27話 圧力鍋がっ!
私はカセットコンロに火をつけ、聖水と材料を入れ蓋をした。暫くすると…シュシュシュシュ……………湯気が出始める。圧力鍋の左右に手をかざして教えてもらった呪文を唱える。ブツブツブツブツ………。シュシュシュシュ…ブツブツブツ……。
辺りには誰も居ない。この音だけが響きわたる。シュシュシュ……ブツブツブツ……。ブシュー! 突然大量の湯気が吹き出し何も見えなくなった。唖然としていると、湯気が少なくなり圧力鍋が光始めた! えっ⁉ 何コレ? どうなっちゃったの? 光が淡くなり、よく見てみると圧力鍋の色が変わってる…。
頭の中が? でいっぱいになり茫然としていると
「クスクス…」
うん? 笑い声が聞こえる?
「クスクス。ドッキリ大成功じゃの! クスクス…」
えっまさか幼神様?
「クスクス。いやぁ、一生懸命何やらやっているのを見て、ちょっとのぅ」
「イヤイヤ幼神様。何をしてくれてるんですか? ビックリしましたよ」
「ちょいとのぅ。その便利な鍋をパワーアップじゃ。これから先もきっと必要になるじゃろうからなっ」
「あぁ~ありがとうございます。でもねぇ驚かせるのはちょっと…」
「まぁまぁ良いではないか。この鍋ならちと早くクスリが出来る様になるぞ。マレッカとか言うやつにもコピーして渡すが良いぞ」
「それは喜んでくれるでしょうね。でもよろしいのですか?」
「うむ。この国に少し悪い気配が漂っておってな。ちと心配していたのじゃ。ありさに派遣する者もだいぶ仕上がって来ておるからもうすぐ派遣出来るぞ。楽しみに待っておれ」
「ありがとうございます。ちゃんと見ていて下さっているのですね」
「当たり前じゃ。何時でも? 見ておるぞ」
「その"?"がちょっと心配ですけどね…」
「じゃ、じゃあまたのぅ」
消えた…。
火を消して圧力鍋がカチッと音をたてたので蓋を開けるとドロッとした白く光るクスリが出来ていた。圧力鍋を持って行きマレッカさんに見てもらうと
「あらまぁ、こんなに短時間でもう出来たの? すごいわねぇ。クスリもちゃんと出来ているわよ。早くあの娘さんに飲ませてあげて」
「はい。飲ませてきますね」
バリーさんの待つ部屋へ急ぎ、クスリを飲ませると娘さんが淡く光り青白かった肌に赤みがかかってきたよ。マレッカさんが娘さんの状態を見て、スリーピーの魔法を解いた途端に眼を覚ました。
「あれっ? 私? 何で? ここは何処? お父さん?」
バリーさんは娘さんを抱き締めて泣いた…2人を落ち着かせるべく私たちは部屋を出た。
アイシャは長椅子で眠っていたけど、テムさんはここには居ない。一体何処に行ったのだろう?
外の方が少し騒がしいので出て行ってみると、村の端の方の崖が崩れていて数匹のゴブリンが村に入ろうとしていた。テムさんは村の人たちと協力して、土魔法を使い崖を補修しつつゴブリンを攻撃しているので、私も急いで参戦したよ。
ゴブリンを退治し、村の人たちが集まって来たので話を聞くと
「今までこんな事は無かったんじゃが…この先こんな事が続くようじゃと…」
「今回はたまたまかも知れんが、戦える者は少数じゃからなぁ」
「若い者は町に行ってしまうからのぅ。ギルドにでも頼んで若い冒険者を常駐させてもらうかのぅ?」
「この村にはそんな金ないぞ」
話し合いは続くが解決方法は見つからず一旦保留にして解散となった。
マレッカさんの家に向かう途中でデイジーさんに会う。
「用事が済んだから明日にでもシブーチに戻るけど…」
「私も一緒に戻るわよ。ずっと気にかかっていたことが解決したんだもの。それに仕事が待っているしね」
「わかった。じゃあ明日ね」
「うん、明日ね」
それからマレッカさんの家に戻り、落ち着いたバリーさん親子と話をして、村まで送る事にしたよ。
マレッカさんの部屋で
「あの、神様の御信託によると、この国に悪い気配が漂っているみたいなんです。もしかしたら、クスリを作る事が増えるかも知れない。この鍋でクスリを作ると時間が短縮できるので、使ってみて下さい」
そう言って青く変色した圧力鍋を渡し、使い方を説明したよ。夕方には出掛けていたアシッドさんも戻り、みんなで夕食! バリーさんの娘さんの回復を祝ってワイワイと楽しく、お酒も進んだ。




