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97話 宝箱と黒い石

 しばらく四つん這いの状態だった私を見かねてミントが肩をポンポンと叩いた。


『まぁ…なんだ、その…こういう事もあるさ』


『もう1つの方もパッと開けて小屋に戻るホッ!』


 うん、そうだよね…小屋に戻ってパッと飲み食いして、念願のベッドでゆっくりと休むんだ! 私は立ち上がりもう1つの宝箱の前に立った。ミントは私のすぐ後ろにオルは私の斜め前に移動して、いざ! 最後の宝箱へ。ひょっとしたら1つはハズレでもう1つは大当たりかもしれない…。


「はぁ~何か緊張してきた…よし、行くよ! せーの!」


バカンと開いた宝箱の中には金色に輝く腕輪とオレンジ色の石があった。先程の例もあるので、すぐにスマホで撮ってみたよ。

祝福の腕輪…これを身につけると呪いの効果が無効化される。


 ……えっ? 呪いの無効化…。それって、この腕輪を身につけてからさっきの呪いのアクセサリーセットをつければ何も起こらないって事? この2つの宝箱でワンセットって事? 確かに呪いさえなければ呪いのアクセサリーセットは魅惑的だけどさぁ…。とりあえず、呪いのアクセサリーセットもお持ち帰りするかな…。呪いのアクセサリーセットはジップつきの袋に入れて収納に、この祝福の腕輪は今後の為に身につけていっちゃおうっと! オレンジ色の石も収納にしまって、さぁ帰ろうか…。


 川の向こうで待っていたアイシャに声をかけ、川をザブザブと渡った。


「ありさ、もう1つの宝箱には何が入っていたの?」


もう1つのって聞くって事は1つ目の宝箱がハズレだったって知っているって事だよね?


「1つ目は呪いのアクセサリーセットで、もう1つは呪いを無効化する腕輪だったよ。それにしても何でわかったの?」


「フフっ…声だけはハッキリと聞こえていましたからね、わかりますよ」


だよね…だって私、叫んでいたもの…。


「お宝も見つけたし、小屋に戻ろうか」


「賛成です。温泉に入ってゆっくりと休みたいです」


「そうだよね、早く帰ろう!」


 私たちは洞窟から出るべく歩き出した。濡れた服が重い…しばらく歩きあの黒い石のあった場所を通ると、ガシャガシャと音が聞こえる…。


『キーキュイキュイ』


またディトが鳴き声をあげる…。


「ねぇ、このガシャガシャって音は何?」


ディトは鳴き続けている。その時…


「痛っ!」


足に痛みを感じた…ランタンで足元を照らすと私の足に黒い石が付いていた。


「痛い、痛い」


剣でその黒い石を払うとズボンに穴があいていて血が出ていたよ。後ろを照らすとたくさんの黒い石がガシャガシャと音を立てて飛びついて来ていた。


「みんな! 走って! この石、噛みついて来る」


走り出した私たちに黒い石も追いかけて来ていた。足や背中が痛い…前に落ちている石はピクリともしないのに後ろからはたくさん来ている。剣で払おうにも1個1個が小さいので全部は無理だ…。痛みを我慢して必死に走った。


 途中でアイシャがよろけたけど、アイシャには襲いかかって来なかった。


「ありさ、この石どうやら水に反応しているみたいです。私は大丈夫だから先に行って下さい」


「いや、ダメだよ。早く! 一緒に行こう」


アイシャを待つ間、壁を背にして前から来る黒い石に熱風を浴びせた。カランコロン…。どうやらこの黒い石は乾燥すると活動を停止するらしい。アイシャが追いついたので、アイシャの手を握り再び走り出した。

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