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87話 ディロストーポ

 傘でご機嫌な子供たちを連れてようやく小屋に着いた。イラベーアの皮の手入れもお願いしたよ。夕食の準備もアイシャとミュレーさんの2人でほぼ終わっていた。


「あの、さっき捕ってきたイラベーアのお肉はどうします?」


「えっ? そんな物を捕ってきたのかい? 危険な魔物じゃないか!」


「ああ…いや…何かすみません…子供たちが襲われかけていたんで…」


「そうだったんだ…子供たちを守ってくれてありがとう…エレン、ポランちょーっとこっち来な!」


「うわ~んごめんなさい。だって…この子が…」


 あっ! そうだった、この魔物の子供のケガを手当てしなきゃ。私は子供たちからディロストーポの子供を預かって部屋に連れて行った。濡れているのでタオルにくるんでケガの具合を確認した。お腹の辺りが切られていて血が結構出ていたよ。温泉に行く前に手当てしてあげれば良かったね…ゴメン。子供たちはミュレーさんや木こりに見つからないように小屋の外の薪の隙間に隠していたらしい。


「ねぇオルこの子の傷はどうやったら…」


『あの時の薬はまだあるホッ?』


「あの時のってオルの傷を治した薬の事?」


『そうだホッ! 僕の時の薬が効くホッ。ポーションでも大丈夫だけど、小さい魔物にはモースの実が1番だホッ』


確か…あれは岩場にはえている白っぽいコケ、モースの赤い実をすりつぶした物だったね…まだあったはず…ゴソゴソと収納から救急ボックスとモースの実の薬を取り出しディロストーポに薬を塗り、包帯を巻く。ポーションをスポイトで与えたから…これで様子見だね! 段ボールにタオルを敷きディロストーポを入れタオルをかけたよ。早く元気になると良いなぁ。


 部屋を出て台所に向かいミュレーさんにイラベーアのお肉はどうするのか聞いてみた。


「ああ、さっき言ってたお肉だね。今日はアイシャと色々作ったから明日ちょうだいよ」


「わかりました。じゃあ明日また」


「うん。準備も出来たし夕食食べようか」


「はい、もうお腹ペコペコなんで!」


「ハハハ、流石食いしん坊!」


周りから笑い声があがる…えっ? 誰? 誰が私が食いしん坊だなんて言ったの? 振り向いてみんなの方を見回すと、みんな目を背けたよ…。きっと私が居ない時にあいつは食いしん坊だ! なんてみんなで話ていたんだな…


「ハハハ…誰かが言わなくてもありさが食いしん坊だって事はみんな知ってるよ。それより早く食べよう」


うぅ…確かに食いしん坊だけどさ…そんなに笑う事ないじゃん! この怒りを食欲にかえていっぱい食べてやるぅ~。勢い良く食べ始めたがミントの私を見る目が怖い…。ジーっとこっちを睨んでるよ…。わかってるって…良く噛んでゆっくり食べますよ。


 夕食後は部屋に戻り雨で稽古が出来なかったから筋トレしたよ。


「はぁ…はぁ…ところでオル、この子は普段どんな物を食べているか知ってる?」


『ディロストーポは実を食べるホッ。さっきの場所に青い実がたくさんなってたホッ』


へぇ~青い実ねぇ…あの時は雨も凄かったし、子供たちを助けなきゃって必死だったから気がつかなかったよ。


「じゃあ明日にでも青い実を採りにいかないとね」


『それが良いホッ、いっぱい採って来るホッ』


「そうだね、じゃあ寝ますか、おやすみ」


『おやすみだホッ』


「ありさ、おやすみなさい」


『おやすみ』


 部屋を暗くしたけど、筋トレしたばかりでなかなか寝付けなかった…外はまだ雨が降っている。

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