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【1話30秒】BL掌編集  作者: 二ッ木ヨウカ


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ヘッドフォン

 目を閉じて細く息を吸い、耳を澄ます。


 スマホを操作する。一拍遅れて流れてきた英語を、聞こえてくるままに紙に写し取っていく。文法もスペルも違うかもしれないが、手を止めたら、考えこんだら、そこで終わりだ。

 やがてノートの半分ぐらいが埋まったところで英語が終わる。次の文を流し始めようとするスマホを止め、ふうと息をついた――ところで肩を叩かれ、私は飛び上がった。

 椅子から落ちそうになりながら振り向くと、すまなそうな顔で友人が立っている。


「ごめん。一応終わるまで待ってた……つもりだったんだけど」

「あ、いや……ううん。何?」

「何っていうか……お昼一緒にどうかな、って」


 自習室の壁にかけられた時計は、既に一時を過ぎていた。お昼になったら迎えに行く、と言ったのは私の方だったのだが、すっかり集中してしまっていたようだ。こっちこそごめん、と水筒とお弁当を持って立ちあがる。

 遅めの時間だからか、塾の飲食スペースはいつもより少し空いていた。


「疲れたぁ……」


 壁に貼られた「あと○日」の紙から目をそらしつつ机に突っ伏す。そうだねえと友人が笑って口に入れてくれたチョコレートが、甘く溶けていく。

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