第7話 未遂
後日、式は母の遺骨を、お寺に収めて葬式が終わった。
『ようやく、あの忌まわしい介護生活から解放されたな』
開放感から式は昼間から酒を飲んでみたり好きなだけ寝てみたりして過ごし仕事も生活費もないくせに働く気力も無く自堕落になっていき、
さらに1週間が経過お悔やみの言葉は誰からもなく、友人も親戚も何の連絡もない。
そりゃそうだ。
彼は誰にも知らせていないし今までだって誰かに今どうしているかなんて心配されたこともない。
世の中、人間そんなもんだ。
現に、この二週間どこからも誰からも連絡はないじゃないか…
携帯が止まっているのかと2回も確認したが止まってはいない。
要は居ても居なくても誰にも思い出されることもない存在価値の無い人間なんだと式は拗ねて、うつ病になっていた。
『いつ死のうか…』
気が付けば、そんな考えで頭の中が一杯になっていた。
先日、顔見知りになったアサミちゃんから何か、ひやかしメールの一つも来やしないかと期待もしていたが来るわけない…
『あはは・・・馬鹿な寒いオヤジになってしまったんだな俺は・・・
さて、いつ死のうか・・・
その前に、お世話になった人やなんかに連絡でも入れたほうが、いいのかな・・・いいや終わらせよう』
式の頭には疑いも迷いもなく
伸縮自在の白い物干し竿をロッカーと洋服ダンスの天板に乗せてズボンのベルトを使って首吊りをしようと輪の中に頭を入れた。
その時
「フフッ」
と背後で男の声が聞こえ視線の先にある鏡の中に真っ黒な人が写りこんでいた。
『ああ、お迎えさん・・・なんだ・・・来てくれたんだ』
台にしていたダンボールが体重でじわじわと潰れていくと
グイグイとベルトが首に食い込んでビリビリと痛みが走り
こめかみ周辺が圧力を感じ始め息が苦しくなってきました。
「う・・うぐぅーーっ・・・」
『がんばってみたけど・・・ダメだった・・・みじめな最後だな・・・みんな・さよなら』




