34/74
ラブレター
なぜ小説を書いているのと君に問われた時、僕は何と答えただろうか。
文芸部が廃部になりかけていたから。やってみたら面白かったから。なんだかそんなことを言った気がする。
白状しよう。あの時は自分でもよくわかっていなかったのだ。だから適当に思いついたことを言って、その通りだと自分でもそう思い込んでいたのだ。
今なら分かる。聞かれたときになぜ少し恥ずかしかったか。どうして答えが見つからなかったか。
君に、読んでほしかったんだ。
酷評で構わなかった。むしろそのほうが良かった。「直した」と言ってもう一度君に話しかけられたのだから。
でも、それに気づいたのはつい最近だ。君が結婚したことをSNSで見て、君が一番親しい人間が僕だというのは単なる思い込みだったことを突きつけられた晩に、ようやく僕は悟ったのだ。
そして、その頃には、書くことは僕の一部になっていた。
だから僕は今日も少しばかりの物語を綴り、そして広い広い海に、ボトルレターのように放流する。
いつかの君に、届くように。




