷きます。


「あの空の光、氏子衆さんたち、応援というより自ら進んで働いてるようにも見えます、まるで彼女たちが信望厚い神様のように見えてきました」


「ふむ、それは私も感じていました、もしアマテラス様もしくは

瀬織津姫様がいらっしゃったら、あのような感じかと・・・」


「まさか・・・」


静華がテレパシーで身内に話す。

「乱切りはしない牛鬼も居ないしな、屋根の上からかすかに赤い光が漏れているが周囲の悪魔たちは傀儡(かいらい)だ一丁前に剣(つるぎ)を持ってはいるが敵ではない、

すべて消滅させてくれ余裕があれば遊んでやれ頭領、頼んだぞ」


「はい」

刀鍛冶衆の頭領・玄彗(げんすい)が答えた。


「解体は古式数え斬(ぎり)、四天王全員で行います、父上、おじい様、和華、お願いします、木村さん、始めてください」

左に剣一郎、右に城一郎、後方に和華が、それぞれ位置に着いた。


氏子衆の唄い頭、木(・)村(・)に指示が出る。

スピーカーから静華の声が響く

「解体は古式数え斬で始めます」


街では相変わらず雨が降っていて不思議な事に現場周辺のみが晴れている状態だった。


―はあーーーーーー  木村が一人唄い始め神楽衆が続く・・・

―キーン!


神座の静華が台座の宝剣の前で一礼し宝剣を持ち上げ、

ゆっくりと鞘から抜き出した。


 いよいよ宝剣を使用しての抜刀演舞の開始だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。