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川
村の東側を流れる川では、鮎が釣れる。
長い友釣り用の竿を持って川の中に立っていると、がさがさと後ろの藪から子供が顔を出した。幼稚園児くらいだろうか。
「……つらないの? おさかなさん、ひっかかってるよ?」
「あれはな、釣れたんじゃなくて泳がせてるんだよ」
「どういうこと?」
「こうやってると、自分の所に敵が来たと勘違いして……ほらっ!」
竿を振ると、二匹の鮎がタモの中に飛び込んだ。
「うわあ! すごい!」
子供が首からかけていた虫かごに、釣れた鮎を入れてやる。
「やるよ」
「い……いいのっ!?」
声を弾ませる子供の背で、茶色くふわふわした尾が揺れていた。




