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ひまわり【おばけとカフェと、オーナーと】
大輪のひまわり畑の中、私はひたすら水やりをしていた。時折吹く風も、ひまわりに遮られてしまい暑いことこの上ない。
「おおーい」
「なーんですかー!」
立ち並ぶひまわりの向こうから聞こえてきた声に大声で返すが、聞こえていないのかもう一度「おおーい」と同じ声が響く。ああもう、と水やりを中止した私は、自分の背丈より高いひまわりをかき分けて来た道を戻った。ホースを辿っていくと、無限にも思えたひまわり畑は意外とすぐに終わり、つまらなそうに電子タバコを咥えた男の元に出る。
「何ですかオーナー」
「は?」
「いや、今呼んだじゃないですか私のこと」
「呼んでねえよ」
「ええ?」
こんな暑いところに、他に人がいるとは思えない。おちょくられているのだろうか。暑さも相まってイラッとした私の背後で、がさがさと何かが揺れる音がした。
「おおーい」
その声は、すぐ後ろから聞こえた。少しだけ目を細めたオーナーが煙草を深く吸い、帰るか、と独り言のような声と共に吐き出す。
「振り向くなよ」
「……はい」




