第11話 雲の上の人々1
朝になった。
式は、いつの間にか、ぐっすり眠った。
時刻は、もう9時を回っていた。
最近は、よく休めなっかった影響で何も考えることが出来なかった。
周りの空気が昨夜とは全然違い、ざわざわと人々のエネルギーが伝わってくる。
顔を洗い置いてあった使い捨てのハミガキセットを使った。
1階には友人の弁当屋さん土井が来ていて、昼のカレーや豚汁リクエストがあったらしく、ほかにも聖職者用のカレーとそうめんも用意しなければならないと数人で準備していた。
警察官、消防隊員、警備員、建築関係者、そして見たことのない白装束の人たちがたくさん出入りしていて随分と賑やかだった。
驚いたのは朝ごはん用にと幕の内弁当100個、精進弁当を100個持ってきたというがゴミ箱には弁当のカラが山になっていて
残りの御弁当は10個くらいしか残っていなかった。
お昼には、また同じ数の御弁当が持ち込まれるそうだ。
『一人で二個食ったりしてんのかな・・・』
私の知らない間に、そういう事になっていました。
『あのオムツの時か・・・なかなかやるな良憲』
二階で菅原さんに挨拶して、いろいろ聞いてみるとマスコミ対策で応援の警察官が大量に来ていて現場周辺のビル、一般家屋にまで目を光して撮影しようとする者を排除するらしい。
菅原さんの保安部から要請で海上保安庁からもドローンを飛ばせる人が来ていて周囲を警戒しているという。
式の想像を超えている状態が目の前にあった。
おかげで仮設トイレも水洗の特別なものが追加で用意され
何台か増設されていた。
菅原さんの話では、かの白装束の方々は榊原政一郎様といらした
神楽衆・刀鍛冶衆・氏子衆の方々総勢40名程で、
なんでも『沈黙の行』を行っていて
祭り終了まで彼らは一切、私語を口から出さないという事だった。
「ですから式さん彼らには無言の、お辞儀のみで結構ですから
挨拶したところで彼ら話せませんから一種の願掛けです、
祭りが無事で終了するように、と言っても唄は歌いますけどね」
「うた?ですか」
「ええ、祭り神楽の最中、神様に御力を御貸しいただくために感謝と称える唄を皆で歌うのです、彼らは色々心得てますから
準備が出来次第、彼らのタイミングで御神楽を始めると思います。
ちなみに、これが今日の式次第です」
そこには、祭師入場から三本木伐採及び神様召喚の義、魂散華・・・と本日の予定が書かれていた。
―スマホ着信音
「はい菅原、ん、わかった、すぐ行く・・・式さん、それでは私、仕事がありまして行きますが式さんは14時に現場に来てください、それまでは自由時間ですのでシャワーでも浴びておいてください、では」
菅原が階段を降りながら誰かと話しています。
「あ、ご苦労様です、式さん起きてますよ」
「そうですか丁度よかった」
誰かと思えば・・・
「西条先生!」
「ん、そのままでいいですよ、どうですか調子は」
ニコニコと先生がいらっしゃった。
「はい、ゆっくり眠れましたが正直、帰って休んでしまいたいです」
「ははは、よっぽど昨日の事件が応えましたか、そんな事では和華さんや静華さんに顔むけできません、もうひと踏ん張りです」
「はい、ちょっと弱音を吐いてみただけです、大丈夫です」
西条先生の顔を見たら、ほっとしてきました。
「式さん、もう朝ごはん食べましたか私、お弁当ココで頂いていいですか?」
「えぇ、どうぞどうぞ、あっ今お茶持ってきます」
冷蔵庫を開けると缶コーヒーと昨日のバーガー、コロッケがありました。
『あ、古くならないうちにコレ食っとくか』
「先生これコロッケもどうぞ温めますか?」
「おおきいコロッケですな、このまま頂きますよ、話がたくさんあるんですが、どれから話しますかな・・・モシャモシャ」
「はあ・・」
「静華さんは午後から来ます、和華さんと一緒に、まだ左足が痛いらしいのですが氏子さんの中に手かざしで怪我の治療を得意とされる方がいるそうでして瞑想と禊が終わったら入場されるそうです」
「はい」
「それと・・・私、菅原さんにスカウトされまして保安部の御意見番として客員指導員という肩書きで名前を保安部に登録することにいたしました。
重要な場合以外ずっと自由で良いそうですし事件の場合、
関係者として出入りもできるオマケに手当やお給料も頂けるそうです。
これも式さんが私を見つけて下さったおかげです、ありがとうございます」
「へぇーそうですか私は何もしてませんので、先生は、この現場の全容解明をされた方です、いろいろな分野にも詳しいですし・・・」
「それと・・・ですなモシャモシャ・・・おいしい弁当だコロッケも・・・昨日の銀行、閉店して解体することが決まったそうですヨォー」
「えっ?」




