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JOLENEジョリーン・Y字路の女神  作者: オブチアスマ
最終章 大団円へ

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第27話 ビック・ランナウェイ5

その時、空にいた、おくらげ様から白い一筋の光線が発射され宝剣へ、さらに強い光を与えた。

―ピカーーーーーッ!

「しめたっ!イザァッ!ヤアッ!」


静華は渾身の力で光り輝く宝剣を振り回し渦巻き状の攻撃エネルギーを放出しながら、さらに悪魔の胸に向かって真っすぐに突き出した。

悪魔は両手で宝剣を握り胸に突き刺さる前に受け止めた。

「ウグゥッ」


剣一郎と城一郎はテレパシーで会話をすると両手のふさがった

悪魔の左右に行き柴刀を悪魔の両腕に突き刺した。


「イザ・ヤアッアー!」

「ヤァアアーッ!」


悪魔は苦しそうにしたが宝剣を掴んだまま離さない、呪文で城一郎と剣一郎を吹き飛ばした。

「グウゥーーーーランドムッ!」


―うわああああーっ


静華がさらに力を加え悪魔の胸に宝剣を差した。

「おのれぇえええええーーーーイザッ! イザッ! イザッアーーッ!」


両手で宝剣を握りグイグイと突き刺すべく静華が足を踏ん張り押したが宝剣は前に進まない・・・握る両手に力が入り足腰全部使って宝剣と自分の体を前に押した。


「アビラッアアアーーッ!!」


 神楽衆たちが音を出し始めた激しい太鼓の乱れ打ち鐘も厘も打ち鳴らし無言の行のまま静華を応援し始めた。

―ダンッ!ドン!ドンドン!ドンドンドンドンドン!ダンッ!ドンドン

―カーン!カーン!カーン!カーン!カーン!

―キーン!ベンベンジャンジャンジャンジャンッジャン!ジャンッ!


―はぁーえらいやっちゃ えらいやっちゃ よいよいよいよいっ!


静華と睨み合う悪魔が魔式術を使った。


悪魔の目の色が黒から白になった。

『イア イア ランドルムッ!!』


周囲の景色が一瞬で変わり同じ部屋と同じ景色、同じ家々が並んでいる。

宝剣を構えたままの静華は冷静だった。

「フーンこれが、お前らのブラック・ラビリンスとかいうやつか無駄だ馬鹿者、私を誰だと思っている、この裏切り者が、この黒迷宮を最初に木星の地獄に作ったのは、この私(シバ)だぞ、自分を信じられなくなり悪魔に成り下がった、お前には、もう消滅しか道は無い。


こんな…まやかしが効くとでも思っているのか?、あの唄を聞け、地球が滅亡すると知った古代人は魂を信じ輪廻を信じ最後に唄い踊ったのが、あの歌だ。

あれは、お前の最後を祝う唄だ、どうだ思い出したか私を・・・」


『イア ハスター・・・』


和華は迷宮にいる静華と悪魔の魂を見た、静華に乗り移った素戔嗚尊様の姿を・・・

ハッと我に返り刀を舞台に置くと静華に走り寄って後ろから腰を押して加勢した。

「おねえさまっーー!」

懸命に静華を支えた。


 そ(・)の(・)時(・)、空から一つの光の玉が筋を描き物凄いスピードで飛来してきた。

―グオォォォーーーーゴーーーーッ!!!

「静華さまああああああーーーーーーーっ!!」


光の玉が飛来する飛行音と叫び声が会場に響き渡った。


―グオォォォーーーーゴーーーーッ!!!

「静華さまああああああああああーーーーーーーっ!!」


その光の玉はいきなり赤い光の玉、悪魔に体(・)当(・)た(・)り(・)を食らわした。

「そうりゃああああああっー!!」


―ゴンッ!ドンッ!!!


「グゥアアアアアアーーーーーッ」


不意打ちを喰らった悪魔は神の剣が深く胸に突き刺さり頭を抑え激痛に声を上げ、宝剣の押し合いをしていた静華と和華も後方に吹っ飛んで頭を打ってしまった。


和華は舞台の下に転げ落ち静華は一瞬、気を失ってしまった。

「うっ」

「あーっ!」


悪魔は最後の力で胸の宝剣を抜き、剣は舞台に落ちた。


―ガランッ!


それをアキラは頭から血を流しぼんやりと見ていたがアチコチに激痛が走っていた。


悪魔は苦しみながらも腕を伸ばし静華に手をかけようとしているのが見えた。


『大変だ・・・静華さんがあぶない・・・・』

よろよろとアキラは朦朧となった状態で舞台に向かって

なんと…立ち上がって歩き出した。


「うぅ・・・いったぁー・・・」静華が呻き目が覚めるとアキラが舞台に上がって宝剣を手に取ろうとしていた。


「ダメッ!アキラ触っちゃ駄目っ!!」


悪魔は、まだ頭と胸を押さえ苦しんでいた。

「グオォーーーオーーーッ!!」


アキラが宝剣を手に取ると持ち手部分が熱く高温になり赤くなった。


アキラの両手があっという間に焼け焦げ手のひらを大火傷(おおやけど)した。


「ぎゃぁーーーーーっ!!」


手のひらが宝剣に焼き付きアキラが悲鳴をあげた時アキラの目玉がぐ(・)る(・)り(・)とひっくり返った。

そして身長が2メートルほどに伸び、肩や腕、足の筋肉が盛り上がり

アキラが着ていた服がビリビリと破れると、腕には刺青のような色の幾何学模様が現れ、長く伸びた指の先にも鋭い爪がニョキリと生えてきた。


「現破刃鬼(アラハバキッ)!」野太い声がアキラの体から響いた。


アキラは宝剣を握ったままの姿勢で白目を剥き気を失って

仁王立ちになった。


不思議なことに宝剣はひとりでに宙に浮いたかと思うと

剣先が悪魔の胸に向かっていった。


しかし視える人にだけ見えていた。


アキラの霊体が肉体から離れ、みるみる大きくなり背中に翼が生え宝剣を奪い取ると悪魔の胸にザンッと突き刺した。

野太い低い声が響き渡る。

「アッラッハバキッ!!」


「グアッーーーーグアアアーーーーーッ!!!!」悪魔が苦しみ叫ぶ。


宝剣の先端は悪魔の胸に刺さったが、悪魔は、また刃を両手で掴み胸に突き刺すのを阻(はば)んだ。


「グウッ・・・」悪魔に心は無かった。


5メートルの大きさアラハバキが前を向くと青龍と白龍が飛んできた光の玉を、どやしつけていた。


「この大馬鹿野郎っ!見ろ!大事な祭り!和華様も静華様も吹っ飛ばしやがって、どうすんだっ!このばかああああー!」


「だあってー静華様が危ないと思ったからあー・・・」


これは青龍と白龍の策略だった。


新米・黒龍・帯雅(タイガ)を夜叉ヶ池に案内し八大龍王様に託したのはタイムスリップして今から百年前まで遡った夜叉ヶ池だった、青龍・白龍は時間を操り百年前の今日にタイガを送り込み罪滅ぼしの行(ぎょう)に着かせたのだった。


アラハバキが見ると黒い龍がいた、なんだか見覚えがある。


「おい龍達よ、おい黒龍、お前は誰だ名を名乗れ」

悪魔に宝剣を突き刺したまま余裕のアラハバキ神が問うと


「はい、帯雅(タイガ)と申します・・・あれ?アキラさん?えーっ?」

タイガは数回、パチパチと瞬(まばた)きをした。


「お前タイガか?大きくなったなあ立派な角(つの)生やして、ついこの間、夜叉ヶ池に行ったばかりじゃないか?随分と立派な龍になったなあー」


「いやぁーそれほどでもおー」ニッコリと笑う黒龍・帯雅(タイガ)。


「ちょうどいい、この悪い奴お前羽交い締めにしろ青龍・白龍は悪魔の両腕締め上げてくれ、さあ早くしろ」


「ハーイ」


 三匹の龍に押さえ込まれた悪魔、アラハバキが胸に深々と宝剣を突き刺すと断末魔の悲鳴を上げ悪魔は塵(ちり)となり消滅した。


「ギァアオオオオオオーーーッ!!」


 やがてアキラは小さくなり頭から血を流し気を失って倒れると自然に宝剣が舞台の中空に戻ってきて、落ちた。


―ガラン!


上空にいた神々の光や、おくらげ様はフッと一瞬で、すべて消えてしまい空が暗くなった。


すると同時に雨が降ってきた・・・・


チラチラと燃える御燈明と護摩壇の明かりが見える。


散々祟をなしてきたアパートはバラバラに破壊されて、

只の瓦礫の山が地面にあった。


現場の者たちは何が起きたのか理解できず周囲がシ(・)ン(・)と静まり返った。


三人の龍がユラユラと静華を見守っている。


静華はフラフラと歩いて神座からころげ落ち失神している和華を片膝で抱える。

スピーカーから祭師・榊原静華の声が響いた。


「悪魔消滅、解体之儀(かいたいのぎ)、終了です」


「やったああああああーーーー!!」

「うわぁああああーーーーー!!」

「うおーーっバンザーイッ!」

無言を貫いていた神楽衆が声を上げると、それが周囲に伝(・)播(・)していき

遠巻きに見学待機していた人々も巻き込んで

歓声と拍手が嵐のように現場を包み込んだ。


それは、いつまでも、いつまでも・・・


鳴り止むことはなかった。

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