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第15話 王都帰還の馬車

王都へ向かう馬車には、私とレオンハルト、それにヨナスが同乗した。


 窓の外を流れる景色は、北辺の白から徐々に春の緑へ変わっていく。王都が近づくほど胸は重くなったが、不思議と以前のような息苦しさはなかった。


「緊張しているか」


 向かいの席から問われ、私は素直にうなずく。


「ええ。けれど、前ほど怖くはありません」


「なぜだ」


「戻る場所があるからです」


 レオンハルトは少しだけ黙り、それから荷袋から細長い包みを取り出した。


 中には、北辺で摘んだ花を乾かして束ねた小さな花束が入っていた。


「毎朝、机に置くのは今日で途切れると思った」


「……困ります」


 思わずそう返してしまい、自分で驚いた。


 彼の灰青色の目がわずかにやわらぐ。


「なら、帰ったらまた置く」


 それだけの会話なのに、手の中の花束がやけに熱かった。


「今夜が終わったら、改めて聞かせてほしい」


「何をですか」


「北辺へ戻ってくる気があるか」


 私は花束を抱え、窓の外を見るふりをした。


 答えはもう決まっている。


 ただ、それを口にするのはすべてが終わったあとにしたかった。



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