95話 フォーイゲルの巣と洞窟と
少し進むとフォーイゲルの羽とおぼしき物が散乱している。あのフォーイゲルはここを塒にしていたんだろうか。洞窟の上部には所々穴があいていて日の光が差していた。卵の殻も落ちている…卵から生まれたフォーイゲルの子供たちは巣立っていったのだろうか…。
だが洞窟はまだ奥へと続いていて、奥の方からヒンヤリとした風が吹いている。みんなで警戒しながら更に奥へと歩いて行く辺りは真っ暗になっていた。すると突然ミントの肩に乗っているディトがキュイキュイと鳴き出した。緊張が走る…それぞれが武器に手をかけ耳をすましてみたが何の音もしない。松明を掲げて上の方も確認してみたが何も居なかった。足元はというと…
「うん? 何だこれ?」
黒い小石の様な大きさの物体が辺り1面に散らばっていた。何かの骨も大量に散らばっている。さっきまでは無かったよね? 触ってみたけどただの黒い石。何でディトが鳴いたのか…日もささない暗闇になったから? 骨がたくさんあったから? わからないけどアレコレ考えずに先に進む事にした。
洞窟っていえば前の世界にいた時は風穴とか氷穴とかに遊びに行った事があったなぁ…夏場だったから入った時の涼しさが気持ち良かったけど、上から水滴がポタポタと落ちて来て途中で寒くなったっけ…。そういえばこの洞窟はヒンヤリしているけどカラッとしてるなぁ…なんて考えながら歩き続けた。
この洞窟に入ってからどれくらいの時間がたったのだろう…。
「ねぇ! お腹空いた…」
『突然声をかけるから何事かと思えば…全くお主という奴は…もっと緊張感を持て!』
「ごめ~ん。だってお腹空いたんだもん! しょうがないじゃない」
『まぁ確かに腹が空いたな』
「でしょ? ちょっと休憩してお昼ご飯にしようよ!」
「賛成です。歩きっぱなしで少し疲れました」
『ウム、休憩がてら昼メシにするか』
辺りには座れる様な岩が無かったけど、立ちっぱなしでご飯を食べるのも嫌だし、地面には例の黒い小石があるし…収納からブルーシートを取り出し広げて敷いたよ。ブルーシートを取り出した時に気がついたんだけど、キャンプ用のランタン持ってたよ…。ランタンをつけて松明の火を消して壁に立て掛けておく。準備も整ったところで
「よしっ! それじゃご飯にしよっか」
直ぐに食べられる菓子パンやらおにぎりを出してペットボトルの水を配った。ここが草原だったら良かったな…。こんな洞窟の中じゃ気が滅入る…。早く探索して外に出よう! 片付けて再び歩く。
「それにしても魔物が全く居ないよね。何で入口の辺りに骨とか武器とか落ちていたんだろ?」
『おそらく探索に来た冒険者たちがフォーイゲルに殺られたんだろう』
「そうなのかな?」
小声で話しながら進んで行くと前方にうっすらとした緑色の光を見つけた。
「あれって入口付近に生えていたヒカリゴケかな?」
『あの光の感じからしてそうだろうな』
「途中には無かったのにね」
『そうだな…』
『僕が先行して見て来るホッ』
「オル、無茶しないでよ」
『見て来るだけだホッ! 直ぐに戻って来るホッ』
というと飛んで行ってしまった。バサバサ…オルの羽ばたく音だけが響いて聞こえる。少しして
『ありさ、早く来るホッ! 宝箱があるホッ』
「えっ? 本当に?」
うわぁ~ドキドキしてきた…宝箱には何が入っているんだろう。ランタンがあるとはいえ走るのは危険なので私達は早足でオルのいる場所に向かった。




