雷雨
なんとかかんとか最寄り駅についた電車は、そこでついに大雨による運転見合わせの放送を流して停車した。
人間の詰め放題になっていた車内からようやく開放され、もみくちゃになりながら改札を出る。案の定長蛇の列になっているバス停を見て、さらに心がげんなりした。
バスを何本か待つべきか、それとも歩いて帰るべきか――
――いや、とりあえず、疲れたな。
考えることを放棄した俺は、よろよろと駅前のカフェに入った。目についた季節限定商品を頼み、窓際の席に陣取る。
ざあざあと容赦ない雨だけでなく、不穏な雷の音まで聞こえる。窓の外を眺めながらストローを咥えていると、見慣れた顔がガラスの向こうを通り過ぎていった。
「……?」
会社で別れたはずの同僚である。じっと見ていると、向こうも気づいたらしく立ち止まる。軽く手を振ると、店内に入ってきた同僚が隣に座った。
「家ここなの?」
「いや、隣の駅。電車止まっちゃったからタクシー乗ろうかと思ったんだけど……みんな考えることは同じみたいだね」
ここからはバス停の列で見えないが、多分タクシーはもっと混んでいるだろう。
「ふうん……」
スマホを出す。雨は明日まで止まないらしい。ここで雨宿りしていても止むことは期待できなさそうだ。
「……俺の家、来る?」
何気なく問いかける。ガラスに写った同僚と、視線があった。




