11話 魔物の料理
そういえば、アシットさん昨日カウリットを捌いてからまた新たな罠を仕掛けて来たって言ってたなぁ。私もまた行く事になるのかな?
さて、今日は昨日採って来た物を使ってのんびりとお料理でもしますかねぇ。何かここ最近、忙しかったもんね。村長の家の裏庭を借りて、ムノーガからいってみよう!
私的にはウナギの蒲焼きを作るつもりだったけど、身が分厚いんだよね。だって捌いてみたらブロックになっちゃったからなぁ。身の感じはウナギだけど、皮はゴムみたいで食べられそうにない。村長の話しだと10数年前は皮でブーツを作ったって言ってたけど…外側はこのムノーガの皮で中はカウリットの毛皮でブーツにすれば冬にピッタリのポカポカブーツになりそう。後でマヤナさんに相談してみようっと。マヤナさんならこの村の人の事もパチェット村の人の事も知っているから、良い人を紹介してくれるかも。ブーツとお揃いでマントも作って貰おうかな。
まぁそれは一端置いて、身の方は薄く削いで蒲焼き風にしよう。食材を取り出してみると、骨が結構あるなぁ……って骨太っ。指で摘まんで一本一本抜いてみた。太いから簡単に抜けたよ。身を薄く削いでバーベキューコンロに炭を入れて火を付ける。このコンロはステンレス製だから、錆びつかないし汚れも簡単にキレイに落とせるんだよね。風の魔法で空気を送り炭が燃え出したよ。しばらく待って火が落ち着いたら、削いだ身を焼いていく。コンロの横には焚き火でタレを作っていくよ。鍋にお酒、醤油にミリンに砂糖を入れて煮詰めていく。あぁ~いい匂いが。
ムノーガの身にハケでタレを塗っていると、何やら視線を感じる…村長は用事で奥様と出掛けているし…あっ! アシットさんがスンスンと鼻を鳴らしてこっちを見てたよ。こっちに呼ぶとニコニコしながら走って来た。
「ありささん、何をしてるの?」
イヤイヤ見てわかるでしょうに…
「昨日のムノーガをね料理しているんだけど…」
「やっぱりそうでしたか。何やら村長の家の方から旨そうな匂いが漂ってきまして…マヤナ姉さんに聞いたらきっとありさだって。なので、手伝いに来ました」
「あぁ、ありがとうございます。では、そのムノーガの身たちを裏返してこのタレをこうやって塗ってもらえますか」
「わかりました。この作業は俺に任せてください」
と言う事で、ムノーガを任せて私はサメに似た魔物を料理しますか…。
こっちは口に何発か火の玉を投げ込んでしまったから一部が焼けちゃっているんだよね…焼けた身の感じはブリっぽいかな? だったら照り焼きが美味しいかも! 切り身にして、塩をふって少し置いておく。
アシットさんはニコニコしながらムノーガを次々と焼いているね…何だかざわついている感じがして周りを見ると、村の人たちが集まってきていたよ…私がそれに気が付くと奥様方が手招きしている。行ってみると色んな食材をくれたよ。
「村長の家の方から美味しそうな匂いがして…何か作っているみたいだったから足しになればと思って持って来たのだけど、みんな持ち寄っていたのね。フフフ」
「あの…まだ出来ていませんけど、たくさん作っているので後で皆さんにもお裾分けしますね」
奥様方と話していると、
「どうした? 何があった?」
と、村長が帰って来た。私たちの話しを聞いて
「今年はマレッカがあんな事になってしまった為に秋祭りを中止にしたがマレッカの病気も良くなってきたようじゃし、今から祭りをしようじゃないか」
と、言い出した。村の人たちは
「おお~!」
って叫んで祭りの準備を始めに散っていった。
村長は
「ありさよ。すまないが、その料理を提供してくれんかね」
「もちろんですとも。お裾分けしようと思って、たくさん作っていますし」
「おお~ありがとう。ワシも祭りの準備を指揮してくるぞい。アシットは今の作業を奥様方に任せて力仕事してきなさい」
「ええ~せっかく楽しくやっていたのに…」
チラチラとこちらを見ながら村長と村の広場に向かって行った。奥様方は広場で料理するとの事で広場に向かい、男の子たちは秋祭りをする事を村の人たちに伝えに走って行った。ここに残ったのは8人の女の子たち。
ムノーガの蒲焼きチームとサメの様な魔物の照り焼きチーム。アシットさんに分けてもらったカウリットの串焼きチームに分かれて料理していく。照り焼きは水気を拭いてフライパンで焼き、タレと同じ材料で味付け。さっき貰った食材の中に生姜に似た香りのハーブがあったのでそれも足して。串焼きは塩と胡椒と食材にあったハーブで味をつけた。こっちの世界に来るきっかけがあの日で良かったのかな? でないと、こんなに色々なバーベキュー用品とか調味料とか積んでなかったもんね…。
あっちの世界の事を考えると泣きそうになる。だけどそれは今じゃなくていい。気持ちを切りかえて女の子たちと料理していく。大きなお皿とかは無いので板の上にアルミホイルを敷いて出来た料理を乗せていたけど、どう盛り付けようかな? 考えていると男の子たちが大きな葉っぱを持ってきた。
「母ちゃんたちがこれを持って行けって言うから持って来た」
と、言って大きな葉っぱをくれたよ。板の上に葉っぱを敷いて料理を乗せ、女の子たちがハーブ類を盛り付けて完成!
男の子たちと広場に運び、祭りの準備が終わるのを待つ。辺りが夕陽に染まる頃、祭りが始まった。村長が挨拶をして、私を紹介してくれた。マレッカさんも椅子に座って参加している。料理を食べている人、踊っている人、歌っている人、話しかけてくる人。みんな楽しそうで……あぁ楽しいなぁ。
そう思っていると、子供たちが集まってきた。
「あの、おねがいがあるんですけど、僕たちもあの車と言う物に乗せてもらえませんか?」
えっ? は子供たちは全員で15人。一回じゃ無理だし、遠くまで行くと何日もかかるからなぁ。それにアシットさんに明後日にもう一度エミーレ湖に乗せて行ってほしいって頼まれてるし…しょうがない。子供たちの頼みだし、何チームかに分けて村の近くをドライブしようか。
まず、10歳未満の子供を4人ずつ3チームに分けて、朝からお昼頃までと、お昼頃からおやつの時間くらいまでと、おやつの時間くらいから夕方までの計3回で一日でしょ。10歳以上の子供3人は…エミーレ湖まで連れて行くか…
ふと目線をあげると大人たちも期待してこちらを見ていた…イヤイヤそれは流石に無理だから…村長のカルードさんが無茶を言うなと、言ってくれたので、子供たちだけで済んだよ。まぁ乗りたい気持ちもわかるけどね……。明日は子供たちとドライブに行く事が決定したよ。




