25話 魔魚退治する
作戦は決まった! それを実行するには準備が必要だ。この工程は見られたくないので、みんなが寝静まった後にコッソリとやる事にした。今日は車の側で野宿してもらい、私は車の中で準備するよ。
先ずは収納から釣りに使うタモを取り出し、1本コピーする。このタモはナイロン製でコンパクトで超軽量のすぐれものなのだ! タモから網を外し、一枚の網にして、その網をコピーで増やして…後はみんなで大きい一枚の網に加工する。思っていたより時間はかからなかったよ。
こんな事ならみんなに車の中で寝てもらって、私が外でやれば良かったかも…。外は寒いしね…でも、車に積んであった4人用のテントと封筒型で耐寒気温-15℃の寝袋を渡したので大丈夫かな。テントを立てた時は 『おお~』 って歓声があがり、寝袋を渡した時は暖かさに興奮して転がってはしゃいでいたよ…。
そろそろ私も寝袋に入って寝ますか。もちろんオルも一緒にね! オルは寒くても平気らしいけど、可愛くってね! だからぬいぐるみ感覚でいつも一緒に寝ているのさっ!
辺りが明るくなってきたので、外に出て朝食を準備するよ。と言ってもシブーチの町で買ったパンに具材を挟むだけだけど。それと、コンソメキューブを使ったコンソメスープだよ。野菜をたくさん入れてね。やっぱり寒いと身体を温める物が欲しいしね。
さて、お腹を満たしたら次はたくさんの網を繋いで1つの大きな網に加工! これをマーマン族に頼んで湖に仕掛けてもらったよ。だって、寒い湖に入って凶悪な魚と対峙とか普通に考えて無理だから、先ずは魚に陸に近い所に来てもらうしか方法はないよね。マーマンを囮にするとかじゃなくて、昨日話した時にそう決まったんだよ。マーマン族が何とかして陸地に近い所まで凶悪な魚を連れて来ると…
網を設置している途中に凶悪な魚が襲ってきたらしく、湖が荒れ始めた。そして、網に絡まった魚を何体ものマーマン族が引っ張って来る。
暴れる凶悪で大きい魚…あれっ? 大きな口で、サメに似ていて…これってエミーレ湖で捕獲した照り焼きで美味しいあの魔魚⁉ そうと解れば…あの時と同じ方法でイケるかも。
網越しに大き口を開けて暴れているので、火の玉いや、少しレベルアップした今は火炎放射(そんなに大きくはないけど…)で中から焼いていく…あぁ美味しそうな匂いが漂ってきたよ。
そんな匂いに油断していると、焼け始めた口の中から小型の魔魚が数十匹飛び出してきた…アイシャとテムさんは剣で切り落としたけど、バリーさんは腕を噛まれて怪我をおってしまった。私は懐からポーションを出しアイシャに渡す。
「それを飲ませて車に連れて行って魔魚に気を付けてよ」
「わかった。車で休ませたら戻って来るから」
その間も私は火炎放射で焼いていく。テムさんもオルも陸地でビチビチ跳ねている小型の魔魚を次々と切り刻んで…どれくらいたったかな?
大きい魔魚はコンガリと焼けて、小型の魔魚はバラバラに刻まれて辺り一面に広がり…正に地獄絵図…どう処理しようか悩んでいると、マーマン族の長が
「ソノチカラ ヤク イイ ワレワレ ミズ ナガス」
「わかりました。大きい魔魚は此方で貰い受けます。後は燃え広がる前に消火してくださいね」
オルにウォッカを撒いてもらい火炎放射で燃やしていく。一通り燃えたところでマーマン族が強目のシャワー状に水を降らせた。地面は焼け焦げてしまったけど、血と身は綺麗サッパリ無くなった。
「ヤクソク アオイ ヒゲ モッテ イケ」
そう言ってキラキラ光る青い髭を手にする事が出来た。
「ありがとうございます。これで娘が…」
傷が癒えたバリーさんは大粒の涙を流し、青い髭を胸に抱え込んだ。
「マタ クル イイ ワレワレ カンゲイ スル」
「はい。また寄らせてもらいます。どうかお元気で!」
マーマン族は湖に戻って行った。先程の戦いが嘘のようにケントス湖は静けさを取り戻しキラキラと輝いて見えた。しばらく湖を眺めた後、私達は車に戻りバリーさんの娘さんの元へ向かうべく走りだしたのだった。




