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雪の下の地の底 5

廊下を進んでいると電気自動車が並ぶ駐車場に出る。

居住区を走る二人乗りの一般車から、工場に資材を送る一人乗りで大きな荷台が付いている搬入車両など複数車両がそこに並んでいた。


「ここの車ってみんなカザヒ家のものなんですか?」

「そうだ、仕事で移動することが多いからな。お前たちその車両に乗れ。運転は俺がする」


二人乗りの助手席には荷物が乗っており人が入れる隙間はない。


「乗れって僕らが吸われる場所、荷台ですよね」

「ああ、上で人を待たせているさっさと行くぞ、落ちるなよ」


二人乗りの作業車に牽引された荷台にフウテツたち新人たちは乗り込むと、そのまま車両用の大型昇降エレベーターに乗り上へと向かう。

降りてくるエレベーターの到着を待つ時間でイサマがハンデンに訪ねた。


「あ、あの。どうして俺らをスカウトしてくれたんですか」

「ちょうど人手が必要でな。技師を集めるところだったんだそういう話を仲間内で話していたらお前たちの話を聞いてな。この間、うちの大将の車両を通りかかった技師が直してくれたって。まぁ、もう長く使っているバッテリーだった寿命だったな」


「たまたまだったんですか」

「ああ、でも技師を募集する予定ではあった。そうしたら君も応募しただろう、遠征に興味がある」


荷台からエレベーターの壁に張られた卵型の地下コロニーの階層を簡略化した地図が見える。

下層から工場区、商業区、居住区、上層居住区と積みあがっていき、その最上階は地上への出口と遠征に使う車両が置かれている倉庫がありい現在上へと向かっていた。


「そういやこの地図には中枢区画は映ってないんだな」

「地図に書くには小さいからじゃないかな」


ガタンと大きな音がして上昇が止まりエレベーターの扉がゆっくりと開く。


流れ込んでくる空気は思わず身震いするほどの寒さだった。


「上の階ってこんなに寒かったのか」

「話に聞いてたのよりずっと寒い」


天井は中層よりさらに高く壁も少なく何本もの太い柱と柱と一体化し塔のような建物がいくつか見える。


「ここでもまだ送熱配管が通っていて暖かいほうだ、倉庫の資材置き場は冷蔵庫の中だと思ってくれ、上の階はもっと冷えるしなんなら外はもっと寒い。それで今日君らにしてもらうのはこの倉庫からの資材の移動。遠征で集めた貴重な資材だ無駄にすることは許されない。簡単に壊れるものではないが雑に扱っていい品物でもない……ここにあるのはただのガラクタだがな、さぁ付いたぞ降りろ二人とも」


停車した車両の目の前には二階建てで長さが20メートルほどある巨大車両。

圧倒する黄色とオレンジ色の車体、巨大な履帯、周囲に生えるライトや梯子、周囲には同じような巨大な車両が駐車している。


「ここにある金属を向こうに見える貨物列車に移してくれ」


その車両の周囲には降ろされた積み荷と思われる大量の金属スクラップがあった。

すでに圧縮され四角く大きな鉄塊となっていて山と積まれ、ハンデンが指さす先には昇降列車の貨物車両が見える。


「こここれってえっ遠征で集めてきたやつですか!?」

「ああ、そうだ。この間持ち帰られた資源の一部だ。これを下層の工場へと運び分解金属や素材ごとに分け溶かし再利用する」


車を降りるとハンデンは天井まで伸びる太い柱にかかっている厚手のコートを二着取りフウテツとイサマに差し出す。


「これぐらいの寒さならこれで十分なはずだ、それでも寒いようなら送熱配管が向こうにある、適度に暖を取りながら仕事をしてくれ」

「わ、わかりました」


コロニー内用に作られた丈夫で通気性の良い服の上に作業服を着ただけのフウテツとイサマはすぐに防寒着に袖を通す。

ファスナーを閉めフードを深くかぶると作業用のグローブをつけ改めてあたりを見渡した。

遠征用の巨大車両、四角い金属スクラップ、貨物車両、その近くに鉄塊を積み込むフォークリフトが数台止まっている。


「これ着たら何とかなる寒さにはなったなフウテツ」

「とりあえず動けば温まると思う力仕事だし」


厚手で重たいコートに慣れないもののひと先ずは寒さをしのげた。


「俺は用事で向こうに行く、コロニーの時刻になったら迎えに来る。無理して初日に怪我はするなよ」


二人に指示を出しハンデンは建物の方へと歩いていく。

分厚い扉に守られそこから外の冷気は入ってこないが地面を冷やし壁から冷気が染み込んできていた。

コートがかかっていた太い柱には送熱配管が床から天井へと向かって巻き付くように走っていて、その表面からは白い湯気が立っている。


「送熱配管から湯気が出てるのにこの寒さかよ」

「寒いからこそ湯気が出てるんだよイサマ。とりあえず始めようか、向こうにリフトがある」


フォークリフトに乗ると二人は鉄の山へと近寄った。


「二人で別々に運ぶか?」

「どっちかが指示出したほうがいいかな」


「なら俺が指示を出す、フウテツは運んでくれ」

「それはわかったけどイサマ、どうして君は送熱配管の方へと歩いていくんだい?」


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