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JOLENEジョリーン・Y字路の女神  作者: オブチアスマ
最終章 大団円へ

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第17話 魔物出現

会場にアナウンスが響いた。


「この母なる大和(やまと)の国、平和な日が一日でも永く続きますように

終わりなき世を願いまして、大祭りを開催いたします」


 「非常警戒開始!」


空から鐘の音が大きく響いた。

「カーンッ!」


―ズバッっと稲光のように空中の御くらげ様が光った。

ぐんぐん降りてきて先ほどより低い空に静止した。


まったく音はしません。


「大祭りは10年ぶりの開催、榊原家・四天王の完成は約150年ぶりです。この世に留(とど)まっておられる御二人と祭師様に感謝致しましょう」

 

現場周辺に雨が降り出したが鋼鉄の塀で囲まれた祭り会場には

なぜか一滴の雨も降ってきません。


御神楽の曲が変わり神楽笛と大型の三味線、琵琶(びわ)、琴が重奏します。


 アパートは北向きで、その手前に政一郎様が榊原流の祝詞とマントラを唱え護摩壇を担当。

 

政一郎様の前には昨日まで静華さんと和華さんの使用していた柴刀が台座に安置されており

魔除けの役目を勤めていました。


柴刀、それは当て字で、本当の意味は破壊を司るシバ神様が乗り移る、数少ない特殊な刀だった。


 その後ろに一度、儀式・魂散華(こんさんか)をして仮浄化した部分に神座舞台があり、まず和華さんが榊原流・巫女舞を始めた。


 胸を透くような神楽笛の重奏、太鼓、琴が響いた。

―ツーイーーーーートン!ジャラララン!


 和華が頭に榊原流・金幣飾りを乗せ、鈴を手に持っていた。

 そして、ひらり、ひらりと蝶のように舞った。


氏子衆たちの合唱が響きます。

「むずーかしいーりくつはーしらないーありのーままのーこころでーいきーるー」

続いて氏子衆たちの大きな掛け声が響く。


「我らの和華さま!!]


「シャン!」

鈴を鳴らし和華さんは左右の腕をまっすぐ横にのばし

凛と立つ。


「どうかーかみさまーねがいよーとどーけーーーーえーーーー

あああーあーああーああーあーーーーーーー」


―カーン!・・・カーン!ツイーーーチン!ドン!カーン!…

楽器も響き渡り迫力ある合唱に見学人は鳥肌が立った。


式は

『ストレートな面白い唄だな・・・面白いなんて言っちゃダメなのかな・・・

あっ・・・誰かに聞かれてるかな・・・』


式は初めてヴェートーベン第九の合唱を聞いた時を思い出した。

尾形君も圧倒されたらしく燈明柱の下で薪(まき)を握って舞を見ていた。


 いつになく真剣な表情の和華が、かわいい。


 舞台、後ろには普通、氏子衆の席が設けられるのだが三本の木が立っていて、なおかつ地面に大量の遺骨が埋められている事が予想されるため

皆さん塀沿いに陣取って合唱していた。


―カーン!・・・カーン!ツイーーーチン!ドン!カーン!…


「ああーあああー・あーあ・あーーーーーーー・・・」


式はポツリと囁いた。

「これが・・・祭り・・・」


随分前の静華との会話を思い出していた。

「そうですか、書けるものなら別に書いてもかまいませんよ、ただし今までも私の祭事、書いた方いましたが、みんなボツだったようです。

あんまり現実離れしている事が多いのでボツになったんじゃないでしょうか」


『そうか、こういう事だったんだな。

嘘こくなって、冒涜(ぼうとく)だとか神様関係と機密事項だって言って国の誰かに怒られそうだもんな、書くのあきらめよう』


「アキラそんな事いいから風が出てきたし燈明と護摩壇の火もっと大きく燃やして」


ヘッドセットから・・・いや違う、式の頭の中に直接、静華の声が響いた。

舞台の脇で出番を控え立って、こちらを見ています。


『今日は一段と綺麗だけど、なんか怖っ!』


静華・・いや静華様、

完全に式を、がっつり睨(にら)みつけていらっしゃいます…


「はい」頭の中で答え

尾形君にも促し薪を繰べ特に護摩壇の火を大きくした。


政一郎は、もう汗をかいていた。

「えいっ!かな ひゃっかうん うんたや たやうん・・・・」

式は頼まれもしない飲料水を座席横に多めに置いてきた。


ひらり、ひらりとトランス状態かと思うような足取りで

和華さんが神座で舞っている。


やがて例の黒衣(くろご)の二人が見慣れぬ剣を二人で持ち

一歩、また一歩と近づいてきて和華から持っていた

鈴を受け取り

国宝の剣を和華に手渡した。


 和華は受け取った剣をすぐに鞘から抜いて

両手で構えて数回振りまわすと

―ブン!ブンッ!ブン!


「あーかな かむい おーぺれ 金剛力士様 招来っ!!!」


「イザ!ヤァ!」

頭上に剣を構え先端を三本の木に向けました。


「カーン!」厘音(りんおん)が現場の空に大きく響きました。

その時ぐるりと和華さんの目玉が回転して白目になった。


神降ろしでは神官や巫女の目玉が、そうなるのです。


三本の木の前に音もなく光の玉が出現。

『ああっ!』

式(わたし)は見ました、仏像などで見たことがある同じ姿で

3メートルはある金剛力士様の御姿を・・・


多分・・・ほかの人々には光の玉に見えているのかと思われた。


「あいや まかれな うんかな かむい おーぺれっ!」

―ブン!ブン!ブンッ!ブンッ!!

そう唱えると和華は剣を下から上にすくい上げる動作を何度かすると


「イザ!ヤァ!」と叫び三本の松の木に向かい剣を構えた。


イザは、いざなぎ・いざなみの尊様、ヤァはヤハウェイ様、大日如来様、天御中主神《アメノミナカヌシ》様を意味します。


金剛力士様は目の前の3本の木を前に腕を広げると腕が伸びて

まとめて抱え木々を前後に揺らした。


「むぅっ!」

『ミシッ!バキッ!ミシミシッ!バキッ!』


御神楽と合唱が響きます。

―ツイーーーーーーカーンーーーベン!ジャララン・ドン!ドン!ドン!チン!ツイーーーードンドンドンドン!


「あああーああーあーああ・あーーーーー・・・」


3本の木がまとめてなぎ倒され、地面から黒い煙と祠や木箱、遺骨らしきものが出てきた。

そして驚いたことに

鋭い爪を持ち頭に角を生やした1メートルほどの大きさの

気味悪い蜘蛛が地面から這い出てきた。

―シュー!

菅原組の誰かが叫んだ。

「なんだあれはっ!?」


そ(・)れ(・)を見ていた黒衣のアレックスが叫び

ヘッドセットの音声が式の耳に大きく響いた。


「Ah, there! isn't it legion!」

『あっ、あれは!レギオンじゃないか!』

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