進められる準備 1
調節されたコロニー内で過ごしてきた二人は寒さで手が悴み送熱配管で暖を取りながら交代制で鉄の塊を貨物列車に積み込んでいく。
しかし四角く固められた鉄の塊は作業機械では手が届かないほど高く積み上げられていて二人はどうしようもなくなった鉄の塊の山を見上げた。
積み下ろしの際に崩れたであろう散らばったブロックは片付き、残るは二階の天井に届くくらいに積まれた崩れなかった金属のブロック。
「こいつで手が届く範囲は運んだけど、どうするよフウテツ?」
「残るは高く積まれたものばかり、崩したりしたら壊れるだろうし危ないし。遠征用のトラックに積み込みようだと思うクレーンが付いてるんだよね」
巨大な車体の上の方に長年の劣化でそれなりに塗装の剥がれた、まるで血を流す流の頭の様な金属のアームが見える。
イサマはフウテツとは別の方向を指さす。
離れた場所にある3本のアームを持つ作業車。
「向こうの作業車にもクレーンついてるぜ。あっちの方が腕が長い、あれを丁度いい所に移動できればリフト使わなくていいんじゃないか」
「積み上げらえた鉄の塊は4段、意外と2個ずつ持ち上げられるのかも。やってみようかイサマ」
フウテツはもう一度フォークリフトに乗り込むと積み上げられた鉄の塊の方へと向かう。
「気をつけろフウテツ、アーム折れたら弁償できねぇぞ」
「でもこの大きさの車体なら持ち上げられてもおかしくはないと思うんだけど」
四角く固められたブロックを2つ同時に持ち上げるとアームが軋む。
イサマがバランスを崩して車両が倒れた時を思って安全な距離まで離れていく。
ブロックを運び上げると隙間から細かな部品が冷たい音を響かせ転げ落ちた。
「意外と平気か?」
「行けそうかな、すこし後輪が浮きそうだけど荷物を下ろせば」
上げたアームを下げると車体は重心が下がって安定し、そのまま静かに移動し貨物車両に乗せる。
事故もなくうまく運べたことにフウテツは大きく白い息を吐く。
「おお、なんか行けた。持ち上げるときが少し怖いくらいか、ちょっとコツがありそうだけどなれれば行けそうイサマもやる?」
「交代でな。でも意外と重量物が持ち上げられるんだな。ただ持ち上げるときこすってなんか細かいの散らばったけどな、すでに結構散らばってるし拾うのは後でさっさと終わらせちまおうぜ。このままのペースならなんか終業時刻より早く終わりそうだ」
居住区の壁の裏側、細いトンネルを進む車両は細く長く作られている、そのため乗せられる貨物も少なくあまり荷物の乗らない貨物列車の細長い車体が並ぶ。
最初は数が多く見えたもののコツコツと仕事をしているうちに空いている車両が無くなっていく。
「余っている貨物車両が無くなったけどどうするんだろ」
まだ鉄のブロックは残っているが積み込む貨物車両の方が無くなった。
散らばったスクラップの欠片を集めて端に寄せ送熱配管で暖を取る。
「できることがもうないよな、ハンデンさんを探しに行くか? 多分あの建物にいるだろうし」
「行ってみようか」
二人が送熱配管から離れようとしていると、汽笛が鳴り響き昇降列車がやってくる。
「どうも~、仕分け工場へと運ぶ貨物を受け取りに来ました~」
「ええと?」
貨物の受け渡しについては何も聞いておらず二人は顔を見合わせた。
列車は空の貨物列車を運んできており帰還車両は貨物が積まれた車両と交換する。
「すみません、カバー被せるの手伝ってもらっていいですかー。部品が線路に散らばると脱輪する可能性があるので。それとこっちの荷物少しバランスが悪いんで積み直してもらっていいですか」
「あれはイサマが乗せたほうだね、だからキレイに乗せたほうがいいって」
イサマはバランスの悪いブロックの積み直しを行い、フウテツは機関士とともにカバーを被せワイヤーで固定していく。
荷物の固定を行っているとそこへハンデンが戻ってきた。
「おお、来てたか。同だ二人とも荷物の詰込みは順調か?」
「ハンデンさん」
機関士が持ってきた受け取りの書類にサインをしハンデンは積まれた貨物車両を見て感心する。
「思ったより仕事が早いな。リフトの扱いに苦戦していると思ったぞ、和解と思っていたが意外としっかり経験積んでるんだな二人とも」
「もともと働いていたところでも重たい機械を運ぶときに使っていましたから」
「重たい荷物を二段重ねで運んだりはしなかったから耐えられるのか心配でしたけど、慣れたらすぐですよ!」
危うい貨物を積み直しカバーを被せると列車はゆっくりと去っていく、残されたのは代わりに置いて行かれた空の貨物車両。
「続きはこれに乗せればいいんですか?」
「ああ、ここまですんなり仕事を終わらせたのだからこの後もすぐに終わるな。終わったらあの建物にこい。俺は向こうで待ってる」
「わかりました」




