62話 釣りをしてみたら…
釣竿を担いで滝壺に向かうと、王子様方が走ってやって来た。
「それは何ですか? 武器の1種?」
「いえいえ違いますよ。これで魚を釣るゲームみたいなものですよ。食べられる魚が釣れたら調理してもらいましょうね」
「へぇ~こんなんで魚って捕れるの?」
「やってみないとわかりませんが、まぁ多分釣れるでしょうね…」
なんせ幼神様と水の女神様が見守っていて下さっていますから…。
「先ずは見ていて下さいね。こうやって糸の先についている擬似餌って言うんですけどね…」
本当は穴でも掘ってミミズを餌にしたい所だけど、こっちの世界じゃ何か訳のわからない生物が出てきてもおかしくないので、海釣り用だけど
前に使ってみて実績のあるミミズの擬似餌を用意したよ。
擬似餌を投入してから数10秒…すぐに竿の先がググっと曲がる。
「何か釣れたみたいですよ。竿に反応があったら、こうやってリールを巻いて…」
ザバッと音がして80㎝位の魚が釣れた! コソッとスマホのカメラで撮ってみるとブルートラウト。食用、塩焼きやムニエルで美味って書いてあった。
「…と、こんな感じでやってみて下さいね」
「わかった! やってみるぞ!」
こうして2人の王子様は釣りを楽しみ始めたよ。大小様々な魚がポンポン釣れるので、同行してきた料理人も大忙しで調理をしている。王様もこちらへやって来て、私の竿で釣りを楽しんでいたよ。
流石に全部の魚を調理して食べるのは無理なので、クーラーボックスをコピーしてお持ち帰り。今日の食堂の夜ご飯の材料になるようだ。きっと水の女神様のサービスだと思うけど、やり過ぎですよ…女神様。
王様一家とお昼を御一緒させて頂いて、王子様方は護衛の騎士団相手に剣の稽古を始めた。
私は、王様とお妃様にコンボクの果実酒を出して味見してもらうと、
「これは美味いな、もう一杯もらおうか…」
と言っておかわりしてくれたよ。お妃様は
「私はあまりお酒が好きではないのですが、これは美味しいですね。出来れば作り方を料理人に教えて頂きたいわ」
ですって。
「有り難うございます。後ほど料理人の方にお教えしておきますね」
料理人達の片付けも終わりそろそろお城へ帰る事になった。私は滝壺に行き、
『幼神様、水の女神様、今日はありがとうございました。お陰様で助かりました。今後とも宜しくお願い致します』
と挨拶して車に向かったよ。空を見るとオルが円を描いて飛んでいる。危険な魔物も居ないようだし、さぁ帰ろうか!
帰りはお妃様が車に乗るようだ…。第2王子が
「全速力で帰ろうよー」
と言うと、お妃様の無言の冷たい視線が…。
「い、いやっ普通に安全重視で頼む」
と、言い直した。第1王子はクスクスと笑っていて、何だか車内の温度が2度ほど下がった気がしたよ…。
護衛の騎士団に囲まれながらゆっくりと車を走らせる。車内では
「ありさ、今日は凄く楽しかったよ。ありがとう。また機会があったら乗せてよね」
と第1王子が満面の笑みでこちらを見ている。
「ありさ、ありがとうなっ! 僕もまた乗りたいからヨロシクね」
「この乗り物は便利ですわね。また何かあった時は頼みますよ」
と感謝されて嬉しかったよ。
無事に街の門をくぐると、街道沿いにたくさんの人々。窓を開け王子様方が人々に手を振り、やっとお城に到着。
車をとめる場所にはアイシャとカロンさんも待っていてくれたみたい。
「おかえりーありさ。今日は釣りしてきたんでしょ? いっぱい釣れた?」
「大漁だよ。大漁過ぎて今日の夜ご飯はお魚がメインだよ!」
「やったね! 私、お魚料理好きなんだー」
なんて言ってカロンさんとクーラーボックスを食堂へ運んで行った。
収納からウロコ取りを出しコピーして食堂へ。料理人たちにウロコ取りを渡して、使い方を説明した。
たくさんあるのでお手伝い。私は小さい魚を調理しようかな。ウロコを剥がして内臓を取り、洗って水気をとって小麦粉をつけて油に投入! その間に玉ねぎとか人参とかピーマンとかソレっぽい野菜を薄切りにして、調味液を作り、揚がった魚と野菜を合わせて漬け込めば小魚の南蛮漬けの出来上がり! アイシャとカロンさんも手伝ってくれたお蔭でパッと出来たよ。後は馴染ませるだけなので、先にお風呂に行って来ようっと!




