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【1話30秒】BL掌編集  作者: 二ッ木ヨウカ


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鉱物

 ライトに照らされた洞の中では、氷柱のような鍾乳石と石筍がキラキラと濡れて輝いていた。


「綺麗……ですね」


 先を歩く後輩が漏らす感嘆の声が、反響して響く。

 だろう、と返しながらしばらく奥に進むと、ピタピタと響く水音が大きくなり、やがて広い空間に突き当たった。地底湖だ。

 透明に澄んだ水が、それでも底を見通せないほどの深さで湛えられている。

 淵に立ち、お互い見つめ合ってから手を繋ぐ。その上を後輩が紐で結んだ。ライトを消すと、墨汁の中に浸かってしまったかのような濃密な闇が広がる。


 言いたいことはたくさんあった。だが、言えることは何も残っていなかった。

 陽の光を知らない水は、夏だというのに痺れる程に冷たい。


 上も下も分からない暗闇の中、後輩の暖かさだけを感じて目を閉じる。


 ――願わくは、この底で私たちも沈殿し、いつかきれいな石になれますように、と。

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