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98話 フォーイゲルの塒に

 アイシャの手をとり再び走り始める。背中に付いていた黒い石は私の血を吸って一回り大きくなりコロンと地面に落ちた。あの黒い石はお腹いっぱいになったら自然に落ちるんだね…でもまだまだ後ろからガチャガチャと音を立てて追って来ている。


「ハァハァ…速く…急いで…洞窟の入り口まで…そして洞窟を封じよう。みんなで協力すれば何とか…」


必死に走っていると前方にフォーイゲルの塒と思われる場所が見えて来た。


「ハァハァ…よし! もう少し…もう少しだよ」


息がきれる…。何とかフォーイゲルの塒までたどり着いた…出口までは後少しだったはず…。


 その時、背中や足に付いていた黒い石が煤みたいな物を出しながら小さく小さくなり消えた。えっ? 何で? 頭を傾げる私を見ていたアイシャが


「私、後ろから見ていたんだけど、お日様の光に当たったら無くなっちゃった…」


そう言われれば私が今、立っているのは頭上に穴が空いている所…お日様の光が私達を照らしている。とりあえず、手を広げてクルっと回る全身に光を浴びる様に…。


 追って来ていた黒い石もガチャガチャと音を立てているだけでこちらには来られない様だった。まだハァハァいっている呼吸を整えるべく深呼吸。


「プハァー、やっと落ち着いた…ここにある骨ってこういう事だったのかな? 黒い石から逃げ切れなくてここで…」


『そうかも知れんし、フォーイゲルの餌になったのかも知れんな。まぁ、お宝は見つかったのだから小屋に戻ろう!』


ですよね…私も早く帰りたい…。


「しかし、今が昼間で良かったよ。これで夜だったら外に出ても付いて来てたって事でしょ? うわぁ~考えただけで恐ろしいわ…」


『ホッホッー! 日が出ていて良かったホッ』


「ところでオルは飛んでいた訳だけど、大丈夫だったの?」


『僕も水に濡れていなかったから大丈夫だったホッ』


「そりゃ良かったね。私なんてアチコチ痛いよ…ミントとディトは?」


『ディトは拙者の頭に移動してた故、あまり濡れていなかったし、拙者も川から出た時にブルブル震えて水気を飛ばしたからそれほど酷くはなかったぞ』


そっか…そうだよね。ミントは元が犬だからブルブルする事で70%の水を吹き飛ばしたんだ…何かみんなズルくない? 私だけがこんなに怪我したなんて…。ポーションを飲んで回復するしかないよね。


 洞窟に入る前に寝泊まりした場所へ戻り、少し休憩。テントを出して中で服を着替えたよ。脱いだ服を見て、はぁ…とため息。酷い事になっていた。ズボンも上着も穴だらけの血塗れ…この服、結構気にいっていたのにさっ。しかもコピーしてなかったからもうサヨナラするしかないし…。ちくしょー私のお気にの服を返せ!


 テントの外に出ると少し日が傾いている? 一体、今は何時なんだろうか? 久しぶりにスマホを取り出して見てみると着信履歴がスゴい事になっていたよ…。ハハハ…そういえば、王様や王子様からの連絡が凄すぎて収納に放置していたんだっけ? とりあえず時間の確認をするともう3時…おやつの時間だよ。今日は下れるだけ下って1泊してからの小屋だな…。着信履歴に留守番電話は落ち着いたら確認しよう。そうしよう!


 まぁ何だかんだで誰1人欠ける事なく無事にお宝もゲットできた訳だし今回のお宝探しは成功だったのかな? 帰りは来た道と違う訳で、オルに空から小屋までの方角をナビしてもらいながら歩いた。辺りは日没のため既に真っ暗だ。少し広い場所に着いたので今日はここでお泊まりだね。


 明日は小屋に戻れる! 小屋に戻ったら温泉に入って美味しい物を食べて、2、3日はゴロゴロしていたい気分だけど、きっとそうはさせてもらえないよな…。

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