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迎え盆
お墓の掃除をして、最後に手持ちの提灯に火をいれた。
持ちたい!と騒ぐ子供に「ママと一緒ならいいよ」と手を添え、お寺の階段を降りる。黄昏時の薄暗がりの中で、桔梗柄の提灯が揺れた。
「ねえママ、なんでちょうちんつけてかえるの?」
「ご先祖様に『うちはこっちですよ、ついてきてくださいね』ってお知らせするためだよ」
「ふうん」
もっともらしい顔で頷いた子供は、ふと足を止めて後ろを振り返った。
「ちょっと、いきなり立ち止まらないでよ」
「ごせんぞさまって、おおきいんだね」
「え?」
私も振り返るが、そこにはただあぜ道が伸びているだけだ。だが、何か生臭い匂いが漂ってきた気がした。
「くろくて、すごくおっきなくちがあって、かっこいいんだね」
「……早く帰りましょ」
前に向き直った私は、子供の背を押して促した。
気のせいに決まっている――そう思いつつも、この提灯の火を消した方がいいのだろうか、という不安はぬぐえなかった。




