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日傘
「やっぱ涼しいですか、日傘って」
営業に同行してくれた先輩を見上げると、「え?」と先輩は傘の柄をくるりと回した。
「いやほら、最近日傘男子って流行ってるじゃないですか。実際どうなのかな、って思って」
「うーん、僕は涼しさを求めて日傘を差しているわけじゃないからあんまりその観点について考えたことはなかったけど……涼しい……んじゃないかな、多分」
「あ、スキンケア的なあれでしたか、失礼しました」
言われてみれば、この暑い最中でも先輩は長袖に手袋、マスクという重装備だ。これで涼しいかと聞かれても分かるはずがない。
なるほど、と俺が頷くと「スキンケア」と先輩が吹き出した。
「あれ、違いましたか」
「いや、まあ、違わなくはない、のかな」
肩を震わせながら前屈みになった先輩がマスクをずらすと、その下から病的に白い肌が出てくる。
にやりと笑った口元からは、大きな牙が覗いていた。
「僕が吸血鬼だから、って言ったら……君は信じるかい?」




