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色相
「何かきっかけでもあったんですか?」
ざっくりと私の髪の毛を切りながら、後ろに座った美容師が問いかけてきた。
「え、いや……特には。なんか……カッコいいなあ、って思って」
「あ~わかりますわかります、いいですよね赤色、濃い色で入れると色落ちも楽しいですし」
何がわかるのか全くわからないが、適当にはい、と返事をする。そのまま一回髪を洗ってブリーチ、放置したのちに今度はカラー剤を塗られる。昼過ぎに来たはずなのに、髪の毛の先端を整えてもらう頃には外はすっかり茜色に染まっていた。
「お疲れ様でした~」
美容室から出ると、首回りがすうっとした。頭が軽い。
「……ふふ」
隣の服屋のショーウインドーには、空と同じ髪色をした自分が映っていた。美容院に入る前と、ちょっとだけ違う自分。
そうだ、服を買おう、と思った。
この自分のための、とびっきり素敵なやつを。




