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ヘッドフォン
目を閉じて細く息を吸い、耳を澄ます。
スマホを操作する。一拍遅れて流れてきた英語を、聞こえてくるままに紙に写し取っていく。文法もスペルも違うかもしれないが、手を止めたら、考えこんだら、そこで終わりだ。
やがてノートの半分ぐらいが埋まったところで英語が終わる。次の文を流し始めようとするスマホを止め、ふうと息をついた――ところで肩を叩かれ、私は飛び上がった。
椅子から落ちそうになりながら振り向くと、すまなそうな顔で友人が立っている。
「ごめん。一応終わるまで待ってた……つもりだったんだけど」
「あ、いや……ううん。何?」
「何っていうか……お昼一緒にどうかな、って」
自習室の壁にかけられた時計は、既に一時を過ぎていた。お昼になったら迎えに行く、と言ったのは私の方だったのだが、すっかり集中してしまっていたようだ。こっちこそごめん、と水筒とお弁当を持って立ちあがる。
遅めの時間だからか、塾の飲食スペースはいつもより少し空いていた。
「疲れたぁ……」
壁に貼られた「あと○日」の紙から目をそらしつつ机に突っ伏す。そうだねえと友人が笑って口に入れてくれたチョコレートが、甘く溶けていく。




