焦がす
パチパチと火のついた炭の上に、網と鉄板を乗せる。火加減は……どうだろう。こんなものだろうか。炭火でバーベキューなんてはじめてだから分からない。
「それじゃあ自分は具材切ってくんで、先に焼きそばとかウインナーとか、できそうなものから焼いてってもらっていいですか?」
「了解でーす」
持ってきたクーラーボックスの中を漁り、言われた通り焼きそばとすぐに焼けそうな肉たちを取り出す。油を引いた鉄板に麺を、網の部分にウインナーなどを乗せた私は、浜の方でうろうろとしている先輩……と、その隣にいる女を眺めて目を細めた。
――やりたいって言ったの、先輩なのに。
結局食材を買うのも場所の手配も、今日火起こししたのも全部それ以外の人である。「バーベキューなら慣れてるから」と言ったのは誰だったか。多分この後も食べるだけ食べて酔っぱらったら終わりだし大体あの女は何だ。面白そうだから参加させてくださいつうならせめてそれ相応に手伝えひらひらした服着てくんなやる気ねえんだったらさっさと帰りやがれはじめてだから分かりませえんじゃねえんだよこっちだって火おこしなんて初体験だわてめえにも点けたろか化繊だからさぞかしよく燃えるでしょうね――
「あーもう! 焦げてるじゃないですか~!」
「……あ」
抗議の声に網の上を見ると、ウインナーの下半分が黒焦げになっていた。
「焼いてとは言いましたけど焼きすぎですー!」
「ごめん、これ食べるから」
焦げた肉とウインナーを自分用の皿に取る。
口に入れると、ざりっとした感触と共に苦みが広がった。




