300. 騎士堂鼎談(後)
うっかり予約を失念しておりました、申し訳ありません。(今年2回目)
しかもよりによって300話目の投稿でやらかす…!
(メッセージにてご連絡下さいました方々、ありがとうございました。お恥ずかしながら全く気付いておりませんでした…)
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「是非、戦ってみたいと思います」
「自分も是非、戦わせて頂きたいです!」
「竜と戦えるのは騎士の誉れ! 是非お願いします!」
騎士堂の応接室に呼ばれた、6名の者達。
そのうちの半分―――アガット騎士団領が誇る、第2騎士団、第3騎士団、及び第1聖騎士団の総長が、ユリとジュレミー総長の口から一連の話を聞いて、即座にそう回答していた。
【救命結界】は効果範囲内に居る対象の命を守護してくれるが、死の際に感じる苦痛まで防いでくれるわけではない。そのことはユリの口からちゃんと説明したのだけれど、それでも3人の意志は固かった。
第1聖騎士団の総長が告げた通り、どうやら『竜と戦えるのは名誉』だという考えが、3人には共通のものとしてあるらしい。
それが竜に憧れを持つ男心によるものなのか、それとも騎士精神によるものなのか。残念ながら、どちらにしてもユリには理解できない気持ちなわけだけれど。
それでも、竜という『災厄』の魔物を些かも怖れていないその勇気には、素直に敬意も覚える。
「3人はどうかしら? 嫌なら断ってくれても全然構わないけれど」
「戦いを挑まれれば、ただ受けるのみです。火竜の部族としては全く構いません」
「水竜の部族も異存ありません。人との戦いから学ぶものもあるでしょう」
「雷竜も同様です。良き勝負が出来そうで、面白そうですから」
応接室へと呼ばれた残りの半分―――火竜部族の長のラースと、水竜部族の長のディオラ、雷竜部族の長のボルトスの3人も、それぞれに快諾する。
こちらも、ユリの口から『試合』が竜1体に対して100名以上の騎士達が挑む超ハンデ戦になることや、更に竜側にだけ『飛行禁止』と『ブレス禁止』といった不利な制約を課すことになる旨を、ちゃんと説明してあるのだけれど。
それでも、3人の戦意は些かも衰えることを知らないようだ。
「一応言っておくけれど、部族の長を務める3人が直接戦うのは流石に駄目よ?
これはあくまでも、どちらにも勝機がある条件で行う『親善試合』なのだから、初回は各部族から比較的弱い竜を選出して出して貰うことになるわ」
『下位竜』のレベルは100~130程度。
ラースとディオラ、そしてボルトスの3人は各部族の長を務めているだけのことはあり、概ね130に近いレベルを有している。
レベルは100を超えると、1レベルの差でも目に見えて実力が変わってくる。長の竜が相手では、騎士達が勝つのは明らかに不可能だろう。
だから『試合』には、各部族の中でも比較的弱い竜を―――レベル100付近の者を選出して、戦わせることになる。
『下位竜』の中でも特に弱めの竜に、更に飛行とブレスを禁止するという不利な制約を課して。それで、ようやく勝負が成立するかどうかというぐらいには、人と竜の間には歴然とした力の差があるのだ。
「承知しております、最初はそれで構いません。
おそらく―――竜との戦いを幾度か経験すれば、その戦訓を元に騎士団の方々はより優れた戦いが行えるようになるでしょう。ですから、いつか先方がより強さを増してきた頃には、私達にも戦わせて頂けると嬉しいですね」
水竜の長であるディオラが、どこか楽しげにそう語る。
確かに彼女の言う通り、1体の強大な魔物に対して多勢で挑む―――という戦いを経験すれば、その度に騎士隊は多くの学びを得ることが出来るだろう。
戦訓を活かした訓練を積めば、騎士隊が優れた統率をもって、その強さをより高めることは想像に難くない。最初は無理でも、何年か経てばレベル130の竜とも良い勝負が成立するというのは、充分に期待できることだった。
竜は非常に長い寿命を持つ関係で、気が長い所がある。
数年程度であれば、その機会を待つ時間さえ楽しんでみせるだろう。




