280. 小変革
[問1] 数日前に新しく開けたばかりのサラダ油1kgボトルが転倒して、油まみれになっているキッチンの惨状を、帰宅直後に目にした作者の心境を答えなさい。
(配点:5点)
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地震の影響で悲しい気持ちになりましたので、本日の投稿はやや短めです。
こんなに油でひたひたになったラグを見るのは初めてでしてよ! 泣きたい。
棚と本棚も酷い惨状なので、明日にも影響あるかもしれません……。
[1]
―――『夏月24日』、『癒』の曜日。
癒神リュディナに縁あるこの曜日に、世界にひとつ小さな変化が加わった。
リュディナが『小変革』だと言っていたものが、世界に適用されたのだ。
これにより『職業』のレベル上限が120まで拡張された。
エシュトアのように、早くもレベル100の大台が近づいていた者にとっては、嬉しい変化だろう。
世界に変更が加えられた事実は、例によって『リュディナの神託』という形で、速やかに世界中に広められたようだ。
聖女としての役目から、毎日神殿に詰めているエシュトアは当然この神託を最速で受け取ることになり、嬉しそうにユリの元へ報告に来てくれた。
ちなみにエシュトアの報告によると、今回リュディナが実施した『小変革』の内容は、その『職業レベルの拡張』以外にもう1つあったそうだ。
というか―――そちらのほうが重大事であるように、ユリには思えてならない。
それは『人族と無差別な敵対を行わない魔物』に限り、神殿施設を訪ねることで人族と同様に『職業』を取得することが可能になったというものだ。
つまり、人族が『天職のレベル』と『職業のレベル』の2つの才能を持つことが出来ているように。魔物もまた『魔物としてのレベル』と『職業のレベル』の2つを併せ持つことが、可能になったわけだ。
(―――なかなか面白いコトを、やってくれるわね)
その事実をエシュトアの口から聞かされた時、思わずユリの表情は綻んだ。
事前にリュディナから報告を受けていたのは『職業レベルの拡張』の方だけなので、もう片方の変化についてはユリも全く知らなかったわけだけれど。
おそらく―――これは、リュディナからのサプライズプレゼントなのだろう。
恭順の意を示した魔物を『自国の民と対等に扱う』姿勢を明確にしているユリを応援するために。リュディナは魔物達でも『人族と同じ成長』を得られるように、手を回してくれたわけだ。
(あとで、お礼をしておかないといけないわね)
近いうちに手作りの菓子でも用意して、お茶に誘うことにしよう。
あと―――ここ暫くリュディナとは、ご無沙汰になっている気がするから。久々に一晩の愛情も確かめ合っておきたい、という気持ちが強い。
『職業』という、現在の人族が持つ才能の1種を得られるようになった事実を、ユリが自ら伝えに行くと。竜や人魚の各部族は、それぞれ大いに歓喜してみせた。
今までとは別種の力が―――それも自身が身に付けたいと望む方向性のものが、容易に得られるようになったのだから。彼らが喜ぶのは当然だろう。
『職業』が『一度取得すると二度と変更できない』ものだということもあって、ユリに詳しい『職業』の解説を望む声も多かったから。これには近いうちに資料を用意すると回答しておいた。
とはいえ、各職業で取得出来るスキルなどについて詳しく説明すると、それだけで結構な情報量になってしまうのは間違いないから。
分厚い資料を製作して手渡すよりは、いっそ神域都市『蓬莱』にある『八意塾』の施設で受けられる、講義のひとつという形で。希望者に各職業についての説明を行うというのも良いかもしれない。
『八意塾』で教われば、オモイカネが与える加護のお陰で、通常の7倍の速度で知識を頭の中に叩き込むことができる。
全ての職業の情報を一括で教え込んでも、大した労力にはならないだろう。
この日を境にユリシスやユリーカの都市では、今まで以上に『迷宮地』を利用する竜や人魚の姿が、多く見られるようになった。
その中には、早速取得した『職業』のレベル上げに勤しみたいという者も居るだろうし。あるいは未取得のまま『迷宮地』で戦闘を繰り返すことで、自分に不足している能力を見極めて、今後取得する『職業』の判断材料にしようという者も居ることだろう。
また『人族と人魚』が一緒に、あるいは『人族と竜』が一緒にパーティを結成して『迷宮地』へ挑む姿を見ることも、さして珍しいものでは無くなっていく。
人族と魔物の共生という目標が、目に見える形でどんどん実現化されていく。
そのことに、ユリは内心で静かに歓喜していた。
―――ちなみに。この時点では、まだユリは気付いていなかった。
今回リュディナが起こした『小変革』は、人族と無差別な敵対を行わない魔物ならば、人族と同様に『職業』を取得可能になったというものだけれど。
この条件に―――自分が契約している大量の使役獣達が漏れなく該当しており、全ての使役獣が『職業』を修得可能になってしまった、という大変な事実に。
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お読み下さりありがとうございました。




