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84話 入浴と温泉蒸し料理

 振り向いてみるとそこにはニコヤカに微笑むミュレーさんが立っていた。


「1人離れた所で何を食べてるの?」


ミュレーさんの微笑みが何だか怖く感じる…。


「いやぁ~これは味見ですよ。ちゃんと美味しく出来ていたら今日の夕食にでもって思ったんですけど…」


「ふぅ~ん。それでどうだったのかしら?」


「いやっ、ちゃんと美味しく出来ましたよ。ミュレーさんもお味見どうですか?」


「あらぁ催促しちゃったみたいで悪いわね」


「いやいや試してみて下さいよ」


そう言ってナイフでタケノコに似た物ととうもろこしを切って渡すと


「あらっ? 美味しい…これってそこいらに生えている竹筒よね? へぇ~これって食べられるうえにこんなに美味しかったのね…」


えっ? こっちでは食べない物だったの? 普通にタケノコなんだけどなぁ。


「ところでミュレーさんは何故こんな所に…」


「あなた達がコソコソと何をやっているか気になって来てみただけだけど…こんな場所に湯船なんか作っちゃって…」


そう言って温泉を見つめる。


「何だか楽しそうね。私も入ろうかしら」


なんて行って服を脱ぎながら温泉に向かって行ったよ。素晴らしい脱ぎっぷりにビックリしてしまった。


 ミュレーさんのお墨付きをもらったので夕食は温泉蒸し料理に決定だね! ザルをコピーで増やして、野菜をカットしてお肉に下味をつけてっと、蒸したら収納に仕舞うを繰り返して結構な量が準備出来たよ。


 温泉の方を見てみると子供たちはお湯をかけあって遊んでる。


「ほらっ、湯船で暴れるんじゃないよ!」


ミュレーさんに叱られて静かになったけど…子供たち一体何時まで温泉に入っているのかね…そんなに入っているとのぼせちゃうよ? アイシャも子供たちも顔も体も赤~くなってフラフラしてる。急いで収納から冷えた水を取り出しコピーで増やして渡したよ。


 お昼の時間も過ぎていたので、先程蒸したとうもろこしをみんなで食べた。このとうもろこしは生で食べてもスゴく美味しいんだけど、食べ馴れていないだろうから蒸した物を渡したよ。シャキシャキで甘味が凄い! 手が止まらなくなっていっぱい食べちゃった…。


 ミュレーさんは冷えた水を飲みながらまだ温泉に浸かっていて


「いやぁ~コレ良いね! こんなに良い物をコソコソ作ってるなんて…でもさぁこんなに開放的だとちょっとねぇ…」


そうなんだよね…魔物が出るかも知れないし、人だって来る可能性もある…うーんどうしようかな? 魔物ならパチェット村で手に入れたマルカメールの加工済みの魔物避けで何とかなるかも知れないけど、人はなぁ…ミュレーさんが


「ティム君に囲いを作ってもらうか…うん。そうしよう」


と小声で何やら呟き、温泉から上がったと思ったら直ぐに服を着て走って小屋に戻って行った。


 ふぅ~夕食も出来たし、やっと落ち着いたので私も温泉でさっぱりしようかな? バスタオルで身体を隠しながら服を脱いで、髪を洗って身体を流して温泉に浸かってのんびりしていると、


「こっちだよ! 早く来て」


って声が聞こえてきたよ…まさか、誰かを連れて戻って来たの? 呆然としていると、ミュレーさんと木こりの面々が…向こうも驚いた顔してるし、私もビックリ!


「ああ~ゴメンよ! まさかありさが入っているとは…あんた達向こう向いて! こっち見ちゃダメだよ」


いや…ダメだよってミュレーさんが連れて来たんじゃ…。とにかく今のうちに! 乾いたタオルを取り出し急いで着替えたよ。


「ゴメンねぇ…さっき言ったと思ったんだけど…」


あの呟きはこう言う事だったのね…全く聞こえなかったよ! それにしても直ぐに囲いを作らせるとか…凄い行動力だなっ。私は面倒ごとは何時も後回しにしちゃうから、後で大変な目に合うんだよね…わかっているけど止められないみたいな? ミュレーさんを見習わないとなぁ…。

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