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JOLENEジョリーン・Y字路の女神  作者: オブチアスマ
第3章 事故物件が来ます

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第8話 未練

「アキラァッー!」誰かが式を怒鳴りつける声が事務所に響き渡った。


式は首にベルトが食い込んでいたが苦しくて足をバタバタすると

床にぶつかり、すんなり立つことができた。


「あれ?・・・んゴホッ、ゴホッ・・・んーゴホ、ゴホ、ゴホひゃーううぅーっおうえッオエーッ」

そして無理やり息を吸い込みました。


彼は体を曲げて首を吊ろうとしていた。


首のベルトを、もたもたと外して涙を流しながら咳こみ床に座り込んだ。


『失敗した』

式は普通に、そう思った。


心は不思議と冷静で自殺する人の気持ちが初めてわかった気がしていた。


『酒飲みすぎたか・・・欝なんだな・・・もうちょっとで死ぬとこだった・・・

うー首が痛い・・・落ち着け・・・コーヒーでも飲もう・・・

完全に鬱だなコレ・・・いつからかな鬱になったのかな…』


よたよたと歩いて外の自販機で珈琲を買って飲んでいると携帯が鳴りました。


相手は、ちょっと懐かしいパチンコ話の尾形からでした。


「あ、どうもー尾形ですぅ式さん、お元気ですか?」


「あーどうも、ゴホッ、何かありましたか?」まだ声が、かなりかすれていました。


「はい、あの行方不明のA覚えてますかアイツ見つかりました」


「えっ!ゲホッ、元気なの?」


「はい、あいつ今、札幌市に居るんですよ、それで会って話したいことあるんですが

最近忙しいですか?暇なときでも、こっちから事務所に行きますんで、時間、都合つかないですかねぇ?」


「あー何時頃がいいのかな?」


「できれば夜七時くらいが良いんですけど、それと、うちの親父も一緒に行っていいですか?」


「え、ああ構わないけど…」


「えーと、それじゃ明日の夜なんてどうでしょう?」


「明日ね了解ですぅーじゃ待ってますね、ゲホンッ」


「いやー式さん全然連絡つかないから心配しましたよ」


「え?連絡くれてたっけ?」


「いや何回も電話したんですけど、いつも話中だったりして、でも良かったです。

じゃ俺ちょっと行くとこあるんで明日、伺いますんで、よろしくお願いしまぁーす」


「あ、はい、わかりましたー」


電話がつながらない?なんで?電話なんて一回も鳴ってないぞ…


スマホを確認すると編集部やアサミちゃんからもショートメールが何通も届いてた。


「え?なんだこれ!?」


呆然としてコーヒー飲んでたらスマホが鳴った。


『アサミちゃんからだ!』


「はい、もしもし」


「あーーっ、シキさん?あたし気分悪いんですけどっ!」

やっぱりアサミちゃんだ。


「え?なに、なんで?」

「なんでってコッチのセリフでしょそれ、このクソオヤジ・・・」


『アサミちゃん・・・うわー口悪いな…』


「ちょ、ちょっと待ってよ、なんでそんな怒ってんの?」


「なんでぇー?何でメール無視されなきゃなんないのさオヤジのくせに怒ってあたりまえでしょ、あーっ?」


「いや、おかしいんだよスマホ変なんだ、いま他の人にも連絡つかなかったって言われたばっかりで・・・」もう、タジタジです。


「・・・・」


「アサミちゃん、時間ある?ちょっとさ事務所に来れないかな」


「なんで?」


「いや、ちょっとでいいからさ、さっき死にそうになってたんだよ」


「はぁ?なにそれ、めんどくさい嫌です」


「あ、そうだよね、じゃちょっと具合悪いから切るね」

―ブツ!

「あっ・・・」


『悪いと思ったけど切っちゃった。

一旦、落ち着こう、何なんだコレは?まずは顔でも洗って…』


鏡を見ると、ひどい顔だった。


髪の毛がヘビメタみたいに逆立っていて顔を誰かに殴られた様になって

目の周りがパンダみたいに黒く内出血していました。


きっと首を絞めた異常な圧力で目の周りの毛細血管が切れてしまったのでしょう

眼球も真っ赤になって血管が切れているようだった。


そして首がボキボキと音を立てていたのですがベルトの形に首が真っ赤になっていて喉仏の上あたりが紫色に内出血していた。


「あはっ・・・」


まるでゾンビ。


それにしても首が痛い表面もジリジリと痛みがひどくなってきた。

とりあえずタオルを濡らして首に巻いてみた。


『そういえばさっき鏡の中に黒い影あったなぁ、それに『フフッ』って声も聞こえた、それと、誰かの声?が聞こえたような気がする・・・

アキラァって呼ばれたような・・・

『フフッ』って、あれ、あのアパートの死神じゃないのか?やっぱ始まってきたのか・・・』


 そんなことを考えていると外に車が止まる音がしてアサミちゃんが事務所に入ってきた。


―コンコン、ガチャリ


「式さんヒドイよー・・・えっー!!ワキャッ!シキさんっ!どうしたの、その顔っ!誰かにやられたの?大丈夫?」


「ふふっワキャキャって何言ってんだかわかんねぇよ」


「何わらってんのー、どうなってんのさぁー」


「いててっまあ落ち着きなよ…」首が痛い。


アサミちゃんが来てくれて、ようやくホッとしたら式は涙がでてきた。


「泣いてんの?シキさん・・・」

「いや目が充血してるせいだよ、ごめんな、いろいろ・・・」

「いいけど、なんか手当しないと・・・」

「これ内出血だろうけど打撲とかじゃないんだ手当のしようがないよ」


式が泣いているせいでしょうかアサミも目に涙が滲(にじ)んでいた。

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