スイカ割り
「これ何かに似てるよな」
「何かて何すか」
首だけを出して地中に埋めた男の目の前に、途中の屋台で買ってきたはしまきを置く。犬神の作り方に似ていると俺は思ったが、自分の名前すら漢字で書けない先輩にそんな知識があるはずがない。早く帰りたいな、と考えながら、先輩の足元で呻く男を眺める。
――なんだって夏の山で馬鹿と二人で汗だくにならなければいけないのか。暑いし虫も多いし最悪だ。こいつがどこの誰でなにをしたのか知らないし知りたくもないが、本当にいらんことをしてくれたものだ。
「うーん、何だろなあ、なんかこう、なあ、あれだよあれ」
「知りませんよ、早く帰りましょう」
香ばしいソースの匂いに、空腹が刺激される。自分の分も買えばよかった。まだ売っているだろうか。
「あっ! 分かった! スイカ割りだわこれ! ほら、た~まや~ってさ!」
大声で叫んだ先輩がぶんと大きく腕を振り、すっぽ抜けたスコップが吹っ飛んだ。先端がいい感じに生首に突き刺さり、うっという声を最後に男が静かになる。
「……やべ」
「あーあ、代わりに埋められるの先輩っすよこれ。勘弁してくださいよまた穴掘りとか」
「いや……いやいやいやいや、さすがにそんなこと……ないよな? な? なあ?」
「知りませんよ」
りんご飴もいいな、と考えながら、俺はスコップを引き抜いた。




